ナポレオンがエリゼー宮に馳せ戻ったのは6月21日午前5時である。わめき、呪いながら風呂を浴び、重臣たちを引見し、朝の8時には臨時閣議に顔を出すことになった。
ナポレオンは臨時に独裁権を行使し、戒厳令を布き、軍の再編とパリ防衛の強化をはかりたいと提案するが、フーシェ、ラファイエットら反皇帝勢力によりにベもなくはねつけられた。
ラファイエット「10年このかた、エジプトの砂漠の上で、ロシアの氷の中で、300万のフランス人が一個人の傲慢と権力の故に斃れた。もう沢山だ」
(参考文献:両角良彦『セントヘレナ落日』)