今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・朝日連峰 その2(西朝日岳、大朝日岳、小朝日岳)

2012年08月04日 | 山登りの記録 2012

27日(土)霧、
 西朝日岳1,814m、大朝日岳1,870.9m、小朝日岳1,647m、古寺山1,500.7m、ハナヌキ峰1,196m

 随分長い時間シュラフに入っていたが、その割には熟睡したような気がしない。奥に居る高校生の一団が支度を始めている気配が伝わる。声も立てずに、周囲に迷惑を掛けないようにしているのを指導教師の指導が良いのかと感心した。どこの高校だろうか?隣に寝ている中高年の4人グループよりも静かだった。

 4時30分にシュラフから出る。隣のグループの一人が外の様子を見てきたのか、仲間に強風と濃い霧で天気が悪いことを告げていた。昨夜は一晩中風の音が大きかった。昨日の午後あたりから、晴れてはいるものの強い風が吹いていることを懸念していたが、やはり今日はお天気が悪いのだろうか?ラジオのスイッチを入れたが、電波の状態が良くないのか、満足に放送が聞き取れない。

 朝食は鴨南蛮風の新製品のカップ蕎麦を食べた。朝食としては、味がしつこくてイマイチだった。さっさと支度をして、階下に降りる。一階の客は半分くらいが起きていたが、出発した人はまだ幾らもいない。4時58分に管理人さんに挨拶をして外に出る。「お気を付けて」と丁寧に返答された。外に出ると視界は10m程で、身体を持っていかれそうな強い風が日本海側から吹き付けている。しかし、風は乾いて雨が降ってくるような気配ではない。小屋の裏手から直ぐに竜門山に登り返す。本当に強い風で時々よろけるくらい吹き付けている。竜門山に登り上げても様子は変わらない。そのまま稜線を西朝日岳に向かう。このお天気では何も見えそうも無い、一瞬このまま昨日登ってきたユーフン山方面に下ろうかとも考えたが、折角やってきたのだ。今日が今回のハイライトだったのに、このお天気に少し気持ちも塞ぐ。昨日の好天があったことが何より、今日はルートの消化のみでも仕方ないかと気持ちを切り替え、縦走する事にする。しかし、視界も余り無く、吹き付ける風は強く本当に飛ばされるんじゃないかと何度もよろけた。

 登る様な、降る様な、刈り払いされたばかりの縦走路だが、濡れた笹やハイマツでズボンや靴はびっしょりになった。時折ヒナウスユキソウの大群落があるが、花期も過ぎてしまって余り目を引く様なものではない。リシリオウギやニッコウキスゲ、ハクサンフウロなどが霧の中から次々に目に飛び込んでくるが、沢山の花も強風に揺すぶられて千切れてしまいそう。坦々とアップダウンを繰り返す。砂礫の道であったり、ハイマツの切り開きであったり、あるいは笹を漕ぐ下りであったりするが、ずっと濃い霧の中、夢の中をさまようような道だった。ルートは刈り払いがされたばかりだが、それでも結構藪っぽい所も多く被っている笹や草で濡れる。強い風が当たり続け、身体が冷えてくる。

 直前に下ってくる夫婦連れとすれ違い、何も見えない西朝日岳山頂に6時26分に着く。ここで進路は直角に曲がる。西朝日岳山頂と書かれた標柱と4辺が丸くなった標石が立っている。三角点はここから西に派生する稜線の先のピークにあるらしいから、これは三角点ではない。そのまま、直角にルートを転じて下りになると、斜面一面がニッコウキスゲの群落のようだが、霧の中にぼんやりとしか見えなかった。足元には、アカモノやミヤマハタザオ、ナンブタカネアザミなど、微妙に変化する植生で、次々に色々な花が見られたが、みな強風に千切れそうに煽られていた。

 西朝日岳を下りきると湿原になって小さな池溏も見られる。『山商山岳部遭難の地』と刻まれた黒御影の石碑があった。この辺りから中岳にかけては、イワイチョウ、ムカゴトラノオ、アオノツガザクラ、チングルマ、イワカガミ、タカネニガナ、チシマギキョウ、シラネニンジン、ヨツバシオガマなどが湿性のお花畑を作っている。中岳は直ぐ下を巻いて雪が消えた湿原には『金玉水』と書かれた標柱が斜めになっていた。しばらくして、上りになり濃い霧の中にぼんやりと大朝日避難小屋が浮かびあがってきた。7時55分に大朝日避難小屋に着く。ここからシラネニンジンやヨツバシオガマが群生する急な草付の登りをジグザグに登って、一瞬上空に青空が見えた。しかし、8時11分に到着した大朝日岳山頂は、残念ながら乳白色の濃い霧に包まれたままだった。一等三角点標石に真新しい御影石製の展望方位盤と、中央にはケルンが積まれていた。

 折角の大朝日岳山頂だったが、しばらく晴れるのを待った甲斐も無く、何時まで経っても視界を遮る霧は消えなかった。休んでいる間にも何人かの人が登ってきたが、みな消沈して下って行った。お菓子を摘んでから、8時34分に大朝日岳を下る。避難小屋の前には、今朝下から登ってきたらしい人が2人休んでいた。そのまま大朝日を小朝日方面に下る。しばらく緩く稜線を歩いて、『霊山朝日嶽神社奥宮』と刻まれた黒御影石碑前の小山には、小さな石祠が祀られていた。その先からは下りになる。小朝日岳にはここから途中の銀玉水を経て鞍部の熊越まで300mくらい一旦下って、また200m近く登り返すアップダウンの多いコースの様だ。このコースに入ると、今朝下から登ってきた日帰り?あるいは避難小屋泊まりのハイカーがアリの行列のよう。学校か、子ども会と見られる子供達主体の大団体とすれ違ったり、中高年のグループ、年配あるいは若いカップルなど、いかにも百名山詣でといった雰囲気の人達とひっきりなしにすれ違うようになった。銀玉水でも団体が休んでいた。
 小朝日岳との最低鞍部附近まで降りて来ると、少し霧が晴れて大朝日岳が見えるようになるが、やはり昨日のような天気ではなかった。小朝日岳の南西面は一気に薙ぎ落ちる岩稜状になって急峻だ。すれ違う人との挨拶、あるいは通過待ちすることなどが頻繁になって、人の多い山の煩わしさを感じる。大朝日も間もなくまた見えなくなり、朝日連峰の主稜線は今日は雲の蓋が被っている。でも、今日のこのお天気では見えただけマシというところだろうか?

 小朝日岳はかなり下ってから、登り返す。結構このコースアップダウンがきつい。大朝日のみを狙う、朝日鉱泉から鳥原山経由での周回コース、あるいは古寺鉱泉から小朝日を越えて行くコースとも結構きついコースだなと思う。大朝日を目的とする両コースともかなり人の多いことを覚悟する必要があるだろう。朝日連峰も大朝日以外は人が格段に少ない。急な登りにあえぎ、また陽が差すようになって汗を搾られる。山頂を巻くコースも登り出して直ぐ左に道が分かれる。

 小朝日岳山頂に10時17分に着く。山頂は地元の15人くらいの団体で一杯だった。標柱と土台まで露出した標石があるが、これは図根点の様だ。山頂の片隅でザックを下ろして一休み。足元でキアゲハが舞い、クモマニガナの群落が点々とある。大朝日は雲の蓋が被って見えないが、これから下る北の古寺山や、東の鳥原山は、やや霞んだ景色ながら見えていた。基本的には晴れのお天気だが、遠くの山並も今日は雲が多くてすっきりとは見えない。お菓子を少し摘み、スポーツドリンクを飲んで、10時32分に小朝日岳を下る。下りきると、小朝日岳は形良く突き立った姿で見えた。草付きの稜線を緩くアップダウンして、小さな池溏から登り上げると、三等三角点標石と木製標柱が立つ古寺山に11時丁度に着く。ここでも少し休んで、ピラミダルな小朝日岳を振り返る。11時10分に古寺山を降り、そこからはどんどん下るようになる。

 小朝日までの往復らしい地元の一団が、ぞろぞろと繋がって降りている脇をすり抜けてかなり下りきると、古寺鉱泉への降り口とハナヌキ峰経由の日暮沢コースの分岐に降りた。ここからまたハナヌキ峰へは登り返しになった。標高も低くなり、暑さがぶり返す。エゾハルゼミの大合唱が響くハナヌキ峰山頂は、特に何も無い道の途中といった所だ。あまりに暑いので、木陰でザックを下ろして汗が引くまで休み、一気に根子川に向けて木の根が絡む急な道を下る。水音がどんどん大きくなり、根子川まで降りるが、そこからしばらくはむっとする湿度の高い雑木の中を川沿いに進んでいく。小さな沢を幾つか巻いたり越えたりして、エゾアジサイが咲く道を行くと、ごうごうと水量が多い竜門滝を左手に見て、13時26分に林道終点に降りた。

 暑い林道を歩いて、13時43分に日暮沢小屋に帰ってきた。小屋にはヒトケも無く静かで、ここでもまたエゾハルゼミの合唱が響いていた。暑くて疲れてきたが、林道は緩い下りなので坦々と引き返す。崩壊路面を工事中の作業員に挨拶して、車止めを過ぎ、14時24分に車に戻ってきた。ダム下の駐車場には10台近く車が止まっていた。

 支度を終えて大井沢まで車で戻り、大井沢温泉『湯ったり館』に寄って2日分の汗を流してさっぱりとする。入浴料金は300円と格安ながら、温泉施設は狭くて露天風呂も無かった。日帰り温泉施設周辺も、信じられないくらい暑い。
『道の駅にしかわ』でお土産を買ってから、山形道・東北道と繋いで帰路に着いた。那須附近からは雷雨になった。


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2 コメント

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小朝日岳はこんな形でしたか (ノラ)
2012-08-05 08:54:31
あさぎまださん こんにちは。2つ目の記録を読んであらためて,竜門と寒江山の周辺は花が多いのだという印象を持ちました。それでストックにしっかり入れました。私が朝日に行ったすべては天気が悪いか,よくても下は晴れていても上はガスの中と言うのが多かったです。特に大朝日岳は未だに山の形を見ていません。以東岳は登る前と下へ降りて山の形を確認しているだけです。それなので小朝日岳が三角形の形をしているとは知りませんでした。あさぎまだらさんの記録を読んでコース地図を見ると,日暮れ沢小屋から周回するのがいいようですね。竜門と寒江山の周辺の花を見るにはこのコース取りがいいのだと確認しました。しかし未だに百名山人気は衰えないのですね。私が行った24年前の大朝日も人は多かったです。以東岳の比ではありませんでした。

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百名山巡礼者 (あさぎまだら)
2012-08-05 09:45:27
ノラさんおはようございます。
今日も暑くなりそうです。やることが無くて、家でぼーっとしています。
百名山、一般的には、これが登る山かどうかの指標なんですね、相変わらずです。大朝日に登る人と、竜門山周辺にいた人を比べると明らかに違う人達です。ですから、大朝日では山ガールを始めとした最新山ファッションの若者や子供達、お揃いのTシャツを着た地元の団体なんかが居ました。中でも、軽装でせかせか登るナントカ名山ハンターが目に付きました。この人達は巡礼者ですから、お天気なんかどうでも良いみたいです。花にも興味ないみたいです。たた、山頂での写真撮影ばかり真剣なようです。
そんな訳で、朝日を堪能するなら、やっぱり大朝日以外なんでしょうね。初めての朝日連峰で景色も見られたのは幸いということでしょうか?西朝日附近も花は多かったですね。
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