メカゴジラの逆襲は面白い

  先日‘悲しき天才科学者’というネタを上げたが、そのキャラを
最も多く演じた平田昭彦のゴジラシリーズ最後の作品がメカゴジラ
の逆襲である。
 これは平田昭彦だけでなく、ゴジラシリーズ生みの親である本多
猪四郎監督の遺作でもあった。
 そして本多監督と音楽を担当した伊福部昭が、最後にコンビを組
んだ作品でもある。

 通常‘続編は面白くない’というジンクスがある。
 実際に前年公開されたゴジラ対メカゴジラはゴジラとキングシー
サーがタッグを組んで強敵のメカゴジラと戦うだけでなく、キング
シーサーの像をめぐるサスペンスアクションもの世界で子供心に面白
かった。
 ところが続編である‘メカゴジラの逆襲’はサイボーグ少女の悲劇
がメインにある。
 全体的に暗いトーンで描かれ、とてもじゃないが爽快感はない。
 この作品を最後にゴジラシリーズが休眠に入ったというのも頷ける
と思っていたのだ。

 ところが何度か見直してみると、これが大人向けで面白い。
平田昭彦演じる生物学の権威・真船博士は恐竜チタノザウルスを
発見し、コントロールできる装置を開発したものの 世間からは認め
られず学会から追放されたため世間に復讐する意味でブラック
ホール第3惑星人に手を貸す。
 実は博士の娘の桂は、チタノザウルスのコントロール実験中に
事故で命を落としたが星人達にサイボーグとして命を救われていた
のだ。

 ブラックホール第3惑星人は、メカゴジラが沖縄でゴジラに敗れた
理由は‘生きた細胞が必要不可欠’と考え、博士の娘・桂の体内に
メカゴジラのコントロール装置を埋め込む。 
 桂が操るメカゴジラとチタノザウルスは強力でゴジラも大苦戦。
 ところが自らを慕っていた科学者の一ノ瀬に心を奪われたため、
桂は自分の命を絶ってメカゴジラの動きを止めたのだ。
 その直前に真船博士は、コントロール基地をインターポールに
急襲されたときに星人の盾にされて射殺されてしまう。 

 確かに真船理論は素晴らしいものの、人間が他の動物を自由に
コントロールする力を持つべきではないと言った富田浩太郎演じる
太田博士の言葉が真船理論を否定する意見を代表している。 

 メカゴジラの横須賀を破壊するシーンをはじめ、素晴らしいシーンは
いくらでもある。
 それでも興行的にイマイチだった理由が、子供向けの東宝チャンピ
オン祭りの中で上映された事だろう。
 子供には、こういうオトナの世界の矛盾は分かりづらかったと思える。 
 面白いのがOPはメカゴジラのテーマから始まりゴジラのテーマ・チタ
ノザウルスのテーマと続いていくが、その最中に前作のハイライトシーン
が挿入されているのも嬉しい。
ただなぜかキングシーサーは登場しないのだが・・・・
 こういった隠れた名作もビデオやDVDがあるおかげで、見逃しても
何度も見る事ができるのだ。

 メカゴジラの逆襲は、見れば見るほど魅力が分かってくる隠れた
名作である。 

 そうそう、ゴジラが初めて複数の敵と戦った作品でもあった。 
 平田昭彦は第1作のゴジラで芹沢博士を演じて以来のマッドサイエン
ティスト役だった。
 まだまだ平田昭彦には特撮作品に出演して欲しかったが、本多監督
とのコンビがメカゴジラの逆襲で終わっていたなら特撮人生の幕引き
としては最高だったのかもしれない。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (トクタサツオ)
2008-04-26 22:01:17
この作品を御分析いただきましてどうもありがとうございます。

ご存知でしょうが、トクタサツオもこの映画は大好きです。

そうですね、久々に大人向け作品でゴジラ前シリーズのラストを飾るのにふさわしい作品でありましたね。

だいたいおっしゃっていただけたとおりなのですが、
音楽もまた演出も特撮もよかったですね。

メカゴジラのムチャクチャな強さ、そして必死に戦うゴジラの姿、どれもすばらしいできですね。

 
 
 
ありがとうございます (こーじ)
2008-04-26 23:44:44
>トクタサツオ様
 コメントありがとうございます。
 この作品が好きな方は、ホンモノのゴジラファンでしょう。
 クソ・リアリズムに徹した作品が、それを物語っています。
 以外にもゴジラが昭和シリーズで唯一、複数の敵と戦った作品なのですよね。
 
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