迦羅求羅虫

小さな寺の日々の出来事

境界線を越える 1

2013-09-30 23:46:50 | 原発
教務所の方々、そして組内寺院の方々に同行して

原発事故によって避難している組内3カ寺の視察に行ってきた。

そのことを少しご報告しようと思う。


私自身は震災後、楢葉町のJビレッジ近くまで行ったことがあるけれど、

その先までは、もちろん足を踏み入れたことは無い。

以前は、警戒区域として基本的には許可なく立ち入れない地域だったが、

現在はの3つの区域に分けられている。

①避難解除準備区域

②居住制限区域

③帰還困難区域

浪江町の正西寺はこの居住制限区域にあり、

双葉町の正福寺、富岡町の西願寺は帰還困難区域内にある。

帰還困難区域に入るには立ち入り通行証を発行してもらわねばならず、

諸々の許可申請が必要で誰でも入れるわけではない。

それは富岡町の西願寺さんが引き受けてくださった。

これまで話を聞くだけだったその場所が、いったいどんなことになっているのか、

しっかりとこの目で見てこよう。


福島県の浜通りを南北に走る国道6号線は、

その道筋の風景をずーっと頭に描けるほど走り慣れた道だけれど、

事故以降のそこを実際に走るんだと思うと、ちょっと緊張してしまう。

そんな小さなドキドキを抱えて、2台の車に分乗して出発。

6号線を北上し、いわき市を出て双葉郡に入る。


まずは東電の火力発電所のある広野町。

事故直後は緊急時避難準備区域に指定され、

避難した町民の多くはまだ戻ってきていない。

以前はここにあるJビレッジ(サッカー場、練習場、宿泊施設)が、

原発事故対応の最前線と言われた。

さらに、福島第二原発(冷温停止中)のある楢葉町、富岡町(一部)。

第一原発のある大熊町、双葉町。

そして隣接する浪江町と続いている。


この先お店もトイレも無いですよと脅かされながら、

楢葉町にあるコンビニで飲料水を買い込む。

広野駅が現行終点のJR常磐線。それをその先の竜田駅まで延伸させるらしい。

だからなのか線路近くの大掛かりな除染をやっていた。

除染作業はところどころで見受けられた。

除染作業中ということは、汚染物質が飛散している可能性があるということだ。

内部被ばくを防ぐにはそれを極力吸い込まないこと。

もっともできることはマスクをするだけなんだけど。


道路沿いに広がる汚染物の仮置き場が目に飛び込んでくる。

除染が進むにつれ、際限なく増えて行くおびただしい量の黒い袋。

決して無くなることのない、未来への負の置き土産。


富岡町に入り、ここで防護服一式を受け取り、着替えた。

町民以外誰でも貰えるわけではないらしい。

必ず着なくてはいけないというのでもないらしいが、初めての者ばかりなので

ともかく全部を身につける。

手袋も、足元も二重三重の用意がしてある。



まだ線量はそれほど高くない。

1マイクロシーベルトにはまだ達していない。

けれど、すぐにびっくりするような数字にお目にかかることになる。

検問では許可証とともに、入る人の身分証明書をチェックする

必ず、入ったところから出なくてはならない。

つまり富岡から入って、北の南相馬に抜けたりすることはできない。

車の往来は工事車を含めてかなり頻繁。

警察車両も何度もすれ違った。





(つづく)

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