友愛労働歴史館の解説員便り

当館は2009年8月で一時休館いたしました。しかし資料の収集・研究、PR活動等は継続します。再開は2012年8月1日!

「日本労働会館物語」第1回

2010-03-15 14:56:56 | Weblog
●「日本労働会館物語」を掲載します!
 友愛労働歴史館は情報発信、PRを目的にメールレポート「友愛労働歴史館たより」を昨年12月から発信しており、現在までに6回の発行・発信を行いました(本ブログでご案内済み)。また、本「たより」は友愛労働歴史館HPにも掲載し、皆様にご覧いただいているところです。
 今回、新たに同「たより」に連載中の「日本労働会館物語」を、本ブログにも掲載することにいたしましたので、よろしくお願いいたします。

              「日本労働会館物語」連載第1回
はじめに
 本メールレポートから「日本労働会館物語」を連載します。連載は新友愛会館が竣工し(2012年春)、新たに友愛労働歴史館がオープンする2012年8月までを予定し、日本労働会館とその前身であるユニテリアン教会・惟一館の物語です。
 しかし、建物の紹介・解説だけではなく、惟一館や日本労働会館のゆかりの人々についても必要な範囲で言及し、解説をしていく予定にしています。ここでゆかりの人々とは福沢諭吉、片山潜、安部磯雄、吉野作造、新渡戸稲造、鈴木文治、賀川豊彦、松岡駒吉らを指します。
 惟一館・日本労働会館から新友愛会館までの118年の歴史を記述し、そしてゆかりの人々を紹介・解説することにより、日本のユニテリアン運動や社会主義運動、労働運動といった社会運動の一つの側面を浮き彫りにできれば幸いです。
 連載第一回に当たり『財団法人日本労働会館設立経過報告』(昭和6年・1931年)の中の「惟一館の歴史」を転載いたします。
「惟一館の歴史」
「惟一館は、自由基督教の伝道を目的とし、明治27年に建設されたものであるが、爾来40年間、日本の社会運動に非常な貢献をいたしました。我国の社会思想、社会運動は、この建物より出でたと云うも過言ではないのであります。即ち福沢諭吉、片山潜、安部磯雄、吉野作造の諸氏は、この惟一館と密接な関係を有し、自由主義、社会民主主義、無政府主義、共産主義等々の思想も、この建物を中心に転回いたしました。我国最初の無産政党たる安部磯雄氏等の社会民主党は、明治34年結党直後に解散を命ぜられましたが、その結党準備は此処で行われました。
鈴木文治氏により大正元年8月、此処で創立された友愛会は、現在、日本労働総同盟として活動して居りますが、周知の如く我国労働組合の左、右、中間各派の主流は、労働総同盟より分裂したものであり、この各派組合を中心に、各無産政党が対立発生いたしました。この外、農民組合運動、労働者教育運動も、源を此処に発していることは、既に御承知のことと存じます。
斯くの如き、由緒ある建物でありますし、現に20年来一貫して、我労働総同盟は此処に本部を持ってきたのですが、之を総同盟の所有たらしめる様しばしば奔走いたしました。然し種々なる障害に依つてその実現を見るに至りませんでしたが、今回日本労働会館として、事実上、総同盟の手に収められたのであります」(連載第1回終り)
                                  以上