少林寺流空手道拳昇会

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心に響く(ハーネス通信から)

2018-01-22 15:51:13 | 日記

数年前にパピーウォーカーをさせていただいたご縁で、今も関西盲導犬協会発行の「ハーネス通信」が定期的に届く。今回はその中に掲載されていた「盲導犬は大切な家族なんだ」と題して、「ひょうご子どもの作文と詩コンクール」において、朝日小学生新聞賞を受賞した三田市の小学6年生の作文を紹介したい。内容はもとより、盲導犬とお父さんとの日常生活や訴えたいことが、子供らしく素直に生き生きと表現されてて、話の展開もお見事で、読んでいて心地よさを感じました。是非、支部の子供たちにも読んでもらいたい。

ニュースが流れた。街人が、「盲導犬は、仕事してかわいそう。がまんばかりして。」と言っていた。ぼくは複雑な気持ちだった。「ニコラ。どうやら盲導犬って、かわいそうな犬らしいで?どう思う?なあなあ?」でっかいイエローのラブラドールレトリーバーをだっこして、つやつやの毛をなでながら話しかける。お腹をなでると、シッポがワイパーみたいにフリフリする。甘えんぼうの、この犬が、みんなが言う「かわいそうな盲導犬」らしい。                             「ぼくは、盲導犬は、とっても幸せな犬だと思うねん。」 ぼくは、テレビに映る人とちがうことを考えていた。「知らんって、残念なことやなあ。」とぼうは思うのだ。                            

  ぼくは盲導犬とくらしている。父が全盲で盲導犬のユーザーなのだ。盲導犬は2頭目。前の犬は真っ黒だった。ボールと水遊びが大好きだった。病院も神社もいっしょに行った。ハイハイしたぼくが立ち上がろうとすると背中を貸してくれるたよりになる盲導犬だった。                                                           2代目のニコラは人見知りだ。犬も苦手だ。散歩中の犬をさけて遠回りして父と迷子になることもある。でもニコラはしかられない。盲導犬にナビ機能はついていない。盲導犬は白杖と同じで、ユーザーが使いこなし指示を出す必要があるからだ。父は「これって迷子か?ニコラ、お前、犬よけて遠回りしたやろ?ぼくの不注意や。はよ帰ろなあ。」そう笑って帰ってくる。失敗話も楽しい話だ。ニコラは父の大切なパートナーだ。毎朝ブラッシングされ、ツヤツヤの毛。バランスのとれた食事。ハーネスをつけて父と仕事場へ行く。父が仕事の間、ウトウトしながら眠って待つ。そして父とルンルンで帰ってくる。盲導犬も家では、ふつうの犬だ。ボールやロープで遊び、お腹を出して転がる。妹が父にダッコをせがむ。ぼくもダッコしてもらう。「フー」と、ため息をついてソファーにしずむ父の足元には、目をキラキラさせてダッコの順番待ちをするニコラがいる。この姿はかわいいし、ぼく達を笑顔にしてくれる。大きなニコラも父にダッコされる。シッポをふりながら、目を大きく見開く。 ぼくは伝えたい。「ニコラは仕事するけど、甘えんぼうのふつうの犬だと思う。大好きなパパと、いつでもどこでも一緒。幸せな犬やと思うねん。」と。一日中お留守番をしている犬達の事を考えると、盲導犬は幸せな犬だと思う。ニコラは、ぼくより長い時間を大好きな父と過ごし、たくさんほめられ、寝ボケてシッポをふるんだ。

 メディアに流れる情報は、働く犬の一面しか流していないと思う。ニコラが盲導犬として父と歩く姿は楽しそうだし、家での姿は本当にかわいい。多くの人に知ってほしい。

私も、この小学生の盲導犬に対する思いを多くの人に知ってほしいと思う。小学生が表現するように、体はでかいけれど、とても甘えん坊で遊びが大好きで、むしろそのギャップがたまらなくかわいいものだ。盲導犬としての使命を与えられてもなお、決して愛くるしさを失わない生来の天使達だ。それにしてもこの作文のすごいのはこの上なく優しく温かい家族像だ。ニコラの幸せはこの家族のなかにある。この家族にニコラが溶け込み、溶け込んだニコラが更に大きな癒しを家族に与えてくれている。まっすぐにお父さんが大好きって言える子の素晴らしさ。周りのみんなを幸せにする太陽のようなお父さん。ニコラの無邪気さ。盲導犬にしてもどんな小動物でさえも飼えば家族の一員として、尊い尊い存在であることや人間のほうが動物を通して与えられることが多いってこと、改めてかみしめる。与えて与えられて支え合うことの当たり前が少なくなった世の中で、この真に豊かな家族像はズシンと私の心に響く。

 


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