友愛労働歴史館の解説員便り

当館は2009年8月で一時休館いたしました。しかし資料の収集・研究、PR活動等は継続します。再開は2012年8月1日!

鈴木文治(友愛会創立者)は信仰人か、宗教者か!

2010-01-08 15:10:37 | Weblog
●『歴史読本』2月号(宗教特集号)に登場した鈴木文治!
 歴史好きの人たちの愛読雑誌として知られる『歴史読本』2月号(新人物往来社、特別定価1090円)は、「日本の信仰人、宗教者」特集を行った新春特別号です。
 巻頭グラビアは「新しい出会いがありますようにー新春 縁結び神社仏閣紀行」であり、特集ワイド「信仰が成し遂げた偉業の軌跡」は道照、空也、叡尊、円空などを取り上げ、さらに特集ミステリーは「知られざる尼僧の役割とその日常」「俊寛―喜界島の反逆僧」他などの記事を掲載しています(以下、紹介は略)。
 ところでこの『歴史読本』2月号(宗教特集号)で気になったのは、友愛会の創立者・鈴木文治が登場していること。渋谷申博氏の特集事典「日本の信仰人 宗教者100人」は役小角、道鏡、安倍晴明、西行、法然など古今の宗教者100名を紹介していますが、その登場人物の中に内村鑑三、山室軍平、賀川豊彦と並んで鈴木文治が登場しています。
 特集事典は「鈴木文治(すずきぶんじ)―労働者の地位向上運動」の見出しで、「大正デモクラシー期の労働運動家。宮城県生まれ」と書き起こし、「明治44年、ユニテリアンの統一基督教弘道会の伝道部長になったのを機に友愛会を結成、労働者の地位向上運動を起こす。その後、ILOの創設にも参加、農民運動にも関係し、衆議院議員を三期務めた」と締めくくっています。
●キリスト教信仰を基礎に労働者の地位向上運動に取り組む!
 鈴木文治と言えば高校・日本史の教科書では、「友愛会創立者」と紹介されます。また、労働運動史の書籍には、「日本労働運動の父」としてしばしば登場します。しかし、宗教との関連で取り上げられることは珍しいと思います。
 著者の意図は鈴木を信仰人として取り上げ、そのキリスト教信仰を基礎に「労働者の地位向上運動」を図ったことにスポットを当てようとしたのでしょう。ちなみに内村鑑三は「無教会主義を唱導する」、山室軍平は「社会福祉に身を捧げる」、賀川豊彦は「自伝がベストセラーに」との見出しで、それぞれ紹介されています。
 本雑誌は鈴木文治が登場した興味深いものなので、友愛労働歴史館の収蔵資料の一冊にしようと思います。
                            以上