悠々time・・・はなしの海     

大学院であまり役に立ちそうもない勉強をしたり、陶芸、歌舞伎・能、カメラ、ときどき八ヶ岳で畑仕事、60代最後半です。

東京国立博物館の巨大ユリの木

2005-09-12 22:20:52 | 自然
東京国立博物館本館横に立つ巨大ユリの木


今まで 何度もこの側を歩いているのにあまり意識したことはなかった。
大きな大木、という表現は本来ないが、そういっても違和感がないほど
巨木である。東京国立博物館は広大な敷地と自然の大空間、雄大な
建造物、それに見合うように配置された木々と草花、中でも本館横で
静かに佇む巨木のその雄大な姿は周囲を圧倒する。

この雄大な巨木が普段、意識されることはあまりない。なぜならこの
空間にずーっと昔から当り前のように存在しているからである。それ
なのに今日は何故か、畏敬と驚嘆の念を持って仰ぎ見ることとなった。
大自然の底知れぬ生命力に対する戦きかもしれない。この大木は、
100年、200年、いやもっと以前から我々人間を見つめてきたの
かもしれない。そして、その堂々たる落ち着き振りは我々に自然との
共生のなんたるかを啓示しているのかもしれない。

そういう感傷に耽ったのは、きよう、1270年の時空を超えて、生ま
れ故郷の日本に帰ってきた無名の遣唐使、いや遣唐留学生「井真成」
たちの真摯な研究心と壮絶な生きざまを見て、また超一級の美術家た
ちの模写・模造にかけた研鑽と裏の大功績を知り、我々が普段知らな
いでいるところに実は大変な生命と存在が宿っているのだ、というこ
とを思い知らされたことに起因しているのかもしれない。ユリの木も
こんなところでこんな大木となり、すごい生命力を宿している、と
いう驚きと、その存在自体が我々人間にとってどんなに大切な
ものであるか、ということに対する素直な感謝と畏怖の念を抱く。


さて、話を現実の会話にもどしましよう。
実はこの大木がなんの木であるか私は知りませんでした。
今日はこの大木をしげしげと見つめ、何度も行ったり来たりした挙げ
句、大木の近くにいた中年の二人連れの見学者をつかまえて、聞いて
みました。しかし、結果は、
「さァー何の木でしょうねぇ、ほんとにすごく大きな木ですこと!」
という返事であった。

そこで、園内に入るときの最初の関門である上野公園噴水側の公道
に面した正面入口のベテランの職員をつかまえて聞いてみました。
ざっと、次のようなやりとりでした。


「本館正面入口近くに立っている背の高い木は何というのですか?」
「ああ、あれはユリの木と言うんですよ。別名、はんてんの樹とも
 言われています。連休の頃にはきれいな花が咲くんですよ」

「はんてん? 祭りの時に使う、あの半纏ですか?」
「そうです。葉っぱの形がなんとなく半纏に似ているからでしょうね」

「連休って、この9月の連休ですか?」
「いや違いますよ。5月の連休です。」

「花はどんな形の花なんですか?日本の木ですか?」
「花は、小さなチューリップのような花が咲きます。原産地は北米です」

「この大木は相当背が高いようですが、どの位の高さですか?」
「一番高かった頃は100メートル位、日本一の高さでした。」

「100メートル? いくら何でもそこまではないでしょぅー」
「・・・・・・・・・・・・・返事なし・・・・・・・・・」


さすが日本一の東京国立博物館、何もかもスケールが大きいですね。
この写真に写っている大木の幹の太さと、近くにいる人間の大きさ
を比べてみて下さい。
ここではファイルの大きさを500KB以下(通常は50KB)に縮小し
ていますので圧巻、という訳にはいきませんが、私が驚嘆する気持ち
が少しは分かっていただけるでしょうか。先ほど北米原産と言っていた
ので明治初期に、ここ、国立博物館ができたときに移植したのでしょうか。



いろいろなホームページを見てみましたが、どれも「ユリの木」
「半纏の木」、「チューリップツリー」などの言葉が見つかり
ました。信州大学農学部のユリの木を写されたホームページは
すばらしい紅葉の写真でした。


     [ユリノキ]  
   
ハンテンボク、チューリップツリーともいう。
モクレン科の落葉高木。北米原産、明治初期渡来、
街路樹、庭木、公園樹などとして広く植えられる。
葉は薄くて硬く淡緑色で2~4裂、先はやや凹形
をなし、半纏に似る。5~6月枝先に、径約6CM
の緑黄色の6花弁を開く。萼片は3枚。果実は10
~11月黄褐色に熟す。材を建築、器具などとす。


      大変お疲れさまでした。最後に
筑波大学の「ユリノキ通り」を写したきれいなブログを発見しま
したのでリンクしておきました。ご覧下さい。


       <ほっとする時間>    
      http://craftshopi.exblog.jp



東京国立博物館本館正面入口脇のユリノキ




ユリノキの幹の太さを人間と比較してください

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