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大学院であまり役に立ちそうもない勉強をしたり、陶芸、歌舞伎・能、カメラ、ときどき八ヶ岳で畑仕事、60代最後半です。

坂田藤十郎襲名披露(その五、「伽羅先代萩」床下の場)

2006-01-18 10:03:44 | 歌舞伎・能

「床下」の場

胸がスカッとする荒事の場である。

凄みのある悪人、仁木弾正の松本幸四郎、豪快な荒獅子男之助の
中村吉右衛門と、役者が揃えば言うことなしの気持ち良さ。

前の「御殿」の重い長丁場から、場面はガラリと変わる。短時間だが、
豪快で、凄みのある、ぞくぞくする雰囲気が荒事のすばらしさだ。


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<忠臣、荒獅子男之助>

忠臣、荒獅子男之助は讒言によって御前から遠ざけられたが、床下
に潜んで、蔭ながら鶴千代君を守っているという設定。そこへ政岡か
ら奪った連判状一巻を咥えた「ネズミ」が現れる。このネズミ、ちょっと
愛嬌のある、かわいらしいネズミだが、男之助がネズミを捕まえて、
したたかに打ち据えるが、ネズミは隙を見て逃げ去る。


<忍術使・仁木弾正>

すると、現れたのが連判状一巻を携えた悪人、凄みのある仁木弾正、
先ほどのネズミは忍術で姿を変えていた仁木弾正であった。
弾正は、男之助に小柄を投げつけると、悠然と去って行く。




(花道のスッポンと呼ばれる穴からせり上がってくる。手前の
 花道が、忍術を使う仁木弾正、先方が荒獅子男之助)


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《歌舞伎の醍醐味》

薄暗くした舞台の前面に仁王立ちとなる、豪快なスタイルの男之助、
花道に静かに佇んで凄みのあるふてぶてしい態度で睨む仁木弾正、
観客の目は花道と舞台に釘付けとなる。

とにかく、実悪仁木弾正の凄みにぞくぞくするような雰囲気がある。
幸四郎と吉右衛門は、過去に両方の役を演じているので、どちらを
やらせてもはまり役だろう。先代萩も床下も、全く異なる歌舞伎の
醍醐味を味合わせてもらった。

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<参考>

「対決」と「刃傷」の場は、今回上演しないが、先の連判状を咥えた
ネズミと、男之助、仁木弾正の対峙の場面から次の二つの場面が
あり、事件は終結する。
「対決」は裁判の場面であり、「刃傷」は逆上した仁木弾正が刃傷
に及ぶ場面である。

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「対決」

ここは、室町幕府の問注所(もんちゅうじょ、裁判所)であるが、
鶴千代君を擁護する老臣、渡辺外記左衛門と、今で言うところの
裁判官、細川勝元が出てくる。勿論、仁木弾正と山名宗全も出て
くる。名裁判官細川勝元によって弾正は糾弾される。


下2枚の写真は昭和63年12月、国立劇場。
壇上、向かって左が細川勝元(中村福助)、右が山名宗全(助高
屋小伝次)

下段左は外記(坂東三津五郎)、右は仁木弾正(中村吉右衛門)





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「刃傷」

仁木弾正が渡辺外記に挑みかかり、刃傷沙汰となるが外記は弾正を
仕留める。瀕死の外記に、細川勝元は鶴千代家督相続のお墨付きを
与える。この場の見所は、仁木弾正のスケールの大きな凄みである。

この写真は、外記が坂東三津五郎、仁木弾正が中村吉右衛門





                                (了)
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幸四郎の見果てぬ夢

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