うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

春をあるく 若冲展

2007年05月21日 | ことばを巡る色色
もう夜中なんだ。NHKがヒーリングビデオみたいにモーツァルトを流すほどの真夜中。でも、眠れない。
君は若冲を見たか? YES! YES! 私は、見た。 於:相国寺承天閣美術館
そう、副題をつけよう。「見ずには死ねない」その言葉がぐるぐる回った。見なきゃ駄目だよ。絶対だ。

日曜の朝7:30発の在来に飛び乗り、まずは山科で降りて地下鉄で東山に向かう。カップリングとして用意しておいた岡崎公園横、細見美術館の「オールドノリタケ展」 細見美術館は前回の江戸琳派を入れ2回目の観覧。階段を登ったりの下ったりの落ち着いた美術館です。今回の展覧会は、日本オールドノリタケコレクターのオーソリティーとも言うべき大賀さんと若林さんのコレクション。ここはやはり押さえておかねばならぬ展覧会。コレクター本でも見たことのないようなものが多くあり、さすがのコレクションでした。気に入ったのは、蛙の盛り上げのあるvase。どこか鳥獣戯画のようで、若草地に白のもの。若いカップルが幾組か見に来ていて、ほお、このような層もおいでになるのだと感心しました。
さて東山から、烏丸御池で乗り換え今出川へ。地下鉄(今回の京都は地下鉄一日乗車券を購入のため、移動手段は地下鉄です)の今出川は御所と同志社(相国寺の後、ちょっと見学。レンガ造りの近代建築学舎は、とても静かでどこからか花のいい匂いがして鳥が鳴いていた)と冷泉家と相国寺に囲まれている。が、まずはわき目も振らず相国寺へ。チケットは購入済なんだけれど、11:30にして入場制限、待ち時間45分とのアナウンス。第一展示場に入れていただけるまで、45分かかっちゃいました。ここは、金閣寺の襖絵など水墨画が中心。前も思ったのだけれど、3Dの絵を見ているような錯覚に陥る。墨の線が木の洞に見えたり、また線に戻ったり。だのに、そうだよね、実物の木ってこうだ、葡萄ってこうだ、蔓ってこうだって思えてしまう。突き放したように襖の真ん中に描かれた鳥が「その世界」に存在している。鶴が松に問うている・・・凄すぎる・・・
次の第二展示場に入るのも、しばらく並んで待つ。
釈迦三尊像と動植綵絵 三十の動物植物の絵は、今は宮内庁の物となっている。開基足利義満600年忌に、120年振りに相国寺に戻ってきている。そうして、それを見られるのはたったの3週間のうちだけだ。
列は進まない。誰もが三十三枚の一つ一つの前に貼りついている。執拗な写実と、簡潔な抽象。相反する物が一枚一枚の中に詰まっている。己の全てを絵を描くということの前に投げ出している。「かわいい」と楽しげにおしゃべりする女の子がいたり、「あっ」と声にならぬ叫びを漏らす人がいたり。出てきたのは4時少し前、計4時間(待ち時間も長かったけどね)立ったままだった。書きたいことはたくさんあるけれど、とにかく誰にも、「見なけりゃ死ねないよ」といいたくなる。「行っとかなきゃ駄目よ」と勧めたくなる。唯一無比の空前絶後の史上最高の絵師。若冲さん、私はあなたに私の一等賞を捧げる。
会期は6/3まで、諸人よ、いざ古都に急げや、急げ。

連絡 私の後ろで見ていて、ロビーで京都国立博物館「道長展」の招待券を下さった大阪のお姉さま。もしも、これを見るようなことがあれば、ご連絡ください。私はハンドタオルで曇ったガラスを拭きながら見ていた者です。お話したいです。 

コメント (12)
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