大怪獣バランに ついて

 先日、怪人太郎冠者@1553さんから「バランはゴジラの
破壊力とラドンの飛行力を持った怪獣、いわば空飛ぶゴジラ
の位置づけで・・・」というコメントをいただいた。
 そこで今回は大怪獣バランを取り上げたい。
 
 確かに’ゴジラよりも強く、ラドンよりも速く、陸海空を
暴れまわる魔のバラン’というキャッチコピーが付いている
ので、ゴジラを凌ぐキャラになるはずだった。
 当初は海外輸出を念頭に入れて制作されているので、東洋
の神秘というのを売りにしている。
 東北地方の寒村で奉られている婆羅陀巍(バラダギ)山神
伝説から始まり、シベリア地方にしかいない蝶の探査に行った
研究所の所員が落石に遭って死亡。原因調査に行った仲間の
所員と新聞記者が、中生代の巨大生物バラノポーダー・通称
バランと遭遇する。
 集落を壊滅させたバランを封じ込めるために自衛隊が出動
して迎え撃つが・・・というストーリー。
 どちらかといえば日本版キングコングである。
 
 バランは皮膚がゴム状のため、ラドンと違い砲弾を浴びても
ダメージを受けない。
 自衛隊の攻撃を受けてもビクともせず、動物が恐れる火炎を
恐れず手足から膜状の羽を広げて飛び去る。
 そして海上自衛隊の砲撃や爆雷攻撃をものとせず、羽田空港
に上陸し自衛隊との攻防戦を演じるのだ。

 バランのデザインは筋肉質で、ゴジラに勝るとも劣らないし
空まで飛べるのでゴジラと戦ったら面白いと思ったりした。
 ゴジラは、ご存じオキシジェンデストロイアーという芹沢博士
が作った唯一無二の新兵器で倒されたが、バランは藤村博士が
開発した新型爆薬を喰っても平気だった。
 しかし照明弾を飲み込む習性があったので、これを利用して新型
爆薬を時限爆弾で照明弾に括り付けて飲み込ませ腹の中で爆発させ
倒したのだった。
 ちなみに芹沢&藤村博士を演じたのは、いずれも平田昭彦だった。
 
 東京を壊滅させた初代ゴジラに対し、羽田沖で人間から倒された
バランだからイメージもイマイチだったのだろうか?
 キングコング対ゴジラのようにキングコングと対戦させてみたい
怪獣だった。結果はどうなっただろうか?
 なおバランと海上自衛隊が戦うシーンでは、本物の自衛隊員が登
場する。訓練シーンを撮影したものだが、60年代にはない迫力ある
シーンだ。
 
 面白いのが主役の魚崎健二を演じたのは、ウルトラQの’変身’
で巨人になってしまう野村浩三。
 このEPも蝶を追って秘境に入った男が、蝶の鱗粉を浴びて巨人に
なってしまう。バランも発端は蝶の調査だった。
 しかも新聞記者のヒロインの名前が新庄由利子で、ウルトラQの
ヒロイン・江戸川由利子と字まで同じというのは偶然だろうか?

 また全編を締める杉本博士を演じたのは、名優・千田是也。
 ウルトラQの江川宇礼雄演じる一ノ谷博士のようなキャラだ。
 面白いのが彼の娘婿がQでカネゴンやラルゲユウスのEPを監督
した中川晴之助で、その娘がゴジラVSキングギドラのヒロイン・
中川安奈である。3代続けて特撮作品に縁があるようだ。

 バランは怪獣総進撃で復活したがキングギドラとの戦いでは、
ほとんど活躍せずに終わる。
 そして’ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃’で
アンギラスと共に護国聖獣として登場予定だったが、キャンセル
になってしまっている。
 平成の世にもう1度復活させて欲しい怪獣である。
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コメント
 
 
 
バランの本当の主人公 (柴田真紀)
2007-10-31 01:21:23
 前半は神秘的秘境ムード、後半は怪獣との攻防戦アクション。ワイド画面だけど、白黒だし、ラドンやゴジラと違って、都市部を破壊したわけでもないので、その点も迫力不足。

 秘境に住んでいる村人を未開人扱いすることといい、千田是也先生の「日本チベットです」がいきなり台詞カットされるところといい、なんとなーく差別的要素が多いのも、ゴジラやラドンの持つ核反対、大自然と戦う人間……みたいなテーマより弱いと思う。

 それに主人公役も、本来は冒頭で死んでしまう伊藤久哉氏が演じるはずたったとかで(ご本人に直接伺った)。
 まあ、この程度の映画だから主役も野村浩三氏ぐらいの、「中途半端な二枚目」(すっげー失礼な言い方)でちょうど合っていたのかも。
 
 
 
バランの悲劇 (怪人太郎冠者@1553)
2007-10-31 11:34:53
バランは液体人間とともに私が生まれた昭和33年登場の怪獣でもあります(他に昭和33年と言えば長嶋さんに初代の「こだま」と「あさかぜ」ですが)。先に公開となった液体人間がカラーだったのに対し、こちらはモノクロ。もともとバランは海外輸出、それもテレビムービーでそれほど予算もかけられなかったようです。加えてテレビゆえに当初の画面サイズも4:3。そのテレビがお流れになったので急遽劇場用に回され、パンスコープの画面上下のブランクは一コマ一コマ、マスキングされたと言われています。マスキングを担当したのは、タロウの名スクリプターだった武田うめさんでした。

低く見られがちなバランですが、特技は円谷英二、本編は本多猪四郎、音楽は伊福部昭の黄金トリオ。羽田空港の攻防戦や照明弾を呑み込むバランの絵は圧巻です。
他に羽田空港を襲った怪獣といえば他には(私の守備範囲では)ガイラ、ペギラ、そしてバルタン星人がいます。
 
 
 
書き込み御礼 (こーじ)
2007-10-31 23:55:12
>柴田真紀様 

 伊藤久哉が主演の予定だったとは初めて知りました。彼は三大怪獣地球最大の決戦で、崖崩れに巻き込まれて死んでますからね。
 同じような死に方ですね。
 
 確かに’日本のチベット’は今では使えないでしょう。

>怪人太郎冠者@1553様

 本多・円谷・伊福部トリオというのが何よりです。
 羽田空港のセットは大きすぎたようですが、空港は
広い方が迫力がありますからね。
 私は年に1,2度上京するのですが、必ず飛行機を使うので羽田を利用します。
 そのときに、海沿いを見ると「ここからバランやガイラが上陸したのか」と思いながら見ています。
 
 
 
悲惨な怪獣 (怪人太郎冠者@1553)
2007-11-01 18:51:46
バランやアンギラスが悲運の怪獣とすれば、悲惨な怪獣たちも少なからず存在しますね
東宝
メガヌロン ラドンに喰われて全滅したようで
モゲラ(2号)あわれ、マーカライトの下敷きに
マンダ アンギラス同様にタイトルで名前を飾れず
マグマ 主演はお星様で、しかもどっかで見たことあるような戦闘機にやられるし……。
大ダコ 一度目はキングコングにやられるも二度目はフランケンシュタインを水死(たぶん)させた筈だが……。
ゴロザウルス オリジナルのキングコングと全く同じやられ方……。
大鷲 二度も同じようにゴジラを遅い、全く同じに敗走し……。
ウルトラQ
怪竜 マンダの息子じゃありません
モルフォ蝶 あのあとすっかり忘れられてる
ウルトラマン
スフラン(二代目)名前を出してもらえない……。
レッドキング(二代目)ワシは名無しのゴンベかい!?
ゼットン星人 ワシはケムール人かい!?
ウルトラセブン
宇宙ダニ(仮称)ワシも名無しのゴンベですかい!
宇宙スフラン(仮称)ワシもおりまずばい。
アロン ワシはかませ犬かい!

>私は年に1,2度上京するのですが、必ず飛行機を使うので羽田を利用します。
私もここのところ、年に1回は九州に出かけます(数年前までは博多、ここ最近は鹿児島)。鉄ちゃんなので必ず列車、一頃は「あさかぜ」のA個室で、九州内は「かいもん」や「日南」の自由席を宿にしていました。その頃はA寝台に食堂、シャワーと大名旅行の三点セットを楽しんでました。お住まい最寄りの田川後藤寺にも一度立ち寄って、駅でかたパンを買って食べたこともあります。あれって凄いですね、今なら歯、折っちゃいますよ。今では新幹線で、宿も博多では温泉のある市内のビジネス、鹿児島では(私には不似合いな)高台の高級ホテル。そんでもって旅から帰ると決まって財布の中身や通帳の残に蒼ざめてんだから困ったモンです。
武士道が死ぬことなら、鉄道とは書いて字の如く、金を失う道と見つけたり。
 
 
 
いやぁ~凄いですね (こーじ)
2007-11-01 23:29:15
>怪人太郎冠者@1553様
 凄い書き込みありがとうございます。
 大ダコは、ガイラからも痛めつけられてますね。
 あとキングコングの逆襲に大海ヘビがいましたよ。

 Qにはバルタン星人の元になったセミ人間がいましたし、円盤まで一緒ですから。

 残念ながら田川後藤寺駅の売店は廃止されました。
 固いパンは当時売ってましたよね、懐かしいです。
 本来は鉄道を使っても行きたいのですが、休日が短いので飛行機になってしまいます。 
 
 
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