帰ってくる時は・・・
ず~っといて話したい、そんな温かな空気に包まれます。
日々の疲れとこちらの思いが通じないもどかしい御縁に触れた後でしたので涙腺が緩みます。
涙声になりそうなので声を張り上げました。
真横に置かれている扇風機・・・
ロウソクが消えようが垂れようがコイツに向けてくれるのです。
御座敷に置かれた数台の扇風機の中で最新型をコイツの横に・・・
「住職、暑くない?」
「お陰で涼しくしていただき汗1つ掻きません!すいませ~ん!」
誰がそんなことを言ってくれるでしょう・・・
優しい喪主さんです。
有難いです、本当に・・・
別にそうしていただきたいから書くのではなく、本当に有難く思うのです。
汗ダラダラ流しながら御衣も御袈裟もグショグショになる御縁も嫌いじゃありません。
それはそれでコイツは爽やかさを感じているのですから・・・
何れにしても日々のコイツの有様が見えるからどのご縁をいただいても感謝せずにはおれません・・・
名古屋方面からお兄さんが帰られていました。
この方もやっぱり喪主様と同じ様に大切に接してくださるのです。
間の休みにはいろんなお話を聞かせていただきあっと言う間に時が流れます。
「帰省する時は楽しみでね、ワクワク帰ったものです。でも、家の方に向かう時はだるくて・・・」
もの凄く分かります。
その大切な故郷に母の姿がなくなりました。
あ~、どんな思いで帰られたのだろう・・・
切ないよな~・・・
でも、やっぱりここに帰ると両親の香りに出会うのでしょう!
その香りに出会うためにこれからも帰省されるのでしょう!
そのお兄さんがおっしゃるのです、
「小さい時にはお爺さんに連れられてご法座にもお参りさせていただいていました。
仏さまのお話なんて分からないのです。
でも、間でいただくお菓子が美味しくてね~。
普段では食べられないモノが出てましたから・・・
子どもでしょ、だから周りを走りまわるのです。それでも叱られることなんてなかったな~。」
懐かしそうに語って下さいます。
そうお兄さんが仰れば喪主様が間髪いれず、「汽車に乗って2人でお寺に遊びに行ったこともあったな~。顔、真っ黒になってたな~」
「そうそう、お小遣い貰ってたのでお寿司食べたよな~!」
この空気なのです。
幼子の手を引きお参りしていたお爺ちゃんのおはたらきは、支え合って大切に生きるんだぞ・・・
ご法座で叱ることもなかった思いは、その優しき空気を胸に・・・だったのではないでしょうか。
喪主さんのお孫ちゃんもお帰りでした。
皆さんの優しき眼差しを受けその空気のまん真ん中でした。
叱る人なんて誰一人としておられません。
コイツはいつもそうありたいと思っています。
折角のご縁ですから優しい御縁にしたい・・・
叱ることも大切ですけど、せめて御縁の時だけは・・・
故郷・・・いいですね。
今も各々の故郷を目指して帰省されているご家族が多いことでしょうね。
待ち切れず、玄関先まで御出迎え!
「お帰り!偉かったね!!!」