彼がまた引っ越すと言う。
今年の正月明けに家を出てからこれで3度目。
最初は都内のシェアハウスと言う名の1部屋1畳半の
スペースに。
当然行き詰まり、宗教家の方の家に居候。
そして、今度。
二十歳そこそこの人と同居?するらしい。
男の子って言ってたけど、たぶん違う。
相変わらず、人たらしだ。
ただ、相手もアスペルガーだって。
仕事も無理らしく、どうやって生活していくのか…。
二人しての年金生活か…。
私が心配することじゃないけど。
きっと彼は、自分を立てて頼ってくれるくらいの人の
方がうまくいくのかもしれない。
前妻も、私も強すぎた。
前妻には会社が、私には娘が、彼を頼って立ち行かなく
するわけにはいかない大事があった。
去年の今頃、彼に何度も何度も言った言葉。
「何処にいてもいい、誰といてもいい、
ただちゃんと生きてて…。」
1年もたたずに彼は新しい自分の居場所を見つけたらしい。
私もそう望んでいたはずなのに。
なぜだろう、この喪失感…。
よりによって、私が凹んでいるタイミングを狙ったような。
この先誰にも頼れないっていう寂寥感…。
決して未練ではないのだけれど、取り残された感が半端ない。
でも、あの時の決意は変わらない。
彼が生きてさえいてくれれば、あとは大概大目に見る。
もう、別々の人生なのだから…。