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SLE
※SLEとはステキなレディーがなるエレガントな病気である。

古典翻訳コンテスト

2006-07-01 10:52:32 | ☆勉強☆
通訳・翻訳ジャーナル8月号。
この雑誌にはクラシックバレエの基礎が写真付きで載っている。
バレエ初心者にはもってこいの雑誌ではないかと言われそうだが実際そうでもない。
第一に、バレエのやり方が書いてあっても体の硬い者にとっては同じポーズがとれない。
第二に、いくら雑誌を買っても続くかどうかは自分次第である。
第三に、この雑誌はクラシックバレエの雑誌ではない。

と冗談はそのくらいにして、実はこの雑誌10万円(-9万9千円)もする。
はっきり言って高すぎるので、いつも気に入ったテーマのときだけ購入するようにしている。(しかも絶対新聞の読者投稿謝礼でしか買わないと心に決めている)

はっきり言ってこの8月号は購入するかどうか迷った。
取り扱っているテーマがそこまで興味のないものだったからだ。
しかし8月号には古典翻訳コンテストの結果発表と講評が載っている。
古典翻訳コンテストとはこの雑誌内で数ヶ月前に行われた『ロミオとジュリエット』を訳してみようという企画だ。
最優秀賞や優秀賞には賞金が送られるという非常に評価に値すべき企画であった。(純粋無垢な私は決して賞金に目がくらんで応募したわけではない)
この雑誌が発売されるまでに受賞者には連絡がいくはずだから私はこのコンテストは受賞を逃したということは分かっていた。(もしくは担当者が受賞者に連絡をし忘れたという可能性もある。電話番号を書き間違ったという可能性もある)
しかし独学で翻訳を勉強する身としてはコンテストがあると必ず受賞者の訳と自分のを比べて勉強することにしているのだ。
古典翻訳コンテストの結果発表と講評なんてこの分厚い雑誌のほんの数ページ。
私はこの雑誌を買うかどうか悩みに悩んで(5秒ほど)雑誌を手に取り、レジへむかった。

家に帰って早速読んでみると、受賞者はなんと同い年だった。(私が年齢詐称をしていなければ)
しかし、翻訳勉強歴は二年。(よかった、私より長い)
しかも、翻訳の専門学校に通っている。(よかった、私は独学)
と、自分が受賞できなかったことを正当化することに私は成功した。

この古典翻訳というのは非常に難しいものであった。
『ロミオとジュリエット』というと、映画化もされ誰もが知っているストーリーで難しく感じないかもしれないが、原文は戯曲でありほとんどの行末で韻が踏まれている非常に難解きわまるものなのだ(実際英語で書かれているというだけで難解きわまるものだ)。
英語の韻を訳に反映させるなぞかなりの至難の業。
かなり悩みながら訳文を作った覚えがある。
だが詩でも書いているみたいで楽しかった。(と言っても詩なぞ小学校の国語の授業以来書いていないが)
まあ楽しかったし、訳例も手に入ったからこれでまた勉強に活かせると思って講評のページを読んでみると……
私の名前が書いてある!!!

(ここでuchoの本名を鈴木京香と仮定する)

最優秀賞の○○さんはぎりぎりまで絞り込んだ言葉を、うまく五七五の韻律の中に配していますね。「(私の訳。うっても誰もわからないと思うので省略)」(鈴木京香さん/兵庫県)もすっきりまとまっています。
《中略》
鈴木さん(兵庫県)の「(私の訳。うっても誰も読まないと思うので省略)」は、押韻がみごとですが、律がややもたついています。
(『通訳・翻訳ジャーナル』2006年8月号)

私の訳、すっきりまとまってるって!!
押韻がみごとだって!!!!
(「律がややもたついている」というのは読まなかったことにする)

もちろん他にも数名の受賞を逃した人の訳が講評されていた。
でも自分の訳が雑誌に講評されるって嬉しい。
ということは応募したものの「問題外」とされたわけではなかったということだ。(正直私の訳は稚拙なものが多いので「問題外」にされることは多いのではないかと予想される)

告白しよう。
実を言うと英語の古典を読んだのは今回が初めてだ。
「それでよく翻訳がやりたいと言えたもんだ」という突っ込みは自分で自分によくしているのでこれ以上の批判は受け付けない。(私は傷つきやすいのだ)
古典翻訳は非常に難しかったし、受賞は無理だとは思っていたため(といいながら万にひとつの可能性を神に祈っていたのは言うまでもない)雑誌に名前が載って少しでも自分の訳を褒めていただいたのはこの上もない幸せだ。
しかもこの雑誌『通訳・翻訳ジャーナル』は通訳、翻訳をめざす者の間ではかなりの有名な雑誌だ。(クラシックバレエをたしなむ人の間では有名ではないのが残念だ)
そんな雑誌に少しでも自分の名前が載るなんて嬉しすぎる。
これで10万-9万9千円の元は十分とれた気がする。

その他この雑誌には現在通訳や翻訳で活躍している方たちのエッセイが載っていたりする。
すぐに見てしまうのが出身大学。
するとちょくちょく同じ大学出身で翻訳者として活躍されている方がおられ、それが自分への励みになるのだ。
しかし『ダ・ヴィンチ・コード』の翻訳者の越前敏弥氏は東大出身だ。
試験監督で有名塾(スーパーエリート塾?)でバイトをすると、まわりは京大・阪大・神戸大の学生がほとんどで気がひけてしまう(しかも国立大生に限って人の大学を聞いてくる傾向がある)。
いやいや、それでも私は自分の大学が好きだ。
世の中偏差値が一番じゃない(大体私は大学受験していないため自分の大学がどのくらいの偏差値なのかあまり分からないし分かりたくもない)。
十年間通った、あの学校の雰囲気が大好きだ。
だってあの学校で出会った友人・先輩・後輩がみんなみんな素敵な人だから。(私に物を恵んでくれるところが)
しかし最近うちの大学のイメージが悪い気がする。
犯罪者(しかも殺人)は出るし、イメージの悪いお笑い芸人(一世を風靡したのにもう跡形もなくテレビから消えようとしている。芸能人とはおそろしい職業だ)の出身大学だから。
というわけで私が将来有名翻訳者になってうちの大学の汚名を返上したいと思う。
50年後に。