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和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

つぎはぎして。

2013-12-05 | 前書・後書。
鶴見俊輔著「文章心得帖」(ちくま学芸文庫)が届く。
最後の解説(加藤典洋)を読む。

「まえがきに、子供のころから作ってきたという書き抜き帖の話が出てくる。その後、おつきあいが生じてから、いちど見せていただいたことがある。それは文房具店で売っている、中学生が使っているような、ごくふつうの並製ノートだった。『日本の名文家のように日本語を書こうという理想にしばられなくなった』、『人間の持っている様々な表現手段を、つぎはぎしていろいろに使って、自分の言いたいことを言おうというところに気分が落ち着いた』。文章を書くということの軸足が、文章を書くことの外側にはみ出ている。そのぐらぐらした足場に立っている感じ、よろけた感じからくる元気が、私の背中を押したのである。
この本で鶴見さんは、文章をどう書けばよいのか、という問いには立っていない。聞こえてくるのは、私はこんなふうに文章を書いてきました。という物語のなかの登場人物ふうの声である。その声がまたときどき、私は、こんなふうに生きてきました、とも聞こえてくる。」(p205~206)

ちなみに、加藤典洋氏の解説の最後の言葉は、

「・・・・ふくらみのある一言や、二言で、人は当分、元気にやっていけるものなのである。」(p217)
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