友愛労働歴史館の解説員便り

当館は2009年8月で一時休館いたしました。しかし資料の収集・研究、PR活動等は継続します。再開は2012年8月1日!

「鈴木文治展」、「社会民衆党80周年展」を開催中

2006-12-11 21:58:35 | Weblog
 本稿は、政策研究フォーラム発行の月刊誌「改革者」12月号から転載したものです。ご一読いただければ幸いです。なお、月刊誌「改革者」(定価650円)は、政策研究フォーラム(理事長:堀江湛尚美学園大学学長。学者・文化人・労組役員等で構成)が発行しています。定期購読を希望される方は、03-5445-4575に申し込みをお願いいたします。

友愛労働歴史館から見た社会運動(第8回)

 「鈴木文治展」、「社会民衆党80周年展」を開催
                    (友愛労働歴史館解説員 間宮悠紀雄)

■鈴木文治ー没後60年特別展
 友愛労働歴史館では開館一周年記念として、「日本労働運動の父 鈴木文治ー没後60年、その人と生涯」展を、10月25日から来年3月12日まで開催している
 会場入り口にはユニテリアン教会・惟一館のイラスト画が置かれ、また僅かに残るレンガや瓦の破片が展示されて、昭和20年5月の空襲で消失した惟一館を偲ばせている。惟一館は、鹿鳴館やニコライ堂で有名な建築家ジョサイア・コンドルの設計になる。
 室内には、①「鈴木文治の生涯(年譜)」、②「鈴木文治と信仰」、③「鈴木文治ゆかりの人びと」、④「鈴木文治と友愛会」、⑤「労働運動家・政治家として鈴木文治」、⑥「鈴木文治からのメッセージ」の各解説パネルが置かれ、また多くの関連写真が配置され、鈴木文治の生涯を分かりやすく理解できるように構成されている。
 「鈴木文治の生涯(年譜)」では、明治18年9月4日の生誕から昭和21年3月12日の逝去まで、生涯をクリスチャンとして生き、また労働運動家として、政治家として生きた鈴木文治の60年の歩みを概観している。
 また「鈴木文治と信仰」では、10歳の時、金成ハリストス正教会で洗礼を受けてクリスチャンとなり、「生涯を弱者の友として生きる」ことを誓い、「一粒の麦として地に落ち死ぬこと」を使命とした鈴木文治の信仰について記述している。
 そして「鈴木文治ゆかりの人びと」では、鈴木文治に大きな影響を与えた人たち、彼を支え共に労働運動・政治活動に生きた人たちの中から、安倍磯雄、本間俊平、吉野作造、片山哲、賀川豊彦、松岡駒吉、西尾末広について、その人物紹介を簡単に行っている。
 「鈴木文治と友愛会」では、大正元年に友愛会を創立。その後、幾多の争議を指導し、また国際的にも活動して、日本労働運動の父と呼ばれた鈴木文治について解説。
 さらに「労働運動家・政治家として鈴木文治」では、友愛会創立後、労働運動家として活躍する鈴木文治。そして社会民衆党の創立に参加し、昭和三年の第一回普選に当選した後、政治家としても活躍する鈴木文治の活動について記述している。
 最後の「鈴木文治からのメッセージ」では、彼が発したメッセージを「労働者の人間性と職業能力の向上」と読み解き、その背景にユニテリアン思想(人間の尊厳と人類の進歩発達の増進)があることを示唆している。

■社会民衆党結成八〇周年展
 「鈴木文治特別展」を開催中の友愛労働歴史館は、12月5日から26日までの間、特別展特別企画として「社会民衆党結党80周年記念ー社会民衆党と鈴木文治ー」展を開く。
 これは民社党や社会党の前身である社会民衆党が大正15(昭和元年)12月5日に結成されてから80年を迎えることを記念したもので、社会民衆党と鈴木文治の関係を中心に展示を行う。普段、目にすることのない社会民衆党旗やパンフレットなどが注目される。
 社会民衆党は、普選実施を控えた大正15年三月、労働組合など七団体により全国的単一政党をめざして結成された労働農民党(労農党)が、左派への門戸開放を巡って分裂したため、総同盟が中心となって新たに組織した政党。安倍磯雄・堀江帰一・吉野作造の三教授の呼びかけに応える形で組織され、中央執行委員会議長に安倍磯雄が、書記長に片山哲が就任し、鈴木文治は執行委員となっている。