■松岡駒吉の『労働組合論』を読む!
総同盟第二代会長・松岡駒吉(ユニテリアン、政治家、衆議院議長)は、その著『労働組合論』(クララ社「民衆政治講座」、昭和4年刊行)で労働組合の5つの職分として「団体協約の締結、罷業の遂行、教育的任務の達成、相互扶助的施設の発達、政治的勢力の伸張」を挙げています。
また、松岡は「労働階級は、労働組合なる学校に於いて、建設的能力と、協同精神と、産業人としての識見を養うのである」と主張しています。後の「産業人としての労働者」論です。
彼の『労働組合論』で興味深いのは、「縦断的御用組合」という言葉を使っていることです。同書第三章第三項「団体協約と労働組合の公認」の中で松岡は、資本家に「団体協約(現在の労働協約)の締結を行う前提条件として労働組合の公認」を求めていますが、その直ぐ後で「注意しなければならぬことは、縦断的御用組合である」と書いています。
松岡は「資本家は労働組合の自主的発達を恐れて、工場若しくは同一会社に属する企業内に於いて、縦断的御用組合を作る」が、これは「一種の諮問機関である」と批判しています。そして「労働組合らしき形式を備えて居るものに、実質的縦断組合が多いのである。我国に於いては、特に最近其傾向が現われて居る何れの連合体にも属せざる単独組合にはこの種の組合が多く認められるのである。けれども、かかる種類の労働団体は、真の労働組合と名付けることは出来難い」としています。
松岡の言う「縦断的御用組合」とは、今日の企業内労働組合を連想させます。企業内労働組合は何れの上部団体にも属せず、労使関係や活動が企業内に限定されており、また社会的・政治的な連帯活動に取り組むこともしません。その意味で今日の企業内労働組合は、松岡の云う「縦断的御用組合」なのでしょう。
なお、企業別労働組合というものがありますが、こちらは似て非なるもので企業別に組織されている労働組合ですが、上部団体(産業別組織、ナショナル・センター)に加盟し、労使関係や活動は企業の枠を超え、また社会的・政治的な連帯活動にも取り組んでいます。
以上
総同盟第二代会長・松岡駒吉(ユニテリアン、政治家、衆議院議長)は、その著『労働組合論』(クララ社「民衆政治講座」、昭和4年刊行)で労働組合の5つの職分として「団体協約の締結、罷業の遂行、教育的任務の達成、相互扶助的施設の発達、政治的勢力の伸張」を挙げています。
また、松岡は「労働階級は、労働組合なる学校に於いて、建設的能力と、協同精神と、産業人としての識見を養うのである」と主張しています。後の「産業人としての労働者」論です。
彼の『労働組合論』で興味深いのは、「縦断的御用組合」という言葉を使っていることです。同書第三章第三項「団体協約と労働組合の公認」の中で松岡は、資本家に「団体協約(現在の労働協約)の締結を行う前提条件として労働組合の公認」を求めていますが、その直ぐ後で「注意しなければならぬことは、縦断的御用組合である」と書いています。
松岡は「資本家は労働組合の自主的発達を恐れて、工場若しくは同一会社に属する企業内に於いて、縦断的御用組合を作る」が、これは「一種の諮問機関である」と批判しています。そして「労働組合らしき形式を備えて居るものに、実質的縦断組合が多いのである。我国に於いては、特に最近其傾向が現われて居る何れの連合体にも属せざる単独組合にはこの種の組合が多く認められるのである。けれども、かかる種類の労働団体は、真の労働組合と名付けることは出来難い」としています。
松岡の言う「縦断的御用組合」とは、今日の企業内労働組合を連想させます。企業内労働組合は何れの上部団体にも属せず、労使関係や活動が企業内に限定されており、また社会的・政治的な連帯活動に取り組むこともしません。その意味で今日の企業内労働組合は、松岡の云う「縦断的御用組合」なのでしょう。
なお、企業別労働組合というものがありますが、こちらは似て非なるもので企業別に組織されている労働組合ですが、上部団体(産業別組織、ナショナル・センター)に加盟し、労使関係や活動は企業の枠を超え、また社会的・政治的な連帯活動にも取り組んでいます。
以上