<因果の花>(花伝第七別紙口伝より抜粋)
別紙口伝の中の因果の花は芸道の真理を説く。
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因果の花を知る事、極めなるべし。
一切みな因果なり。
初心よりの芸能の数々は因なり。
能を極め、名を得る事は果なり。
しかれば、稽古する所の因 疎(おろそ)かなれば、
果を果たす事も難し。
これをよくよく知るべし。
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花(世阿弥が説く能の<花>)における因果の道理を知ること、
それがこの口伝の極意である。
この世の一切は、みな因果の関係にある。
初心の時から身につけてきた数々の芸は因であり、能に熟達し
名声を獲得することは果である。
したがって、因である所の稽古が不十分であれば、名声を得る
という果を得ることは困難だ。
この道理を十分に自覚することである。」
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また、時分(じぶん)にも恐るべし、
去年(こぞ)盛りあらば、
今年は花なかるべき事を知るべし。
時の間(ま)にも、男時(おどき)・女時(めどき)とてあるべし。
いかにすれども、能にも、よき時あれば、
かならず悪(わる)き事、またあるべし。
これ、力なき因果なり。
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また、時の運を恐れ慎むべきである。去年の芸が盛りであった
ならば、今年の芸は、花が咲かないであろうことを覚悟すべき
である。
短い時間のうちにも、男時・女時といって、運勢がよい時と悪い
時があるものだ。
いかように努力しても、能の世界にも、良い時もあれば、必ず
悪い時もある。
これは、人智の及ばない因果の道理なのだ。
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***** この後、世阿弥は次のように説いている(原文省略)*****
上記の道理を心得て、さほど重要でない催しでは、競演で
あっても、あまり対抗心を起こさず、骨も折らず、勝負に負
けようとも気にかけず、手の内を出し切らず、控えめに能を
すれば、見物客も・・・・・・がっかりするであろうが・・・・・・・・
いざ重大な催しの日に、ガラリと手法を変えて、得意の能を
出して技量の精髄を発揮すれば・・・・・・意外感が沸き起こり
重要な競演に、必ず勝てるものである。
これも、珍しさ(世阿弥が説く花の一つである「珍しさ」)の道理
の大きな効果である。
前回悪かったことが因となって、今度は良い果となってあらわ
れたもので、これが、巡る時の運の結果なのである。
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(因果の花)つづく
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