記憶

「大切な人を想ってください」
これが、Stream Live 歌語りがはじまる前の準備です。


「空があんなにきれいなもんだとは思わなかった、感激しました。」

恋文の空の映像です。
長い間ご主人を介護されていたおばぁちゃんは、生まれてはじめて、鬼子母神さんの歌語りで「コンサート」を体験したそうです。

「私は終戦を１８歳の時にむかえました。
少し歳の上の人には未亡人がたくさんいました。
私はおとうさんに巡り会って、大事にしてもらいました。
まだ大変な時代に役場務めをしていたおとうさんがね、洗濯機を買ってくれました。
おかげで本当に楽をさせてもらいましたよ。

子どもたちの写真もダメになってしまわないように、保存が出来るようにネガを写真屋さんに出して整頓してくれたから、こうして残してあげられたんですよ・・・おとうさんがね・・・

今日のコンサートは本当によかった。
歌のひとつひとつの言葉がうんときれいでした。
ああ、うれしかったよ、どうか体に気をつけて続けて下さいね。」

歌語りの映像の中の写真を提供して下さったおばぁちゃん。
何度かライブにご招待をしたのだけれど都合がつかなくて、やっと鬼子母神さんで念願かないました。

私もうれしかった。
時々涙声になりながらの電話をいただきました。
「おとうさんがね・・・」
耳に残ります。



「大切な人を想ってください」

そっと手の中にある腕時計を見せてくれました。
小柄なおばぁちゃん。

「あの頃は大変な時代だった。
がんばったよ・・・時代はよくなったけれど娘を癌で亡くしました。
ずっとこれをにぎって聴いていましたよ。
今日は本当に来てよかった・・・娘に会えました。
まだがんばって生きるからね。
ありがとう。」



ここは山奥にある祈りの場所。
心のよりどころ。
写真やうたが入り口・・・記憶を旅するStream Live。


今日、ここで会えてよかった。