待つ犬

帰宅が遅くなった。
つんは待っているだろうか・・・、といつも気にかかる。
玄関のドアを開ける。
つんはやっぱり玄関マットの上で待っていた。

いつもより待ち時間が長いと、
いつもより長く”ヨロコビの舞い”を舞い、
全身で喜びを表現する。

急いで着替え、誰もいない公園へと出かける。
pipi　は家で済ませたようだが、
popo　は我慢していたようで、公園に着くなり、すぐさま”体勢”に入った。
やっぱり、外でしたいものね～。

ぐるっと野球場をまわり、一応、ボール遊びもやって、
さて、帰ろうとしてふと、見やると、犬を連れた人がいる。
「こんなに遅い時間に」
自分の遅いのを棚に上げ、気になって少し離れたところを歩きながらも、
そちらの様子を伺っていると、
その男性は街灯に犬をつないだ。
そして傍にあった公衆トイレに姿を消したようだった。

犬はずっと静かに待っている。
１分、２分、３分・・・。
男性だからすぐに出て来るのだろうと思っていると、
なかなか戻って来ない。

「え～～～っ。もしかして、置き去り？」
こんな夜遅く（１１時近く）だから、それも有りうるかも？？？

犬は時々頭をもたげ、それでも信じて待っている様子だ。
その「全幅の信頼」を裏切ることの無いように、
と全然関係ないところで、じっと密かに？気を揉んでいた。

つんが吠えるから近寄れないのだ。
このままあの人が出て来ないようなら、一旦、家に帰ってつんを置いて、
もう一度様子を見に来ようか？
でも、その後、どうしよう？
やっぱり、警察に届けるしかないか？
でも、届けた後、その犬はどうなるのだろう？
飼い主が名乗り出ないと、保護センターへ移される。
わざと置いていったんだから、引取りに現れるわけがないじゃないか！

などと、こんな夜中に１人勝手に思いめぐらせていると、
飼い主が戻ってきて、犬が尻尾を振っているのが見えた。
「はぁ～～～良かった。なんだ、長い方の用だったのか・・・。
　こんなに夜遅く、外で長い用足しするなー、人騒がせな奴だ！」

なんて勝手に心配していた私である。

因みにこの待っていた犬というのは、先日、
つんが吠えかかって、逆襲をくらった熊のように黒くてでかいシェパードだ。

つん：おっかえり～～～、遅いやん！！