ネタバレ注意。
文章下手(この台詞の軽薄さはなんなんだろう)、登場人物はみなエキセントリックで過剰(この警察に対する悪意はなんなんだろう)、ミステリとしても大味でツメが甘い(「ダムダム弾」というファクタの処理は面白いと思ったが、魅力的な建物構造を利用した大トリックがいかにも島荘ってノリながら大味でションボリ)。島荘の悪いトコ出ちゃいましたーって「大作」だけど、それでも高揚しつつ読まされてしまうの . . . 本文を読む
ネタバレ注意。
個人的に、タイトルのセンスが最悪だと思うのですが、内容の方もそれに負けず劣らず、といった感じでした。
物語の運び自体は、序盤からオーソドックスな警察小説の趣でそれなりに読ませるけど、全貌が明らかになってみれば、犯人とその背後の「国家」の思惑が完全なる絵空事(まあそれなりに面白いプロットではあるけど)。敵役も簡単にポシゃっちゃうし、宮田のエピソードに典型的なように、並列されるエピソ . . . 本文を読む
ネタバレ特になし。
毎日に設定された、様々の「記念日」をネタにしたエッセィ集。内容は別に評価するほどのものでもないが、力抜いて、安心して楽しめるらも節です。フォーマットが決まってるから、彼のエッセィの大きな欠点である「同じ話を繰り返す」ってことがないのが良かった。
以上、あと言うことない。
作品の評価はBマイナス。
休みの国中島 らも 講談社 2006-08-12売り上げランキング : 1 . . . 本文を読む
ネタバレ特になし。
つまらんかってん。
基本的には京極作品に出てくる妖怪に解説つけてるんだけど、その割に京極作品に関する言及はほぼ皆無。「参考書」としてはそれでいいのかもしれないけど、「副読本」的な内容を期待していた俺には読むべきところがほとんどありませんでしたと。
内容的にも、いろんな文献から引っ張って、駄洒落交えた絵解きが行われているけどカタルシスはない。「絡新婦」とか酷いぞ。まあ鳥山石燕の . . . 本文を読む
ネタバレ注意。
おー。久しぶりにトリックに感心しました。島田荘司ばりの大掛かりかつシンプルな物理トリックで、森作品には珍しい種類のカタルシスを与えてくれます。
玉蜀黍の話が哀切だったけれど、これだけ端的に「動機」を書いたのも珍しいような。森の近作では、あるいはもしかしたらキャリアを通じて最も、「本格推理小説」に近いフォルムを持った作品であると思います。
で、しかしそのスタンダードから乖離させてい . . . 本文を読む
完結巻。
この巻の中核となる「選択」に関して。これ以上なく意外だったし、少女漫画的な「規範」からは逸脱していると思いますが、なぜかとても納得のいくものでした。それはこの作品が終盤、照準を絞っていった「才能」というものとそれに対する「決着」というテーマに対して、その態度を一貫してブラさなかった表れであるからだと思います。「少女漫画」というカテゴリから、この漫画が頭一つ抜け出しているのは、なによりその . . . 本文を読む
ネタバレ一応注意。
正直まったく期待してなかったんだけど意外と良かったシリーズ第二弾。
やはり高田崇史、コミカルなものの方が合ってると思う。うまいよ。コミカルなストーリーラインだけでなく、ミステリとしても、特に「ショパンの調べに」、そのプロットに感心しました。凄く意外だし、綺麗です。
漫画作品のノベライズらしいんだけど、これ考えたのどっちなんだろ。それで手柄の所在も変わってくるとは思うのですが。 . . . 本文を読む
結局キリストだったのね…。
てのは置いといて。もしかしたら違うかもしれんし(ないな)。この巻は久しぶりに胸躍った。マウンテン・ティムとブラックモアのタイマンのシーンは非常にクールなハードボイルドっぽい雰囲気があって、荒木のマンガ家としての演出力を見せつけられた。相対速度と動体視力とか、「"蒸発"してるわ…」とか、バトルのプロットにキレがあった。
こういうのが好きです。
スティール・ボール・ラン . . . 本文を読む
ネタバレ一応注意。
世界一有名な探偵の、記念すべきデビュー作なんだけど、正直ミステリとしては別段見るべきものはなかったな。
ホームズとワトスンの掛け合いの面白さは既に確立されてるし、第二部「聖徒の国」で描かれる「殺人の来歴」にも読み応えがある。リーダビリティは発揮されてるんだけど、ミステリとしてはやや短絡的なきらいがあるな、と思います。有名な握手だけからの来歴推理もね。
んでこれ、今の世の中じゃ . . . 本文を読む
ネタバレ一応注意。
あまり期待はしてなかったんだけど、予想外に良かったです。既読の田中作品ではベストかな。
「笑酔亭」一門に無理矢理入門させられたヤンキー、竜二を主人公にした(…なんだか既視感が)連作短編集。何より見事なのは、タイトルに冠された古典落語がうまくプロットに落とし込まれ、ユーモアも交えて端整な「落語小説」として仕上がっていること。元ネタの魅力も充分に伝えてるし、この構成力は意外な手腕 . . . 本文を読む
ネタバレ一応注意。
なにげに西村京太郎の長編読むの初めてかも(短編は法月編のアンソロジーかなんかで読んだ)。デビュー当時は本格志向だった(らしい)国民作家の、そっちの畑では代表的なシリーズの復刻版。ナイス講談社文庫出版部。最近いいぞ。あとは浦賀をなんとかしてくれ。
で、ポアロ、クイーン、メグレ、明智小五郎という四カ国の名探偵が終結するパスティッシュ。この設定からしてワクワクするが、意外ながらスト . . . 本文を読む
つーことでね、観てしまいましたよ。
別に取り立ててなんだかんだと言うほどの出来とは思えなかったので、ここは一緒に鑑賞した23才女子、理系大学院生、ちょっとミステリ好き、なCさんの鑑賞中の発言を引用させていただきます。
まあ俺も似たようなこと思ったし。
では以下時系列でどうぞ。
「太一はなんであんなキャラになっちゃったの?」
「栗本は実写化したらあんな感じだよ」
「ファンキーなババアじゃなくなっ . . . 本文を読む
ネタバレ一応注意。
なんか昨日ドラマやってたみたいですね。ナイスタイミング。
で、俺んなかでは石田衣良と並んで、「昔から上手くて好きだったけど、売れっ子になるとやっぱり筆が荒れてきて、最近あんまりテンションの上がらない作家」として位置づけられている荻原浩。今作は平成のフリータと昭和の青年海軍兵士の、入れ替わり・タイムスリップ小説。
俺は戦争小説ってあまり読まないんだけど(哀しくなるじゃん)、これ . . . 本文を読む
ネタバレ注意。
勝手に連作でラストに繋がると思ってたので梯子を外された感がありましたが、一話ごとに見ても、それぞれ見所のある短編集です。この作家の、恐ろしく破壊的な過去の作品から見ればおとなしくはありますが、やってることはなかなかに先鋭的。
それぞれの作品に「偶然」が強く作用している。その形を取り出すのがこの作品ににおける名探偵・真紅郎の「シンクロ推理」。どこか人工的なものを感じさせる世界観のな . . . 本文を読む
企画アルバム。
『スカーレット』『LOST IN THE AIR』の二枚のepに、新曲二曲。
そもそもep持ってるわけだし、『PARADISE LOST』に入ってる曲もあるわけで、今更に「クロエ最高!」とか言い直しても意味ないので、新曲とDVDについて。
『PARADISE LOST』からの路線は引き継がれているように思いました。輪郭がクリアで、より肉体的にメロディを走らせる。木下の声も太くなった . . . 本文を読む