クマ殺処分1900頭超 絶滅の懸念も 本年度・東北
1月29日7時1分配信 河北新報
東北6県で人里に出没するなどして、殺処分されたクマの頭数が本年度、1900頭を超えた。全国で処分されたクマの約4割にあたり、地方別では最も多
い。県別では山形県が全国トップで、上位10位以内に青森を除く5県が入っている。西日本では個体数の維持に取り組む自治体もあるが、東北では少なく、個
体数の減少を不安視する声も上がっている。
昨年12月末までの東北各県の捕獲数、処分数は表の通り。いずれも既に前年度1年間の頭数の5倍を超えている。処分数は北海道や長野、新潟両県も多いが、東北の各県は福島4位、秋田7位、岩手9位、宮城10位で、全体では中部地方を約230頭も上回る。
絶滅が危惧(きぐ)される西日本では種の保護の観点から捕獲後、地域住民の了解を得た上で、子グマやおとなしいクマを山に返す放獣に積極的に取り組んで
いる。中部地方は捕獲数では東北を上回るが、17.4%にあたる約360頭を放獣。福井や京都、兵庫では50%を超えている。
東北では生息数が比較的多く、クマの保護施設がないことなどから捕獲後、大半が処分されている。放獣率は岩手の9.1%が最高で、山形はゼロ。6県とも全国平均の9.7%を下回る。
保護管理計画を作り「クマとの共生」を掲げる県もあるが、「被害を受ける住民の理解が得られない」「獣医師の協力など放獣する体制が不十分」などの理由で放獣数が伸び悩んでいる。
NPO法人「みやぎ野生動物保護センター」の武田修代表=多賀城市=は「このまま捕り続けたら絶滅の可能性もある」と指摘。若いクマが人里に出没し、捕
獲されるケースが多いことから「突然一帯のクマが激減することも考えられ、人間の都合だけで処分せず、生態系全体の保護が必要だ」と話している。
保守記事.133-1-2 クマー!