tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

「図書館をよく使う書店店員の本」を古本屋で立ち読みする元書店店員

2005年04月13日 23時14分55秒 | Weblog
用事の合間に時間が出来たのでブックオフに行ってきた。最近はパソコン関係の本を物色する。古本屋における大部分のパソコン書は、その賞味期限がすぎていることが多い。つまり、バージョンアップ以前の解説書である。気にしなければそれまでだが、中にはIllusratorやPhotoshopの3世代前くらいの本があって、「もうそんなものいらない」というものが多い。このくらい古くなると100円均一になることが多いが、堂々と半額で売られていることもある。(ブックオフの場合、定価の半額で売りに出ていることが多い。コミックは別だが)こまめにチェックしていれば、本当の最新版はないにしても、一世代前のソフトについて書かれた良書に出くわすこともある。価格も、定価の25%という時があった。QuarkXPressの解説書は、全部古本屋で揃えた。最近でこそ、ソフトについて解説した本のサンプルなどは、出版社ホームページからのダウンロードが主流となってきたが、一つ前だとROM付きの場合があって、これがついているかも一つの判断材料となる。古本屋のパソコン書のROMは封が破かれていないことが多い。専門書を買ったが、読みこなせなくて新しいまま古本屋に出した・・・というのと似たようなものだ。

今日は、CGIとPerlの解説書を買った。一冊にまとまった本である。2002年4月初版だから、もう古いかどうかというところである。価格が定価1900円だったが、800円まで下がっていた。改訂版が出ているかも知れない。だがWinXPとMacOS・を前提に話しているから、悪くはないか。

人文書の棚も見た。『負け犬の遠吠え』やセカチューがベストセラーだったが、裏を返せば、少し待てば古本屋に並ぶ可能性が極めて高いことの指示でもある。ちなみに『負け犬』は3冊、セカチューは4冊あった。

その中で、『劇場としての書店』という本があった。言っとくが、社会学の本ではない。ジュンク堂の池袋本店の副店長をされている福嶋氏の本である。彼は、書店販売員(彼らは「書店人」と名のっているが・・・)の立場から見た本屋をエッセー仕立てで書くことが多い。

手に取ってみてみる。珍しく帯付きだ。これも出版社にしてみれば、コストのかかった代物だが、それをいとも簡単に捨てる本屋の人間が多い。私は結構好きだし、ついている本とついていない本があれば、ついている方を選ぶ。オビには以下のように書いてある。
本は売りますが、媚びは売りません。

いいねえ。

私が本屋勤めの時は、ホスピタリティという名の「媚び売り」が全店挙げて力を入れていた。こうしないと売り上げにつながらないとか言って、まことしやかに指導する。確かに、客に言われた本がわからず、へらへら笑ってごまかす人間が多かった。代わって見つけてあげたこともある。ちなみに媚びでは客は満足しない。お辞儀の角度30度・・・もういい。

立ち読みも疲れる。目次を見る方法もあるが、このたぐいの本はいつも似たようなことが書いてある。だから見なかった。最後に、「書店の賢い利用法」というのがあった。これが面白い。「鼻の効く店員を捕まえろ」とか「店員に知っている情報をすべて話せ」とか「確実に信用できる店員を作っとけ」とか書いてある。

いいねえ。

実は本屋の中でも、本がわかっている人間なんて、ほとんどいないのよ。私も文庫やコミックなんてほとんどわからなかった。棚担当を決めるときも、「ずば抜けて、人文社会学系の専門書はわかります。コミックや文庫も、大体いけますね。」と大見栄きった。おかげで得意な人文書だ。コミック弱いですとか言い出したら、そこにまわされる可能性がある。逆に「どこでもいいですよ」と言った人間がいた。その結果、やたら大変な雑誌担当になり、楽することを考えて、仕事を他人に振り、他の勤め人の総スカンを食らっていた。

よく、販売業をやると社員やそこで働く人たちを対象に「社割」(社員割引の略)で本を買うことができる。しかし、この本の筆者は本を買わずに、図書館から借りて済ますことが多いらしい。置き場に困るからだという。

いいねえ。

私も書店勤務時代は図書館も利用したし、古本屋で本を買うこともあった。第一、出版業界の流通システムと、本屋の仕事の内情に書かれた本を図書館で借りて、勉強したこともあった。

この本、結局、買わなかった。
だって、細かく読んでいたら、昔を思い出して腹が立ってくるから。
こういう本こそ、精神状態に悪い。

特に私には。

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