urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

『CONTINUE SPECIAL』太田出版

2005年08月28日 | comic
ハチクロ特集号。 第一印象は非常に端的で、「ヌルいクイックジャパン」です。まあ版元が一緒だからしょうがないのかもしれないけど、辞典企画とかまんまだし。しかし情報のネットワーク性に乏しい辞典だなあ…。 竹本の旅路をなぞった企画は面白かった。しかしその他、インタヴュー、コラムなど、筆力のあるライタに恵まれてないなあ、という印象。まあ一番大事な作者&編集者インタヴューは吉田豪がやってるんで大丈夫ですが。 . . . 本文を読む

THE BACK HORN 『産声チェインソー』

2005年08月28日 | listening
ライヴアルバム。 既出アルバムの楽曲が網羅されているが、中心となるのはやはり最新アルバム『ヘッドフォンチルドレン』の楽曲。まあレコ発のツアーだし当然なのだが。 しかし僕は、正直このアルバムがあまり好きではない。いや、もちろん名曲揃いだとは思っている。シングル二曲はもちろん、「奇跡」の果てしない高揚感とかやばい。しかしね…アルバム通して聴いた時、今までの「バックホーン」というバンドのイメージを超えき . . . 本文を読む

GRAPEVINE『deracine』

2005年08月27日 | listening
なんかバイン聴いたのすごい久しぶりな気がするなあ。 前作『イデアの水槽』があまり好きじゃなくて(つか多分、前々作『another sky』が好き過ぎるんだな)、なんかその後のシングルやepも聴く気しなくなってたりしたんですよね。 で、今回のアルバム。第一印象は「マッチョ」。かつてのバインのイメージとは異なり、非常に肉体的で、男っぽさを感じさせるロック。バンド随一のポップ・メロディメイカーである亀井 . . . 本文を読む

石田衣良『LAST』講談社文庫

2005年08月26日 | reading
ネタバレ注意。 短編集。 うーん。これはダメだなあ。ネタの選定もベタなれば、その処理の仕方も非常にベタ。IWGPシリーズ、特に「西口ミッドサマーレイヴ」なんて、その卓抜極まるプロット構築に唸ったものですが、ここに並んだ作品にはまったくその快感がない。特に最初の二編とラスト一編は感心しなかった。セックスボランティアなんて、オチに使うんじゃなくてそれを発端に話進めていくべきだと思いますが。そう、マコ . . . 本文を読む

アニメ『ハチミツとクローバー①』

2005年08月26日 | movie
DVD…予約して買っちゃいましたよ。もちろん初回版…ジャケット可愛いんだもの。 さて、テレビ放映を見ていて、製作者側が原作に忠実に忠実に、世界観を丹念に写し取ろうとする努力が伝わってきてなかなか好ましく見ておりました。でもこの巻に収録された最初の二話は、やはり2クールやるアニメの冒頭ということで独自のシーンが入っています。まず竹本の自転車モノローグから始まるということ(やはり自転車旅のゴールでシ . . . 本文を読む

綾辻行人/佐々木倫子『月館の殺人 上』小学館IKKIコミックス

2005年08月25日 | comic
IKKI本誌で既にすべて読んでいるので、単行本で買っても今更感想とかもないわけですが。まだまだ序盤ぽいし。 僕がなんだかんだで最も敬愛する作家、綾辻行人が原作ですが(ベタなんですよ、僕の趣味)、原作者の味は薄い。つまるところ佐々木倫子ワールド全開。かと言って僕は『動物のお医者さん』も『Heaven?』も読んだことないのですが。確かなのはコミカルなキャラ造型と細かいギャグで綾辻節の介在する余地が与え . . . 本文を読む

くるり「Superstar」

2005年08月24日 | listening
「birthday」以来の二ューシングル。 くるりは完全に名曲量産体制に入っている感がありますね。「ハイウェイ」や「ロックンロール」の路線、爽やかなトラックに美メロ。個人的にサビメロがツボ入りまくりなのですが、あまり垂れ流しにしないところもまた良し。 岸田はこの曲を作ってる時、頭の中に夏フェスの光景がずっとあったと語っていますが、確かにロックのマジックを唄っているようにも聞こえますな。それをこんな . . . 本文を読む

霞流一『首断ち六地蔵』光文社文庫

2005年08月23日 | reading
ネタバレ注意。 解説の千街晶之は、いつもより洗練されている旨述べていますが、僕にはいつも通りの霞バカミスにしか見えませんでした。いや、いい意味で。切り取った舌をドアストッパにしてみたり、老婆の死体を大鍋で煮てみたり、犯行現場がかつてドリフの収録に使われていたことを伏線に使ってみたりとやりたい放題トゥーマッチ。 しかし言い方を変えれば、非常にサービス精神旺盛で贅沢な作品であると思います。六本の連作 . . . 本文を読む

羽海野チカ『ハチミツとクローバー⑧』集英社クイーンズコミックス

2005年08月22日 | comic
ちょっと反則的なぐらいに可愛い表紙でありながら、中身は結構激動の八巻。 この漫画を読んでいる時の僕は完全に乙女です。 以下心の叫びの流れ。 「あゆーーっ!!」→「野宮ーーっ!!」→「修ちゃーーんっ!!」(号泣)→「あゆーーっ!!」 心の叫びって言うか実際叫んでたしね…。 この巻の個人的見所は野宮。まあ基本的にはついに真山とリカが「優しくしあうことを許された」ことに尽きるんでしょうがね。今まで野 . . . 本文を読む

石持浅海『扉は閉ざされたまま』祥伝社ノンノベル

2005年08月21日 | reading
ネタバレ注意。 倒叙モノです。 ミステリマニア外の方に説明しますと、犯人の視点から描く推理小説をそう呼びます。例として最もよく挙げられるのは「刑事コロンボ」のシリーズですかね。厳密にはどうか分かりませんが…。 死体が見つからない(というか死が発覚しない)ままに繰り広げられるロジック対決という趣向はなかなかに目新しく、面白いと思います。ロジック自体はまあ、犯人が見落としていた小さな瑕疵を付く、と . . . 本文を読む

喜国雅彦+国樹由香『メフィストの漫画』講談社

2005年08月21日 | comic
メフィスト連載作を中心とする、ミステリネタギャグ+ミステリ作家ペット訪問漫画。夫婦で描いてます。 国樹の手になるお宅訪問の方も面白いですが、なんつったってミステリ好きならツボを突かれまくってやまない喜国のミステリネタが出色。以前出たとり・みきのやつより、ネタが幅広いよね。古本ネタが多いのはご愛嬌ですが。 「街角」なんて普通にいい話で、これネタにしていい長編が書けると思うよ。あとはいろはカルタのネタ . . . 本文を読む

津原泰水『赤い竪琴』集英社

2005年08月21日 | reading
ネタバレ、一応注意。 血と炎を模したような赤色の表紙だったので、てっきりホラーだと思って読んだら恋愛小説でした。これはJAROモンですぞ。 相変わらず文章は端正で心地よいし、物語を飾る道具立ても魅力的。夭逝の天才詩人、その遺品のノート、弦楽器とその職人、鯨のうた。魅力的ではあるのだが、そのキモとなる恋愛の方が胸に迫ってこなかったね。「うまいなあ」とか津原の方に感情を向けてたせいなのか。 ホラーの . . . 本文を読む

倉知淳『ほうかご探偵隊』講談社ミステリーランド

2005年08月21日 | reading
ネタバレ、一応注意。 読んでいる間の感触は、ジュブナイル・ミステリそのもので、あまりにも真っ当すぎるという印象を受けます。しかし、主人公たちの推理、思考にキレがなさすぎるなあ、とか、そもそもタイトルがダサすぎるなあ、などと思っていると、終盤のどんでん返しの連続のなかでそれらがうまいことひっくり返されるという構成。やはり倉知はいい味出しますねェ。「三浦(ヤス)」のしつこさとか、「~の推測」とか、ユ . . . 本文を読む

飛鳥部勝則『誰のための綾織』原書房

2005年08月21日 | reading
ネタバレ注意。 高校生モノを連チャンしてしまった…と少し後悔。 作中作に仕掛けられた「人物の非同一性」はいとも容易く見破れた。呼称などの伏線も、読み進むのと同時進行に。ちょっと軽率だと思う…。しかし作中作の外側の仕掛けに至っては無理だったが、そもそもそちらには意味があるのか疑問です。俺が分かってないだけでしょうか? 今時舞城がミステリをコケにする時ぐらいしか使わないような、捨て・機械トリックは . . . 本文を読む

辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』講談社ノベルス

2005年08月21日 | reading
ネタバレ注意。 この作家が影響を受けたであろう作品がいくつか想起される…まず『レベルE』は確実として、『漂流教室』(あるいは『ロング・ラブレター』)、しぶいところでは大塚英志『冬の教室』、あとはもしかしたら『天使なんかじゃない』…それに本格が好きで、叙述トリックってやつを使ってみたかった、ってかんじでしょうか。 さて、で、本格ミステリと学園ホラーの折衷といった印象。正直どちらも中途半端だと思いま . . . 本文を読む