富田高至 編者
恩頼堂文
庫旧蔵本 『仁勢物語』 2 二丁表
和泉書院影印業刊 65(第四期)
1998年 初版
1997年 第三版
左
2 二丁表
◯をかし男有けり、ならの京ハはなれ、此京はまた宿
もさたまらさりける時に、西の京にて女をもち
けり、其女 よ人 にハをとれりける、その人かたちよりは
心なん こはかりける人のやうにもあらさりけらし
それをかの男うち物語いかゞ思ひけん、時は弥生の
ついたち雨しよほふるによめる
おきもせずねもせてよるも又ひるも
めうなかほとてなかめくらしつ
2 二丁表
◯おかし男有けり、奈良の京(都)は離れ、此京(都)はまた宿
も定まらざりける時に、西の京(都)にて女を持ち
けり、其女 世人 にはを取れりける、その人 形よりは
心なん こ計りける人の様にもあ有らざりけらし、
それをかの男、うち物語 如何 思ひけん、時は弥生の
ついたち(朔日)雨 しょぼ降るに詠める
起きもせず 寝もせで 夜も又昼も
妙な顔とて 眺め暮らしつ
『仁勢物語』
仮名草子。
2巻。
作者未詳。
寛永17年(1640)ごろ成立。
伊勢物語をもじって、当時の世相・風俗を滑稽に描いた。
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
おきもせずねもせてよるも又ひるも
めうなかほとてなかめくらしつ
『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す
起きもせず 寝もせで 夜をあかしては
春の物とて 眺め暮らしつ
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