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草津市長選汚職 芥川前市長に実刑判決 市政への信頼失墜指弾--大津地裁

2004年12月10日 | 毎日新聞
◇最後まで直立姿勢
 昨年2月の草津市長選に絡み、地元業者8社から計1770万円の違法な寄付とわいろを受けたとして、収賄と公選法(特定寄付の禁止)違反の罪に問われた前市長の芥川正次被告(46)に対し、9日、大津地裁(伊藤寛樹裁判官)が出した結論は懲役1年8月の実刑判決だった。「政治とカネ」を巡る問題が全国で取りざたされる中、業者との癒着によって選挙の公正と市政の信頼を害した責任を厳しく問う内容だった。【田中龍士、阿部雄介】
 「被告人を懲役1年8月に処する」――。伊藤裁判官が主文を読み上げると、約30人が詰めかけた傍聴席は一瞬、ざわめいた。芥川被告は髪をスポーツ刈りのように短くし、黒のスーツ姿。主文を聞いてもほとんど動かず、最後まで直立姿勢を崩さなかった。
 判決は、「選挙資金の収集を受け持つ共犯者に指示を与え、業者らとの酒食の場に赴く接触を重ねていた」と、芥川被告の積極姿勢を非難。当選後も300万円の違法寄付を受けた点に触れ、「市民の負託を無視し、市政に対する信頼を失墜させた」と指弾した。
 伊藤裁判官は最後に「(市長選の)立候補に悩んでいたようですが、誰のための立候補だったのかをよく考えてもらいたかった」と諭した。
 一連の事件では、計11人が起訴(略式含む)され、10人の有罪が確定したが実刑判決は初めて。芥川被告の代理人は判決直後、「執行猶予刑が相当だと思っていたので、意外な判決。即日控訴する」と話した。
 一方、判決を傍聴した草津市職員は「執行猶予じゃないんですね……」と驚きを隠せない様子。
 芥川市長時代の助役だった伊庭嘉兵衛市長は、市政の信頼回復を目指し、「政治倫理条例」の制定を公約しており、この日も、「全職員が倫理の確保を徹底したい」とコメント。しかし、市は「議員と共同で作成したい」として条例の素案を議会側に示したばかりで、成立の見通しは立っていない。議会側からは「議会を巻き込んで時間稼ぎをしている」との批判も出ている。
 また、職員への「口利き」についての職員倫理規定の見直しも検討されているが、実施のめどは立っていない。
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 ■視点
 ◇カネへの認識の甘さ
 前草津市長、芥川正次被告に実刑を言い渡した9日の大津地裁判決。芥川被告は初公判で起訴事実を認めたが、判決は改めて「襟を正すべき政治家の認識の甘さ」が事件の背景だったことを明らかにした。
 公選法は選挙を理由にした公共事業請負企業への献金の要求や授受を禁じている。そうした寄付が選挙の公正を害し、その後の行政に悪影響を与えるためだが、芥川被告は公判で「政治家が寄付を受けるのは当然で、その一部が違法とは思わなかった」と述べた。判決は「特定寄付が個人のもののように装った」と指摘。選挙資金の一部はわいろと認定された。
 事件発覚後、草津市は「入札・契約制度検討委員会」を設置。ガラス張りの制度を目指しているが、伊庭嘉兵衛市長が委員会発足時に「公共事業は出来るだけ市内業者へ」と発言するなど、事件の教訓が生かされたかは、まだ分からない。関係者は判決を重く受け止める必要がある。

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