友愛労働歴史館の解説員便り

当館は2009年8月で一時休館いたしました。しかし資料の収集・研究、PR活動等は継続します。再開は2012年8月1日!

「目で見る同盟23年史―友愛会から連合への歩みの中でー」展

2007-10-23 10:33:39 | Weblog
■「目で見る同盟23年史」展を開催中!
 友愛労働歴史館は10月1日から12月25日の間、特別展「目で見る同盟23年史―友愛会から連合への歩みの中でー」を開催しています。
今回の展示は、総評とともに戦後の労働運動を二分したナショナル・センター同盟(全日本労働総同盟)について、1964(昭和39)年11月の結成から1987年11月の連合(民間)結成に伴い組織を解散するまでの23年間の歩みを紹介したものです。
今年は同盟解散から20年の節目の年にあたります。本特別展はこれを記念し、同盟の歴史・活動について写真を中心に、各種資料で展示・解説を行っています。また、友誼団体である民社党、民社研、核禁会議、全文協などについても必要な範囲で展示・解説を行っています。
■特別展の二つの見方
「同盟23年史」展を正しく理解するためには、奥行き(歴史)と幅の広さ(社会運動)を持って見ることが大切です。
一つは同盟の理念や運動を23年の歴史の中に収斂するのではなく、大正元年の友愛会から現在の連合(日本労働組合総連合会)へと続く、民主的労働運動の95年の歩みの中で理解することです。
二つには同盟運動を単なる労働運動として理解するのではなく、幅広い社会運動の一つとして認識することです。労働運動は、労働者自身による労働緒条件維持向上の運動ですが、同時に労働者が「より良く生きる」ための社会運動としての広がりを持っています。このため労働運動は、広く政治運動、婦人運動、文化活動、市民運動、国際活動などと繋がっているのです。労働運動を社会運動として理解し、その根底に「人間の尊厳、進歩と発達」と言う運動理念があることに留意して欲しいと思います。
■同盟を理解する4つのポイント
 特別展では「同盟を理解する4つのポイント」を掲載しています。以下に転載いたします。
①人間尊重の考え方
 同盟は民主的労働運動、労働組合主義を標榜してきましたが、その根底には人間尊重の考えがあります。これは大正元年8月1日に創立された友愛会の基本理念であり、明治以来の社会運動をリードした人たちやユニテリアン(福沢諭吉・吉野作造・新渡戸稲造、安部磯雄・鈴木文治ら)が共有していた社会運動理念です。
  「人間の尊厳と、人類の進歩・発達を増進する」(ユニテリアン教会)
②民主主義の実践(4つの民主主義)
 同盟は1964年の結成以来、「人間尊重」を掲げ、「4つの民主主義」(組合民主主義、産業民主主義、政治的民主主義、国際的民主主義)を打ち出しました。それは社会の隅々に民主主義の原則を打ちたてようというものでした。
  組合民主主義:組合組織を民主主義の原則で運用する
  産業民主主義:産業社会に民主主義の原則を活かす、健全な労使関係の確立
  政治的民主主義:独裁専制を排し、法の支配と民主主義の原則を貫く
  国際的民主主義:国際正義と平和、あらゆる国と地域に文化と繁栄をもたらす
③民主的労働運動とは
 同盟が唱えていた民主的労働運動は、人間尊重を土台に、労働組合主義(自主・自立の組織原則に立って、労働緒条件の維持向上を図る考え)を実践しつつ、4つの民主主義の徹底を図ろうと言う考え方です。現在、連合に継承されています。
  民主的労働運動=人間尊重+労働組合主義+4つの民主主義の実践
④生産性運動への取り組み
 同盟を理解するポイントの一つは、生産性運動への取り組みです。同盟は総同盟と全労会議の理念と運動を受け継いでおり、生産性運動への取り組みも継承しました。しかし、そこには友愛会以来の「人間の尊厳、進歩と発達」という理念が、生産性運動の基本理念(進歩と労働の人間化、今日は昨日よりも、明日は今日よりもまさるという確信、人間の進歩に対する信念)と通底していたのです。
 生産性運動と労働運動の共通点⇒人間の尊厳、進歩と労働の人間化
以上