インフルエンザの流行が今年に入って北海道から沖縄までの全国に拡大し、抗ウイルス薬タミフルの効かない耐性株が多く見つかっている「Aソ連型」が流行の中心になりつつあることが27日、国立感染症研究所のまとめで分かった。岡部信彦感染症情報センター長は「耐性は突然変異による。このまま定着するのか注意深く見ていく必要がある」としている。
昨年12月初旬、例年より早く北海道と本州を中心に流行が始まったインフルエンザは、今年に入って沖縄、九州、四国からの患者発生報告が急増し、全国に拡大した。
当初はA香港型の患者が多かったが、今月18日までに検出されたウイルスはAソ連型が53・2%と過半数を占め、次いでA香港型36・2%、B型10・6%だった。
今シーズン採取されたAソ連型のウイルスは、ほとんどがタミフル耐性株であることが、厚生労働省などのまとめで分かっている。
一方、近畿各地ではAソ連型よりA香港型が上回っているが、「例年より速いペースでインフルエンザが流行している。来月にかけてタミフルの効かない耐性のAソ連型が拡大する恐れもある」と各府県は警戒を呼びかけている。
大阪府では、約300の医療機関で今月確認されたインフルエンザ患者は5268人。小学校などでの学級閉鎖は目立っているが、医療機関での院内感染や施設などでの集団感染の報告はないという。府感染症情報センターによると、「昨年12月まではA香港型が多かったが、今年に入って以降はAソ連型と半々ぐらいになってきている」と分析している。
兵庫県のインフルエンザ患者は約200の医療機関で4437人で、特定できた型のうちAソ連型が6人、A香港型が27人だった。奈良県でも55医療機関で1413人。確認できた型のうちAソ連型は24%にとどまっている。
また、京都府も125医療機関で2379人のインフルエンザ患者を確認しているが、今月18日現在でAソ連型は検出されていないという。
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【用語解説】Aソ連型インフルエンザ
毎年流行するインフルエンザウイルスの一つで、1977年に旧ソ連で分離されたことからこう呼ばれる。治療薬タミフルが効かない耐性ウイルスが大半を占めており、近年ではA香港型、B型と合わせた3種類が混合して流行している。
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