urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

小野不由美『くらのかみ』講談社ミステリーランド

2005年08月19日 | reading
ネタバレ注意。ほとんどないけど。 謎解きは非常にシンプルで心地よいものだし、そこに「座敷童子」というファクタを絡ませてくる手つきもなかなか。ミステリとして完成度は高い。 さらに「遺産相続のために旧家に集められた人々」というベタな設定が、子供の目線から描くとこうなるのか、という新鮮な面白さがありました。凄く楽しげに描けていると思います。屋根裏部屋を掃除したりとかさー。 半分くらいしか読んでないけ . . . 本文を読む

津原泰水『ルピナス探偵団の当惑』原書房

2005年08月18日 | reading
ネタバレ注意。ほとんどないけど。 端正な文章と、プロット構築能力を高いレベルで併せ持つ、非常にスキルフルな作家なので、本格書いたら面白いんじゃないかと思っていた、というかホラー作品にどこか本格ミステリ的なにおいを嗅ぐことが多かったのですが、やはりもともと本格への志向はあったのですね。 少女小説家時代の作品の改稿版らしい。ミステリのコードをさまざまに援用する手つきは堂に入ったものがあるし、集団探偵 . . . 本文を読む

町田康『告白』中央公論新社

2005年08月18日 | reading
ネタバレ注意。 「河内十人斬り」というのが河内節であるらしく、それを町田節で小説にしましたよ、というもの。 町田の魅力は独特すぎる文章と、破天荒すぎるストーリー、キャラクタ設定が両輪と思っているので、ちょっと片手落ちの印象は拭えない。いつもよりストーリーのハチャメチャ加減が薄く、その分主人公、熊太郎の思弁(笑)を読ませるのがメインだが、やや冗長の感もあるなあ、と。まあ冗長と言うよりは分量が膨大す . . . 本文を読む

芦辺拓『紅楼夢の殺人』文藝春秋

2005年08月17日 | reading
ネタバレ注意。 芦辺拓は本格を読ませてくれる作家として信頼していますがこれはちょっと…。 絢爛豪華な人工楽園で繰り広げられる連続殺人。道具立ては非常に魅力的ですが、解決や伏線などもおざなりでションボリ。まあそれは多分自覚的にやってることで、本人言うところの「本来のメタミステリ」としての構成に気を配っておられるのでしょう。しかし作中の人物造型があまりにも類型的で、その仕掛けの根幹をなす宝玉というキ . . . 本文を読む

舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』講談社

2005年08月17日 | reading
ネタバレ注意。 表題作。 いろいろ混沌としてはいるが、基本は「病室の恋人たち」のおはなし。彼は流通している物語に非常に自覚的(『千と千尋~』とかね)なのがしばしば見受けられるので、これが某ベストセラーに対するアンサーなのかどうかは一考に価するのでは。 その点で僕は大してうまい評価軸を見出せないけども、やはりなんつったって表現の周到さにかけて優れていることは言うまでもなく。いつもより「文圧」はおさ . . . 本文を読む

島田荘司『ネジ式ザゼツキー』講談社ノベルス

2005年08月17日 | reading
ネタバレ注意。 ええとまあ、島荘がよく語っている、「冒頭に幻想的な謎…」云々、という本格論の忠実な実践であると思います。しかしどうにも…。手記にこんな不合理なことが書いてありました、でも実はこんなイミだったんです(よ、石岡くん)、なんて提出されても(いや、石岡は出てないけど)、「へえ」とか思ってそれで終わりになってしまう…まあもちろん、その謎と解決のできにもよるし、単純に方法論の問題に帰着するわ . . . 本文を読む

森見登美彦『太陽の塔』新潮社

2005年08月17日 | reading
ネタバレ注意。 ずーっと読みたいと思ってたんだけど、機を逸していた作家。山形市立図書館は偉い。 第一印象としては、意外と読み易いエンタテインメントといった感じ。もっと才気ばしっているかと思ってたのだが。たとえるなら、滝本竜彦に文学的な自意識を加味したような印象。主に文体で。 ファンタジーノベル大賞受賞の作品だが、ここでの「ファンタジー」は「妄想」と訳されるのですね。男汁とルサンチマンにまみれた . . . 本文を読む

江國香織『神様のボート』新潮文庫

2005年08月17日 | reading
ネタバレ注意。 別に読む気はなかった(山形市立図書館で死ぬほど本借りてきたし)のですが、妹が千円で読書感想文を書けと懇願してきたので請け負ってしまったのでした。まあ好きな作家だしいいかなあと。 ええと、聡明な娘と夢見がちな母という設定はなんかベタだけど、やはりうまい作家なので非常にいとおしく思えます。前半は多少冗長ながら、後半は胸がつまるようでした。 あとはやはり、この不条理なハッピーエンドね . . . 本文を読む

馳星周『不夜城』角川文庫

2005年08月16日 | reading
ネタバレはほとんどないけど一応注意。 今更のベストセラー。『漂流街』とか『虚の王』とか何作か読んでるし、『ダーク・ムーン』にはサインまで貰ってるのですが代表作を読んでいないのでした。しかしあのイベント、『少林サッカー』を観た後に馳星周のトークショーって意味不明だったなあ…山形の限界か。映画クソだったし。 ええと、まあぶっちゃけて言って傑作だと思います。非常に迫力に満ちたノワール。ラストの車中の . . . 本文を読む

JLEAGUE DIVISION2 第26節 モンテディオ山形 1-1 アビスパ福岡

2005年08月13日 | soccer
2005.8.13 山形県総合運動公園陸上競技場 さて、帰省して早速チケット取ってべスパへ。 高校の時の生徒会長がビール売ってるのに遭遇。タダでくれると言ってくれたのですが「ビール苦手だから…」とかって断ってしまいました。あんま仲良くなかったのにフレンドリーに接してくれてありがとう、さすがだよ(なんて卑屈な)。キョドってしまってごめんよ。 アップ開始と同時くらいに雨に降られてしまい、なんの準備 . . . 本文を読む

森博嗣『どきどきフェノメノン』角川書店

2005年08月12日 | reading
ネタバレ注意。 chemさんに貸していただきました。重ね重ねどうも。 『ダウン・ツ・ヘヴン』とは打って変わった、と言うかその後に読むとなお一層、パラノイアめいて饒舌な文章が印象的です。ツッコミ所は無数にありますが、あり過ぎて引用とかいちいちできないというのが正直なところ。 物語は基本的に恋愛小説、しかしそう断言するのはだいぶ憚られる。なんて言うのだろう、「迷宮小説」とでも呼ぶのが正しいのではな . . . 本文を読む

森博嗣『ダウン・ツ・ヘヴン』中央公論新社

2005年08月10日 | reading
ネタバレ注意。 chemさんに貸していただきました。いつもどうも。 抑制された美しい文章が魅力のシリーズ、第三作。この作品でも相変わらず、リリカルでロマンチックな飛行機乗りの物語が読める。 「キルドレ」という設定名からしてそうなのだが、「子供/大人」というテーマ軸が見える。だがしかし、ドラマとしては大した感興がないというのが正直なところ。《平熱のままに冴え渡る筆致。その美しさにただ平伏、感嘆》 . . . 本文を読む

eastern youth"極東最前線/巡業~心ニ黒イ雨ガ降ル~"

2005年08月09日 | live
2005.8.8 名古屋クラブクアトロ 何度も言いますが最愛のバンドです。 一泊二日で研究室の友人と海へ出かけておりまして、泥のような疲労と身体背面皮膚の灼熱を引きずりながらの参戦とあいなりました。今これを書きながら、正直高熱に魘されています。 クアトロは意外とぎっしり。レコ発でもなんでもないタイミングなのでちょっと心配していましたが、杞憂でしたね。非常にアツくていい客層だったと思います。まあ . . . 本文を読む

LINKIN PARK『LIVE IN TEXAS』

2005年08月07日 | listening
えりつぃんさんに貸していただきました。 いきなりライヴアルバムとは味なマネを…。 ライヴ映像をテレビとかで見たことはありましたが、音源は初ですリンキン。まさにラウド・ロックですな。でも借りといてなんだが俺正直こういうのあんまりかっこいいと思えない…。イントロで結構キレイなフレーズがあって、そっからヘヴィに展開していくのもいいのですが、単調なメロとシャウトとラップが入ってくるとなんか醒めてしまうの . . . 本文を読む

荒木飛呂彦『STEEL BALL RUN⑤』集英社ジャンプコミックス

2005年08月06日 | comic
ウルトラジャンプに移ったってことで心配しておったのですが、版型は変わらない模様。良かった良かった。 しかしどんどん絵が荒れてきているように思うのですが。三部ラスト付近の神作画よもう一度。 あと絵と言えば、というかデザインの話ですが、「左腕の守護精霊」はあれでいいのか? なんか、「なかよし」あたりでセンスのない漫画家が無理矢理出したマスコットキャラみたい…まあそういうキャラは「チュミミィィーン」と . . . 本文を読む