友愛労働歴史館の解説員便り

当館は2009年8月で一時休館いたしました。しかし資料の収集・研究、PR活動等は継続します。再開は2012年8月1日!

民社党、民社研、社会思想家・武藤光朗、その逝去から10年!

2008-09-22 15:18:03 | Weblog
◇社会思想家・武藤光朗氏逝去から10年!
 友愛労働歴史館は9月2日から「民社党の35年―100年余の民主社会主義運動の中で」と題する特別展を開催していますが、その関連で社会思想家・武藤光朗氏について一言。
 民社党を思想的、政策的にバックアップした組織として民社研(民主社会主義研究会議、現政策研究フォーラム)があります。民社研は民主社会主義の研究・普及に、政策の立案・提言に大きな役割を果たしましたが、武藤光朗氏はこの民社研の議長を務めたこともあります。
 1998年7月25日、東京・大田区山王の自宅で逝去され、10年の節目を迎えました。武藤氏は世間的にはそれほど著名な学者ではなかったかも知れませんが、中央大学教授・早稲田大学客員教授などを歴任し、哲学者ヤスパースの研究で知られていました。民社研議長の他、インドシナ難民連帯委員会会長なども歴任し、知る人ぞ知る研究・発言・行動の人でした。著書として『経済学史の哲学』など経済哲学三部作、『社会主義と実存哲学』、『現代日本の挫折と超越―友愛哲学の研究―』などがあります。
 武藤氏は実存哲学に立った民主社会主義論を展開し、旧民社党・同盟関係者や学生、若者に一定の影響力を持った学者でした。私がボランティアで政治活動に取り組んだり、労組書記になったのも10代の頃、武藤氏の『社会主義と実存哲学』を読んだからです。
 晩年は余り一般的ではない「社会思想家」という肩書きを好んで使っていましたが、私はそこに研究し、発言し、行動する武藤光朗氏の矜持を見る思いがしたものです。
                                以上

ユニテリアン主義と友愛会―土屋博政教授講演

2008-09-04 15:29:33 | Weblog
■ユニテリアン主義と鈴木文治
 8月1日に開かれた「友愛会創立を記念する会」で、土屋博政慶大教授は「ユニテリアン主義と友愛会の精神」と題する記念講演を行ないました。この講演で土屋教授は鈴木文治(友愛会創設者、ユニテリアン)について、次のように述べています(一部抜粋)。
 「ユニテリアン主義をいかに友愛会の精神が継承していたか検証してみたいと思います。私が彼の本を読んで一番印象に残った箇所は、友愛会が「一種の労働者教育運動であった」と述べている所です。友愛会が『人間』としての生存の意義を全うせんとするものであったという点です。労働問題を単なるパンの問題として捉えない。この点が他の組合運動と異なる所でないかと思います。」
 「私は鈴木文治の根本思想として、1.現実重視、2.個人の人格重視、3.独立自尊、4.寛容の精神を挙げたいと思います」

■「松岡駒吉の根本思想―その継承された精神」
 また、土屋教授は松岡駒吉(総同盟第二代会長、ユニテリアン)について、次のように述べています(一部抜粋)。
 「彼はロシア革命によって山川均や荒畑寒村などが受けたような感激を受けなかったようです。ソビエト政権が滅び、またスターリンの粛清が知られる今日では、革命を理想化することの愚かしさを言うことは楽です。しかし当時多くの人が理想の社会と思われたソビエトを称え、命を捧げることさえも厭わなかった時代に、その幻想に迷わされず、ひたすら自分の信ずる道を歩むことは容易ではありません。私は松岡が迷わされなかったのは、自己信頼があったからだと思います。
 松岡もまた労働者が人格を高めていくことを重視しました。ユニテリアンは日々の努力による人格向上によって人は救われると主張してきました。松岡も制度のみで、人間は変わるものでなく、自らの弛まざる努力精進が必要と考えたのです。松岡が共産主義の人々に反対したのは、彼らが目的のためには手段を選ばず、個人の道徳にそむくようなことをやり、戦略・戦術上の要請で個人の人格を無視するからでした。
 また挙国一致が叫ばれる中、昭和14年松岡が産業報国会への参加を蹴って、一切の公的活動から身をひいたのは、労働組合が存在するのに、実効性のない会を設けて労働組合を否定するという理由からでした。寛容であっても、原理原則が無視されれば、これを拒否する精神です。」
 以上、講演の一部を抜粋で紹介いたしましたが、土屋教授の講演内容は近々、労使関係研究協会会報に掲載される予定ですので、関心のある方はこれをご一読ください。
                               以上

特別展「民社党の35年」展を開催、9月2日~12月26日

2008-09-01 11:29:55 | Weblog
■社会民主党、社会民衆党から民社党までの100年余の歩みを展示!
 このブログは原則、月1回の掲載ですが、8月14日に「松岡駒吉」展を終えた後、9月2日からの「民社党の35年―100年余の民主社会主義運動の中でー」展の準備を一人寂しく、楽しく行っていたら、ブログを更新するのを忘れていました。そこで安直ですが、友愛労働歴史館特別展のご案内チラシを掲載いたします。

     「民社党の35年―100年余の民主社会主義運動の中でー」展
 民社党は、安保闘争で揺れる1960(昭和35)年1月24日に結成された。以後、35年間、戦後政治史の中に数々の業績と苦闘の足跡を刻みながら、1994年12月9日、「次代に民社の遺伝子を引き継ごう」と誓いつつ、解党した。
 本特別展は、民社党の35年に亘る苦難の足跡を追いつつ、同党が掲げた民主社会主義運動の理念を見詰めようというものである。
 民主社会主義運動の思想は、民社党のみに留まらない。その系譜はわが国最初の社会主義政党として結成された社会民主党(明治34=1901年)に行き着く。以降、戦前の社会民衆党(大正15=1926年)、社会大衆党(昭和7=1932年)、継いで戦後の日本社会党(昭和20=1945年)、右派社会党(昭和26=1951年)、統一社会党(昭和30=1955年)、民主社会党(民社党、1960年)へと続いている。
 本特別展は、写真や出版物などによる展示・解説で民社党35年の組織・活動等について明らかにしているが、同時に100年余に亘る民主社会主義運動の理念をも浮き彫りにしている。また、民主社会主義運動を支えてきた友愛会(大正元年=1912年)から同盟(昭和39=1964年)までの民主的労働運動などについても、必要な範囲で展示・解説を行っている。
 本特別展で民主社会主義運動、民主的労働運動の先達者たちのメッセージを読み取っていただければ幸いである。
 
 <民社党の35年―100年余の民主社会主義運動の中で>
 と き 2008年9月2日(火)~2008年12月26日(金)
     (月曜日~金曜日10時~17時、土日・祝日休。時間外見学可)
 ところ 友愛労働歴史館(友愛会館6階)
 その他 本特別展は民社協会後援、民社OB会協力。入館無料(要予約)
 
    友愛労働歴史館 〒105-0014港区芝2-20-12 (財)日本労働会館内
     ℡050-3473-5325
     Eメール yuai@yuairodorekishikan.jp 
     HP http://www.yuairodorekishikan.jp/ 
                                  以上