tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

奈良県立美術館 「スコットランド美術館展」

2006年04月08日 22時57分31秒 | Weblog
このところ毎月のようにどこかの美術館に通っている。関心と興味が美術館の展示内容と一致していることが多いのだろう。ただ、美術品の展示会は映画よりも一過性の高いものであることは言うまでもない。すなわち。映画の場合、映画館での公開が終わって、しばらくの期間がたてばビデオや映画に落ちることが多い。昔、「ロボコップ」という映画は映画の公開時から、「公開から一年はビデオになりません」と公言していた、しかし実際はそうでもなかったみたいだ。こうした形で観客を縛るというのもあまりほめれるものではないが、こうした「実験」の結果、帰って劇場公開における観客の動員という運動に対して、その決定的なイニシアチブを制作や公開する側が握るものではないことが明らかになったと考える。しかし、美術展は、そこへ持ってきて展示の形式や方法から、内容においてまで、期間中の一過性のものであり、同じ会を催すとしても、レイアウトにおいてまで同じものを再現することはまず考えられない。まして、海外から借りてきて行う場合はなおさら一期一会という特色が濃くなる。同じものを見ようとすれば、今回のようなスコットランド美術館や、大英博物館や、ルーブル美術館まで行かなくてはならない。それは途方もないとは言わないまでも、結構な時間とお金がかかるであろう。
だから、私は興味があれば身に行くようにしている。しかしこうした行為の一つ一つは、高く立てたアンテナで取り込んだ情報をいかに自分の物とするかという行為に他ならず、改めて出かけていくというのが、結構難しいことも私自身知っていることである。

さて、今回も行こうと計画していたが、特に今日行きたいという希望があった。その理由がスコットランドの民族的な楽器である「バグパイプ「を聞かせてくれるという企画があったからである。たとえ次の日に予定が入っていようとも行きたい企画であった。

しかし・・・・

これを母にしゃべったことから、家族がついて回る結果になった。ひとりくらいとなれば、何とかなるが、他に二人の計三人となると、ちと問題が出てくる。というのも私自身、ゆっくり解説を見て回る性質だからだ。

演奏会は夕方17時からだから、展示物の見学と合わせて余裕を持っていくならば、15時半くらいには入りたいところだ、しかし、家人がついて回った結果、16時半に入る始末となった。ようやく入って見だすと母親が話しかけてくる始末。スコットランドとはどこなのかと。ここで解説するのもなんだが、グレートブリテンと呼ばれる島の南半分をイングランド、北をスコットランドと覚えておくとまず差し支えない。他にもアイルランドというとそこがどこかもわからない。正確(?)にはイングランドの北西にあると覚えれば良いが、そもそもイギリスという国の地図が大体の形として頭に入っていれば、話が早いがそうでもないから、なおさら話が伝わりにくい。これだけ話すともううんざりで(出だしがこうだったからだ、どんな人間でも、どんな内容でもいいから本は読むべきだ!)それが少し態度に出たから以降、母は妹にくっついてあちこち回っていた。父はもっと見るのが早い。おそらく老眼に理由をこじつけてさっさと見ていったのだろう。老眼が来る前に、本を大量に読まないと、読めなくなるも同然だ。

でそれからはゆっくり見て回った。確かにこないだの神戸市立博物館の「ナポレオン展」よりは数も少ないけど、充実したものであった。

さて演奏会。といっても特別な場所が用意されているわけでなく、ロビーみたいな場所で3人ほど呼んできて演奏してもらう形だが、これが内容的にも演奏者の実力的にもなかなかの本格派。リーダーのカワイさんはダーリンが日本人という人。すなわち本人がスコットランド出身の女性だ。後の二人は日本人だった。勿論バグパイプだけが本物ではなく、当人たちの衣装もまたスコットランドの民族衣装そのものであった。曲と曲の間にはカワイさんの解説もしてくれて、これが結構達者な大阪弁口調で話される。勿論現地のダンスも披露してくれる。予定の30分がすぐに経ってしまう。

ただ、惜しむらくは同館担当者の見立てが少し甘かったことだ。というのもこんなに人が多く入るとは想定しなかったらしく、どこから見たらいいのかで、悶着がおこる場面もあったし、あまりにも多く空間的に狭い場所だから、ごく一部の前方にいる人を除いては、見えないという人の数のほうが多かったのではなかったのかと思う。また必ずしも演奏者とのコミュニケーションもうまくいっていなかったらしく、どこを正面とするのかも、想定していなかったらしい。企画は素晴らしいから、もう少し煮詰めたものにするべきだった。

さて、展示だが、こちらの方は充実したものだ。スコットランドと名がつく以上、イギリス周辺の美術品に限るのかと思われたが、フランスなどの作品も率先して収集したらしく、印象派の作品も多かった。中には、私が大学一回に芸術学のレポートとして提出したときに題材としたマネの絵画の原図を見ることも出来、それがすごくよかった。そしてまた再現性という部分での写真との競争も知ることが出来た。

内容的には大変充実しているので、近くの方は是非行かれることをお勧めする