THE BACK HORN 『産声チェインソー』

ライヴアルバム。
既出アルバムの楽曲が網羅されているが、中心となるのはやはり最新アルバム『ヘッドフォンチルドレン』の楽曲。まあレコ発のツアーだし当然なのだが。
しかし僕は、正直このアルバムがあまり好きではない。いや、もちろん名曲揃いだとは思っている。シングル二曲はもちろん、「奇跡」の果てしない高揚感とかやばい。しかしね…アルバム通して聴いた時、今までの「バックホーン」というバンドのイメージを超えきるものが開かれない印象があるんですよね。『イキルサイノウ』というアルバムは真価を示した作品だと思うけれど（「赤目の路上」なんてそのあまりのかっこよさにイントロだけで泣けたもんね）、そこからの革新が見えなかった。「ヘッドフォンチルドレン」や「キズナソング」、そしてこのライヴアルバムでのシリアスなＭＣ（byエイジュン）に見られるような、リスナーとの関係性の志向の変化にそれを見るべきなのかもしれないが、僕にはちょっと受け入れ難い。「墓石フィーバー」とか、なんか佯狂っぽいとすら感じられてしまって。
というわけで、やっぱり「幸福な亡骸」とか「雨」とかが好きなのね。どうも名古屋のダイアモンドホール公演の録音は選曲がしぶい。就活終わったばっかりの時期でタイミング逃してライヴ行かなかったんだけど（四、五回は観てるのでちょっと食傷してたのかも）、行けば良かったかなあ。
このバンドのライヴを観ていつも感じ入るのは、何よりvo.山田将司の「うた」の圧倒的な力。僕の知る限りで、日本のボーカリストの中ではナンバーワンだと思っています。このアルバムでも、真摯な曲でも、狂騒のなかにあっても、彼のうたはその振れ幅のなかでしっかりと訴求力を保っている。あの振り回されてるパペットみたいな動きが見られないのは残念ですが。

まあ一番見られなくて残念なのは、栄純のヨダレだけどね。

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