上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

新型コロナ禍、市民に寄り添った対応を!・・・・2021年度最終補正予算の問題点を指摘し討論

2022-02-22 10:24:28 | 熊本市議会
2021年度予算の最終補正に関する審議が行われ、本会議での採決が行われました。
長期コロナ禍に苦しんできた市民・事業者の苦難にどう寄り添い、応えていくのか、国や自治体の姿勢がより一層問われています。
日本共産党熊本市議団として、補正予算の問題点を指摘し、討論を行いました。

【討論の内容】
議第20号「2021年度一般会計補正予算」に関し、問題点を指摘し、反対討論を行います。
 この2月で新型コロナの感染が始まって丸2年を迎えました。この間、度重なる変異株の発生によって感染拡大の波が繰り返され、暮らしも経済も大きな影響を受けてきました。とりわけ、感染力の強いオミクロン株による「第6波」は、新規感染者数が桁違いとなり、重症化率が低いと言われてきましたが、重症者数や死亡者数も増え、他の変異株に比べても厳しい感染状況を呈しており、その影響もまた深刻さを増しています。長期コロナ禍に苦しんできた市民・事業者の苦難にどう寄り添い、応えていくのか、国や自治体の姿勢がより一層問われる局面での第1回定例会となりました。
 第1に、新型コロナウイルスへの経済分野の対応では、まん延防止措置の適用に伴う時短要請に対し、市の独自策として時短に応じた飲食店に対する家賃支援3億円が先決で追加補正され、人材の不足する分野への就職を促進する失業者就業支援事業2億2100万円が補正予算で提案されたことは良かったと思います。一方で、予算化されていた新型コロナウイルス対応融資利子補給事業が1億3300万円の減額となったことは、融資だけでは対応しきれない状況となっているのではないでしょうか。家賃支援やデリバリー利用促進事業の減額も含め、市民・事業者がどのような支援を求めているのか、改めて検証も必要かと思います。
また、しめくくり質疑で指摘したように、コロナの影響は長期化の中、広範に及んでいますが、まん延防止になっても、飲食店以外へは支援が行われていません。しかも、熊本市の事業者支援は国頼みで、市の独自策に乏しいのが特徴です。熊本地震もあり、財政調整基金が37億円に落ち込んでいることも独自策ができない要因の一つとも考えられますが、熊本地震の発災後、熊本城ホールの整備に450億円もつぎ込んできたこと、辛島公園・花畑広場整備に40億円も使ってきたツケでもあります。私ども日本共産党市議団には、多様な業種の方々から、外出にブレーキがかかり、売上に影響していると切実な訴えが届いています。国に対し、すべての事業者を対象にした事業者支援の拡充を求めるとともに、市が独自にも支援を実施すべきではないかともいます。事業者への抜本的な支援拡充を強く要望致します。
第2に、健康福祉分野では、「保育士等処遇改善事業」5億9700万円が追加補正されました。国の制度改正に伴うもので、今回は私立保育所等257施設の保育士等職員の給与を概ね一人9000円引き上げるものです。現場が求める水準に満たないものの、以前から改善の必要性が指摘されていた民間保育所等の処遇改善が実現したことは不十分ですが前進面だと思います。
また、ガン検診経費では、受診者数が8500人増加し、2600万円増額補正されました。これも前進面ですが、さらなる受診率向上のためにも、現行の70歳以上無料は拡充して完全無料化の実施を要望しておきます。
質疑で指摘した「生活困窮者自立支援金」は2億1593万円の増額補正となっています。期間が延長され、最申請も可能となりましたが、それだけ求められる事業なのだと思います。しかし、支給要件の一つが社協の緊急小口資金・総合支援資金を借りた世帯となっているために、対象が生活保護や住民税世帯非課税などと限定的となっている臨時特別給付金の対象85000世帯のわずか7%程度しか利用対象とならないことは大きな問題です。国に対し、支給要件の緩和を求めるとともに、制度の対象とならない方のために、市が独自に横だしのサービスを実施していただきたいと思います。
 国民健康保険会計では、新型コロナ減免分も含む国の臨時特例補助金が1億5200万円増額補正されています。しかし、2021年度の減免実績は前年に比べ、6割程度落ち込んでいます。その理由は、質疑で健康福祉局長が答弁されたように、コロナ前に比べ2020年度3割以上所得の減った人が、2021年度はさらに3割以上の所得減少とならなければ対象になりません。要するに、コロナ前と比べ6割も所得の減るような状態にならなければ対象とならない訳で、それは廃業もしくは倒産するような状態です。本年度の制度設計には、このように大きな無理・矛盾があります。市長は質疑で、「今後とも、必要な施策を適時・適切に講じていく必要があるので、国へ臨時交付金の拡充などを求めていく」と答弁されたうえで、必要な施策には臨時交付金を活用した国保減免も「入っている」と言われましたので、国の臨時交付金が追加支給された折には、是非臨時交付金による国保減免を実施していただくようお願いしておきます。
国保の傷病手当では、同じように保険料は徴収しながら、感染しても傷病手当を支給される人とされない人があるのは、大きな矛盾です。いろいろと理屈を述べられても、不公平だと思うのが当然ではないでしょうか。2年間も収入の減少に苦しんできて、傷病手当の制度があるにもかかわらず、感染しても「お宅は対象外」と言われたら、愕然としてしまいます。コロナ感染者対象の傷病手当支給は、国へ支給範囲の拡大を求めるとともに、仮にそれが出来なくても市独自に支給していただくようお願い致します。
第3に、人件費では、今回の最終補正で通常業務分の時間外手当が3億円増額されました。昨年12月議会での新型コロナ対応分残業代3億9000万円の増額補正と合わせ約7億円もの残業代増です。新型コロナへの対応という新たな業務が増えた中で、人員を増やさずに、やりくりだけで通常業務を行うには限界があります。職員対象に行われる精神科医師・臨床心理士・保健師等への相談や休職者は、コロナ禍の前と比べ格段に増えています。過労死ラインを超える残業となった職員が昨年12月の時点で236人にも上っている状況は放置できません。過度の負担となる業務形態改善のためにも、緊急時に対応できる職員の確保・拡充をお願い致します。
 第4に、今回の補正予算では各種指定管理施設の指定管理料が新型コロナ対応で増額されました。利用者減やコロナ対応による経費の増加など、やむを得ない面もありますが、企業の指定管理については、検証も必要であると考えます。指定管理料を0円で契約している熊本城ホールでは、今年度もまた1億4836万円が増額されました。2020年度・2021年度の2年間で、すでに4億6600万円を補てんしましたが、黒字の時は最大でも5年間で1億円しか熊本市に還元されません。あまりにも不合理ではないでしょうか。昨年の第1回定例会でも指摘しましたように、新型コロナ禍、一般の企業は、コロナ融資で資金を調達し、アフターコロナの経営改善の中で返還していくという経営上の努力によって乗り切っています。企業による指定管理者制度は、事業者が一円の設備投資もせずに、施設使用料も払わないで、利益が出たら収益は企業にもたらされる仕組みです。しかも、不測の事態の減収はきっちり行政から補てんしてもらう訳ですから、これほどうまい話はありません。公の施設は、企業の利益のために利用されるべきものではありません。よって、企業努力も必要です。そういう意味で、企業の指定管理については、今後不足分補てんの仕組みを検討する必要があると考えますので、指摘しておきます。
最後に、800万円が予算化されていた「市庁舎整備の在り方に関する有識者会議」は、有識者会議が1回、耐震性能分科会が1回、それぞれ開催され、670万円が減額されました。予定通り執行できなかったのは、世界的パンデミックとなっている新型コロナへの集中した対応が迫られる中で、市議会も特別委員会の審議を休止しているときに、新たに予算まで組んで庁舎整備の検討をすすめようとしたことに無理があったのではないでしょうか。コロナ禍の有識者会議設置は、市民の目からも極めて異常に見えたと思います。「庁舎整備よりも、新型コロナ対策こそ真剣に集中して検討してほしい」これが、市民の率直な声です。コロナ禍の非常時に、有識者会議を設置して庁舎整備の検討をすすめている市長の姿勢は大きく問われます。
 しかも、予算が執行された委員報酬12万円の内容から、非公開で開かれた耐震性能分科会には、1回目の耐震性能評価を行った安井設計から2名が参加していたこともわかりました。評価を行った事業者の参加によって、耐震性能分科会での検証が、公平・公正・客観的にできるのか、「非公開」ではそれを確認することもできません。二重の意味で、庁舎整備有識者会議には問題があると考えます。
 多数ある補正予算の中で、主な問題点を述べてきましたが、委員会で取り上げた点も含め、今後は指摘した問題を踏まえ、住民に寄り添った市政運営に努めていただくようお願いして、討論と致します。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2021年度の最終補正予算の問... | トップ | 「熊本市庁舎整備に関わる住... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

熊本市議会」カテゴリの最新記事