今読んでる本の中で、とても気に入ったのがあったよ。
そわそわ そわそわ
たらんてぃらん たらんてぃらん
平仮名も漢字も繊細だね。
読了するまで待てないので、記録するよ。
「藍色の蟇」
藍色の蟇 大手拓次
森の宝庫の寝間に
藍色の蟇は黄色い息をはいて
陰湿の暗い暖炉のなかにひとつの絵模様をかく。
太陽の隠し子のやうにひよわの少年は
美しい葡萄のやうな眼をもつて、
行くよ、行くよ、いさましげに、
空想の猟人はやはらかいカンガルウの編靴に。
『世界の詩28 大手拓次詩集』10ページ
陶器の鴉 大手拓次
陶器製のあをい鴉、
なめらかな母音をつつんでおそひくるあをがらす、
うまれたままの暖かさでお前はよろよろする。
嘴の大きい、眼のおほきい、わるだくみのありさうな青鴉、
この日のしづかさを食べろ。
鴉(からす)
嘴(くちばし)
『世界の詩28 大手拓次詩集』10-11ページ
『世界の詩28 大手拓次詩集』 彌生書房 伊藤信吉編より書き写す