オクトシティー正直村

おかしいな?変だな?と思った事を綴った駄文

空の欠航便の思い出

2007年01月04日 | Weblog

平成16年2月末の北海道南部を襲った北の嵐はすごかった。

 ちょうど出張中で、仕事が終わったのが土曜日だったので、せっかくだから日曜日スキーをして千歳空港から東京へ帰ろうと言うことになり、札幌国際スキー場で朝から午後2時くらいまで豪快なゲレンデ滑降を楽しんでいた。スキー場は多少吹雪いてはいたがそれほどでもなく多少重い春の新雪を楽しんでいた。スキーを思う存分楽しんで午後2時頃空港に向かうため高速バスを待っていたがなかなか来ない。その後、高速道路が雪のため通行止めで高速バスは運行していないとの連絡があった。仕方ないので札幌駅に向かいJRで千歳空港に向かうことになった。

札幌駅は大勢の人でごった返していた。

 とにかく改札して千歳空港行きの快速に乗り込んだが、その電車は豪雪のため早1時間以上も遅れて到着していた。私としては待つ手間が省けてラッキーであった。札幌近辺の雪はそれほどでもなかったが、北広島、恵庭、千歳と進むと車窓から見える景色はものすごい積雪であった。短時間の間に大量の湿った重い雪が積もったようである。これでは電車も止まるはずだし、飛行機も離発着できないだろうと類推できた。滑走路の除雪が間に合えば離陸は可能だが、上空が吹雪であれば着陸することは不可能であろうし、着陸できなければ次の便の出発が準備できないだろうと咄嗟に思いつつ、とにかく空港へ急いだ。 

電車は札幌で案内された到着時間に多少遅れたが無事千歳空港に到着した。

 千歳空港も大勢の人でごった返していた。14時以降の出発便は機体の手当ができない分についてはすでに欠航が決まっていた。これ以降は機体の手当がつけば出発を再会するとの案内があり、キャンセルになったチケットは当然有効であとの便に変更可能だという。しかし、本日分は予約が全て満席でキャンセル待ちしかないと言う説明であった。私も仕方なしにキャンセル待ちの行列の後ろについた。そしてずいぶん待った挙げ句、キャンセル待ちの整理券をもらったが、その番号はとても搭乗できそうにない番号である。窓口の人に尋ねたが「あきらめて帰られるお客さんもいるので搭乗できる可能性はある」と言う。しかし常識的に考えて、これから何便飛ぶか知らないが何人のキャンセルが期待できるのだろう・・・当然不可能だと思った。それでも最終便までキャンセルを待てと言うのかと頭に来て、再度問い合わせようと思ったが、受付窓口は長蛇の列であり再度並ぼうという気は起きなかった。

空港案内の現在の状況を説明するための言い回しが面白い。

 「必要な器材(機材?)が到着していないため出発が遅れております」とアナウンスしているが、実際は「天候のため飛行機が着陸できないので次に出発(離陸)するための飛行機がありません」と言うのが現実の状況である。しかも、当分の間出発できる見込みもないし、今後全便欠航になる可能性のほうが高いにもかかわらず「遅れております」「天候が回復次第出発します」の一点張りである。「飛ばない」と断言すればお客さんから「どうしてくれるんだ!!」と返ってくることになるし、そのための代替え手段の提供か補償問題へと踏み込むことになる。「時間が遅れるだけで目的地までの人員輸送は必ず実施します」という姿勢は崩せないようである。遅れる時間に対する判断は「待ち続ける」か「諦める」かお客様次第と言うことである。基本的には与えられる情報が少なく、お客はこれからどうしたらいいのかさっぱり判らない状況であった。出発便がないにもかかわらず搭乗口や荷物検査は係員がいて手持ち無沙汰そうにしている。私の情報収集はもっぱら荷物検査の人の良さそうなおじさんからであった。

周囲の空港の人達の行動を観察してみると、

 要領のいい人は明日以降の航空便を携帯電話で予約していた。キャンセル待ちより予約の方が確実である。そして、今夜宿泊するホテルの予約を取っていた。予約にはインターネットが便利であるとの情報も小耳に挟んだ。私は今夜飛ぶのは諦めたが、混雑して話し中の受付電話に忍耐強く掛け続けて予約を取ったり、あちこちのホテルの空きを探したりする気力も失せていた。仕方なくタクシー(JRは当てにならない)に乗り込んで運転手に宿泊の予約を頼んでホテルへ直行した。タクシー無線は便利であり、空いてるホテルの確認も予約もスムーズにやってくれた。ホテルに着いてゆったりしたところで、暇に任せて航空便の予約電話をかけまくったら、翌日の最終便が確保できた(処理してくれたのは福岡予約センターであり、全社を挙げて全国規模で対応しているようである。)。時間は夜の7時頃であったが近くの居酒屋で腹ごしらえといっぱい引っかけてスキーの疲れもあり10時頃ベッドについた。

翌日はやはり朝から暴風雪であった。

 しかも、町中一帯が積雪のため停電になり、電話も通じないしテレビも見れない状態になった。持っていた携帯電話の電池も少なくなって、緊急の時に確保していなければならないという心細い状況であった。出歩いてもろくなことはないので覚悟を決めてホテルにじっと閉じ籠もった。昼過ぎにちょっと天候が回復したのと退屈したので近くのコンビニに昼飯を買い出しに外へ出た。まずは公衆電話から友人に電話して今日の航空便の状況を調べてもらうよう頼んだ。コンビニは停電のためレジが動かないのでお客一人一人に店員がついて回って買い物のたびに値段を控えて(停電でバーコードが読めない)最後に出口で電卓で計算して支払う方式で営業していた。思わず笑ってしまったが、食糧と携帯の充電器(電池式)を買うことができた。これで水と食糧と最低限の連絡手段は確保できたことになる。まるで陸の孤島に遭難したみたいだが、とりあえずは安心することができた。

そうこうしているうちに停電も回復した。

 友人からの情報では本日の予約変更した便も欠航だったため、あらためて明日の予約変更手続きをしたがほとんど満席で、かろうじて明日の最終便が確保できたということであった。どうやら今日も引き続きホテル泊まりのようである。明日帰れればいいが・・・。ホテルにもどってテレビで情報収集するとどうもひどい状況になっている。全部で230便以上が欠航している。空港に泊まり込んだ人もたくさん居たようで、ホテルが確保できてゆったりのんびりできるのは恵まれたほうである。昨日このホテルに一緒に宿泊した若者グループは朝早くから空港に駆けつけて一日中待ち続けて、やっと夜7時の便に乗れそうだと電話連絡が入った(私にはそんな馬力はない)。夕方4時くらいから出発便が運行され始めたようである。

翌日、天候も回復したので空港に向けてホテルを出た。

 JRは平常通り運行している。空港に着くとやはり大勢の人でごった返していた。キャンセル待ちの長蛇の列が最後尾が解らないくらい続いていたが、搭乗手続きの窓口は開いており、とりあえず予約しているチケットの手続きをした後でキャンセル待ちをしようと受付でこれまでの事情を説明したら、予約状況を確認してくれその場でキャンセル待ち番号のカードを交付してくれた。それからはいすに座ってキャンセルの案内を待ったわけであるが、だいたい1便で20~30人のキャンセルがある。この調子で行くと夕方くらいまでかかりそうである。ところが1時間くらい待っていると臨時便が運行されるとアナウンスがあった。これで250人くらい搭乗でき私の番号でも乗れる。早速搭乗手続きし乗り込んだが、臨時便の運行についてお客にどこまで伝達されているのかちょっと気になった。聞き逃した人は引き続きキャンセル待ちをし続けなければならないのである(キャンセル待ち番号は本日中は有効ではあるが・・・)。

こうして、やっとの事で羽田空港に降り立つことができた。
 
 丸二日間千歳に足止めを喰らったことになるが、考えようによってはいい休養になった。お陰でスキーの疲れは全くないし、ホテルが比較的良かったので大浴場がいつでも使えて、近くには繁華街もあって夜な夜な飲みに出かけ、思わぬところで北海道を満喫できた。教訓としては、こんな時はあまりジタバタしないことである。落ち着いて余裕を持って冷静に行動すれば無駄が少なくて最終的には効率的な最良の行動をしている結果になる。ただし、航空会社の対応の悪さには改善すべき点が多々あると思った。一度徹底的にシミュレーションして効果的な対応について検討してみる必要があると思う。そうでなければ大勢の行き場を失ったお客が右往左往することになる。今回の搭乗する側としての正解は①次の航空券の予約②宿泊の予約③緊急を要する人はキャンセル待ち④臨時便運行の確認ではないかと思う。航空会社はこれらの判断が適切にできるような確実な情報を早めに提供すべきではなかったかと思う。

航空会社の情報提供はちょっとお粗末で現実的ではない。

 電話の自動音声による情報案内は私の場合使い物にならなかった。必要のない無駄な案内ばかりで「どの便が欠航したのか」「どの便から運行再開予定か」には行き着かなかった。結局は「人」による案内でしか目的を達成できなかった。また、テレビの報道でも「どの便が欠航したのか」「どの便から運行再開予定か」の情報はなかった。今回はパソコンが手元になくインターネットを利用できなかったので、インターネット環境が便利に使えたかは確認できなかったが、これからの主要な解決策になるであろうと思われる。外的な要因に左右される情報は明確な情報として提供することが難しいし、自分で決断した発信源としての情報は伝達に時間がかかってしまう。受け手としては必要な情報が入手できないし、情報が正確でないと判断できないし、イライラが募るばかりで無駄で非効率な行動を強制されてしまうことになる。

「どの便が欠航したのか」「臨時便はいつ運行するか」は航空会社が決断し発信する情報である。

 このような情報は広地域に迅速にかつ正確に伝達する努力をしなければならないと思う。今回の場合その情報が空港に来なければ解らなかったし、そのためにお客は空港に殺到してしまう。次に「いつから運行再開か」「予約の状況は」「キャンセル待ちの状況は」というのは外的な要因に左右される情報である。外的要因とは天候・気象であり、お客の動向である。これに対し「天候次第」「お客様次第」で片づけては明確な情報を提供できない。やはりひとつの推測をたてて常識的な実現可能な確率の範囲で情報提供すべきである。もっと言うならば、不可能なことは不可能と、可能ならば可能と、それだけでも明確にしてもらいたい。全てを有耶無耶にしたものは情報ではないし、そのような情報は反対に混乱を招くだけでない方がましである。人間は情報に基づいて行動し、情報がなければ行動を中止するか諦めるものである。単なる事実だけの情報提供も余計で過剰な行動を引き起こす(受け取る側の判断が正しければ問題ないが・・・)。


以前、車輪が格納できなくて引き返した航空機に搭乗したことがある。

 その時の説明は、「着陸(離陸?)装置の不具合のため当機は○○空港に引き返します、着陸には問題ありません」と言うものであった。「航空機の車輪が格納できないためもとの空港に引き返します」とは言えないようである。聞いている方はしばらくの間何のことだか解らなかったし、離着陸に関係する器材の一部が故障したくらいに思っていた。乗客に余計な心配とパニックを起こさせないための言い回しであろうが、聞く方にとっては事実に行き着くまでに時間がかかってしまう。この例では、車輪が格納できない故障で良かったが、到着地について車輪が出ない故障であったら大変なことになっていたと思う。

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