巡り合わせの悪い話

 我々の仕事は手が命なので手のケアは欠かせない。

 修行時代なども師匠から‘爪は常に短く切りそろえておけ’と言われていたの
だが、短く切った時に限ってスポーツ刈りのような短髪のお客さんが来店する。


 こういう人達の切った毛は当然ながら短いのでシャンプーをした後に爪の間に
切った毛が入り込んでしまうのだが、爪を短く切った直後に短髪の お客さんを
シャンプーすると爪の間に入り込んだ毛が刺さってチクチクして痛い目に遭う
ケースが多い。


 また指先などが手荒れで割れたりした時に限って同じく短髪の お客さんを
シャンプーするケースが多く、傷口をタワシで擦り付けているような感じで新人の
頃は閉口した事もあった。


 また昼食がウドンやラーメンなど麺類の時に限って急ぎの来客があったりすると
悲惨なので、週末など忙しそうな日の昼食は基本的に熱い麺類は厳禁にしている。


 仕事中でも巡り合わせが悪い日になると私がカットする お客さんが2人続いた
後にオヤジがカットするお客さんが・・・・という事があり、こういう時は順番が
入れ代わっていたらいいのに・・・・などと思ったりする。


 これまで一番巡り合わせが悪いなと思ったのが今から15年前の昨日99年
1月14日の話。


 当時オヤジが脳梗塞で12月から入院したため1月11日に受けた脱腸手術
から1週間入院予定だったのを2泊3日コースにしてもらい14日の午後から
仕事に復帰したのだが、担当医からは‘手術をした右足の付け根あたりには
なるべく力を入れないように’と言われていた。


 我々の業界は1月10日過ぎから20日ぐらいまで1年で最もヒマなので復帰
しても忙しくなかったのだが、その時に あろう事か白内障の手術明けの老婦人が
‘顔剃りついでにシャンプーもお願いします’と来店したのだ。


 白内障の手術明けという事は目に水が入ったらダメなのでバックシャンプーを
するしかないのだが、バックシャンプーは下半身に負担をかけるので‘オイオイ’と
思ったものの座ったまま洗って流す時だけバックシャンプーで行う事にしたの
だった。


 復帰して最初の お客さんが下半身に負担がかかるバックシャンプーのお客さん
だったとは・・・・と今でも思うものである。


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