tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

神戸市立博物館「ナポレオンとヴェルサイユ展」

2006年03月05日 23時57分21秒 | Weblog
昨年の12月、JRの駅を通るとチラシが置いてあった。展覧会名は「ナポレオンとヴェルサイユ展」。

ナポレオンがフランス皇帝として戴冠してから200周年になるという。それを記念してナポレオン関係のコレクションをヴェルサイユ宮殿博物館から借用し、東京と神戸で開催するというものだ。実は、ここ神戸市立博物館は人気の高い博物、美術館であり、展示物は世界中から借用してくる実力を備えている。私は行かなかったが、2年くらい前には、大英博物館展を開催した事がある。その時勤めて会社の同僚が見に行ってきて、お昼休みに話題を提供した事があった。そのとき彼女が見せてくれてたのは、古代エジプトに作られた猫の置物をマスコットにした携帯のストラップだった。結構みんなにうらやましがられていた。

今回は、大学が仏文科だったこととフランス史も絡んでいるので、興味があって見に行ってきた。しかし、神戸の三宮は奈良から行くのは遠い。ほとんど一日仕事になった。

内容は充実しており、一つ一つの説明を見ていくと楽に三時間はかかる。もっとかかったような気もするが。

あの大震災のあと、神戸の町は美しく復興した。こうした復興は、古くからあるものをただ破壊するだけの行為しか生み出さないのだが、神戸の町は古いもののデザインを再生するような復興を遂げた。だから、大丸元町店の外側に位置する通路は、石こそ新しいが、デザインはアールヌーボー調を見事に再現している。神戸市立博物館も、かつては正金銀行神戸支店の建物だったが、しっかりと補強工事を行い、一年近くの時間を経て復活した。

内部は非常に広い。展示品は150にものぼる。あらかじめ前売り券を手に入れておいたため、スムーズに進む事が出来る。最近は、展示物の簡単な(ペラ物)紹介(たいていは展示物の名称の羅列だが)を配るところが少なくなってきた。一月に行った奈良国立博物館はA4一枚をご自由にどうぞと言わんばかりに置いてあった。神戸市立博物館は並べてあって、100円を箱に落として持っていく形式だった。表紙はカラーだが、中はテキストオンリー。でもすべての展示物に確実に説明がつけられていて、100円はお得かも知れない。

このガイドブックをもって順路を進むが、展示物保護のために照明が暗くて、ガイドブックが読みにくい場面もあった。しかもすごい人。ケースの前に進むために並ぶから、ガイドブックを読む時間がないくらいだ。それでもマイペースに進む。たっぷり3、4時間はかかった。もうクタクタだ。

内容はヴェルサイユで使われていたナポレオンゆかりの調度品や肖像画、戦争画、版画などを展示している。調度品もただ、置いてあるのではなく、それが置かれていた室内を再現するという手の込んだ物だ。宝石類も展示されていて、女性が多く集まる。しかし全体の流れは、ナポレオンのある時期という一点を説明するのではなく、この英雄の生涯を解説するものであった。勿論、彼の家族も多く登場する。そして、彼の失脚の後には、兄弟や家族の離散が待っていた。この英雄の血を引くナポレオン2世も21歳の若さで亡くなったそうだ。

大西洋の流刑地で生涯を閉じたナポレオンの遺骨は長くイギリスの管理下にあった。しかし1840年に入り、ようやくフランスへ帰還しパリで眠ることになる。このあたりは、優秀な論文が存在するので、また別の機会に紹介したい。

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