urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

飛鳥部勝則『誰のための綾織』原書房

2005年08月21日 | reading
ネタバレ注意。

高校生モノを連チャンしてしまった…と少し後悔。

作中作に仕掛けられた「人物の非同一性」はいとも容易く見破れた。呼称などの伏線も、読み進むのと同時進行に。ちょっと軽率だと思う…。しかし作中作の外側の仕掛けに至っては無理だったが、そもそもそちらには意味があるのか疑問です。俺が分かってないだけでしょうか?
今時舞城がミステリをコケにする時ぐらいしか使わないような、捨て・機械トリックは笑えた。

小説として、最初は古風でシックな少女モノかと思って面白そうだと思ったら、どんどんインモラルで狂騒的な方向に突っ走ってしまい、呆気にとられた。『バラバの方を』とか『ラミア虐殺』とかさ、この人こういうの好きだよね…。『殉教カテリナ車輪』、『冬のスフィンクス』あたりの静謐が好きだなあ。狂的な静謐。

山本タカトの装画は、グロテスクかつエロティックでとても素敵です。この作家はさすが自身画家だけあって絵のチョイスが素晴らしい。普通文庫本の表紙で会田誠になんてお目にかかれませんぜよ。

作品の評価はCプラス。

4562038896誰のための綾織
飛鳥部 勝則

原書房 2005-05
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