今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・櫛形山、大峠山、源氏山、丸山

2012年12月01日 | 山登りの記録 2012

平成24年11月24日(土)
 櫛形山2,052m、大峠山1,907.6m、源氏山1,827m、丸山1,910.3m
 11月の3連休、残っている休暇を加えて4連休とした。さて、何処に行こうか?気になっている信州方面の1,000m前後の山を幾つかハシゴしようかと考えたが、雨の予報がある金曜の祝日以後、北信方面は雪混じりで余りお天気が良さそうではない。上田や長野周辺の山巡りは無理の様だ。そこで山梨方面に変更した。ずっと気になっていた櫛形山。いつも山梨に行くと、甲府盆地の西にその鯨の背の様な大きな特徴有る山姿が印象的だった。いつかは登ろうと思いながら、なかなか登る機会もない。櫛形山はアヤメの名所で、花期には人の行列が出来るとか、シカに食われてそのアヤメが全滅したとか、林道が頂上付近まで延びて大した登りも無く山頂に立てるとか…いろんな情報がある。

 櫛形山の他には、櫛形山にアプローチする丸山林道を利用して、源氏山とか大峠山に短時間で登れるという。一日目(土曜日)は丸山林道周辺の山を巡り、二日目(日曜日)は富士山や白峰南嶺の展望台でもあり、宗教登山で有名な七面山にした。笊ヶ岳や青薙山等を川一つ隔てて眺めてみたいのと、この稜線続きの山伏から八紘嶺は大笹峠からの往復を以前から考えているので、七面山は単独で登ることにした。金曜の夕方に佐久経由で山梨に向かう。地図で見たところ、いつも雁坂トンネル経由で山梨入りしていたが、山梨南部に向かう場合は佐久経由でも距離が大して変わらない様だ。トンネル通過に往復1420円も払うのであれば、むしろ市街地を多く通過する雁坂経由の方が時間が掛かる様にも思うので、今回は佐久を回ってみた。5時間ちょっとで櫛形山登山口の丸山林道口にやってきたので、思ったとおり大差無いようだった。崩れた林道の補修工事中とかで一部迂回したが、丸山林道は全線舗装の良い道だった。迂回路には一部未舗装路があった。駐車場には他に車もなく、登山口に建っている立派な休憩舎脇に停めて直ぐにシュラフに潜った。朝からの雨も止んだが、周囲は霧が巻いていた。

 6時半にアラームで目覚める。霧が巻いて視界はほとんどない。工事車両がこの早い時間から数台やって来て、休日ながら工事をするらしい。登山者らしい車も一台やってくる。休憩舎脇から駐車場の端の方に車を移動し、昨夜買ったいなり寿司を食べて支度をする。後からやってきた人は3人連れの年配者で、運動靴履きの人もいる軽装のハイカー。何しろ、既に標高1,800mを超えているここから山頂までは1時間位しか掛からないから観光客でも登れてしまう。櫛形山は簡単なハイキングコースなのだった。

休憩舎の壁には大きな絵地図の案内看板が掛かっている。この霧が巻く状況では山頂往復のみで、先の裸山やアヤメ平まで脚を伸ばしてもしょうがなさそうだった。展望がある裸山まで行っても眺めもないだろうし、アヤメの咲いてないアヤメ平にも行く気になれなかった。軽装の3人組は既に先行していった。7時9分に落葉松林の登山口から上に向かう。落葉松の登りを少しで、程なく稜線状となる。湿度の高い山なのか、サルオガセが落葉松の枝から垂れ下がる緩い上り下りで、少し急な登りになった所で先行の3人を追い越し、登り着いた小山には三等三角点があった。三角点以外には何もない。ここが地図上の櫛形山山頂だが、地元で山頂としているのは、一旦下って上り返した最高地点(奥仙重)だ。霧が巻く幻想的な眺めの中、緩く上下をして、天然落葉松の巨木やダケカンバの古木が生える平坦地に着いた。そこが山梨百名山の山頂標識等が立つ櫛形山山頂だった。7時53分に櫛形山山頂に着いた。登山口の駐車場から1時間も掛からなかった。

 山頂で写真を撮ってみかんを一つ食べた。相変わらず霧が濃く視界は50mも無いが、その霧の外側は明るくなってきているので、その内には回復してくるのだろう。そろそろ引き返そうかと思っていたら、3人連れがやってきた。中年の男性1人に年配の女性2人で、女性2人は連れてきてもらった様な感じだった。山頂まで来られたと、しきりに感動していた。8時7分に櫛形山を降りる。長年登りたかった山にしては余りにあっけない。人が多くなければ、ぜひ花の時期にでももう一度訪れてみたい。

 緩く上下して落葉松にサルオガセが絡みつく道を戻り、三角点峰から下って行くと、林業の作業員らしい6人程の集団が何かをみんなで運んで登ってくるのに出くわす。山頂に「何か(シートに包まれて分からない)」を持ち上げているようだった。その集団とすれ違い、急な下りになったところで南西方面の霧が晴れてきて南アルプスの主稜線の山が真っ白な姿で見えてくる。一部分断片的なので、西に見えるのが多分農鳥岳だと思われたが、正確には同定できなかった。南西には少しの間だけ悪沢岳が見えていた。南に青空が一部見えたりしたが、直ぐにまた霧の帳が降りて見えなくなった。

駐車場まで戻ってきたら、林道工事の人や林業関係の作業員がいて登山口の駐車場はそれらの人の車で一杯だった。本来の通行道路である池の茶屋林道はパワーショベルでのり面の補修作業中だった。ハイカーはもうこの時期は少ないのだろうか?車に乗って、未舗装の迂回林道から丸山林道に出て、源氏山登山口に当たる池の茶屋林道分岐まで舗装路を行く。分岐付近には3台の車が停めてあり、ハイカーがほとんど居なかった櫛形山よりも、この時期は源氏山の方が人気があるのか?車のナンバーは浜松・多摩・奈良と、遠いものばかりだ。源氏山へは黄色い遮断機で通行止めになっている丸山林道を先に進む。丸山林道は農鳥岳下の早川町奈良田まで抜けているのだが、現在は道路崩壊のため、ここで通行止めの状態だった。

 9時18分に丸山林道遮断機から、今度は大峠山と源氏山に向かう。源氏山へは200m程先で分岐する林道足馴峠線に入り、その途中から登山道に上りあげるらしい。足馴峠林道分岐には源氏山と書かれた立派な標識が立っていた。足馴峠林道は真新しくきれいに舗装されて路面状態は非常に良い。すぐ先で左に本来の登山道に登り上げる登山口がある。登山道は、現在崩壊箇所もあるので、並行する林道を2km程歩いてその登山道に上り上げる様になっている。相変わらず霧が去来し、行く手の山も良く見えない。しばらく林道を歩いていたら、2人のハイカーが引き返してきてすれ違った。9時56分に『源氏山→』と表示された階段状の上り口から林道と分かれて尾根に登っていく。落葉松の斜面を斜行する様に緩い登りが続く。10時19分に大峠山分岐に着いた。落葉松林を透かして、今いるここよりやや低い位置に急角度で盛り上がっている源氏山が見えた。このあたりに来ると霧も薄くなり、周囲の山がよく見えるようになってきた。青空が少しずつ広がりだして、漸く晴れてきた様だ。

 まずは地形図には無記名の大峠山に向かう。源氏山への標識類は沢山あるが、大峠山という文字はどこにも見られない。この分岐にも大峠山への踏み跡へは何も標示が無かった。落葉松林内の気持ちの良い踏み跡を源氏山を見下ろしながら辿り、崩壊薙から右に尾根を登る。幾らも登らないで、10時38分に落葉松林の中で眺めも無く伐採された木々が散乱する大峠山山頂に着いた。山頂には一等三角点標石と、『標高千九百七米 強歩大会之地 昭和二十七年七月二十五日』と刻まれた石碑が建っている。この後に登った源氏山の山頂にも同じ強歩大会の石碑が建っていた。三角点の脇には、元は立てられた標識に付けられていたものと思われる、昭和六十二年の文字が読める『一次基準点 大峠一等三角点』と書かれた板切れが落ちている。この三角点名が大峠ということの様だ。

 落葉松林の静かな大峠山の山頂は、人の気配もしない所だった。お腹が空いたので、いなり寿司の残りを食べてしばらく憩う。11時2分に大峠山を下る。下りでは、木々の隙間から甲府盆地の市街地、雪を頂いたヒマラヤのエベレストみたいな形の甲斐駒や、すぐ近くには落葉松に覆われた櫛形山が眺められた。11時22分に大峠分岐に戻り、源氏山へは下りになる。下りついた沢の源頭部から峠状の所に登り上げる。大峠山が正面に大きい。峠状の地点には林業作業小屋の残骸や、そこで使われていたドラム缶等雑多なモノが散乱している。ここからは東の鰍沢方面に下る道や、足馴峠に続く小径が分岐している。岩のキレット状になった源氏山へは、痩せたコメツガの根が露出した尾根を登っていく。この辺り、錆びたワイヤーロープやインクラインの残骸などが散乱している。急な上りは幾らもなく、山の形を遠くから見た予想に反し、シラビソやコメツガが茂る意外に広く平坦な源氏山山頂に11時53分に着いた。

 源氏山山頂には、山梨百名山の標柱と、昭和二十六年の記載がある大峠山のものとは形が違う強歩大会之地の石碑があった。こうして見ると、この強歩大会なるものは昭和26年は源氏山、27年には大峠山が目的地とされたのだろうか?十石青年団という文字が読めるので、青年団の行事だったのだろう。十石というのは現在の十石温泉辺り、旧巨摩郡十谷村のことだ。源氏山には三角点は無かった。強歩大会碑の前に腰掛けて休む。辺りは平坦なシラビソ林で全く眺めもないが、少し東に下ると木々越しに甲府盆地の鰍沢辺りの街並みが見下ろせた。12時22分に源氏山を下る。作業小屋の残骸付近で登ってくる年配の夫婦連れとすれ違う。そのまま大峠分岐まで登り返し、林道に下る道からは南アルプスの雪嶺が姿を現す。農鳥岳やそれに続く広河内岳と白峰南嶺の稜線が真っ白に連なっていた。
 1時10分に林道に降りて、引き返す。まだ時間の余裕があるから、正面に見えている中腹を林道が横切っている丸山もついでに登っていくことにする。足馴峠線分岐から丸山林道を奈良田方面に向かうと、間もなく丸山の東尾根の取り付きに1時45分に着いた。こののり面付近からは林業関係者のものと思われる赤テープのある踏み跡があるので、そこから取り付き、すぐ上の岩場を巻いて登ることにした。東にはコブを並べた櫛形山が良く見え、その北には鳳凰三山の薬師岳や辻山が見えた。丸山は全山落葉松の植林だから、薮もなくどこでも登っていける。テープや踏み跡は幾つもあって交錯しているが、それを適当に拾いながら少しずつ上に登っていく。2時14分に平らな頂上部に出た。西側が少し高いのでそこまで行くと、落葉松林に三等三角点標石がぽつんと立っていた。他には標識類等は何もない。2時19分に丸山山頂に着く。また雲が被って来たので、もう何となく夕方の様な雰囲気。丸山山頂でみかんやお菓子を食べてちょっと休んだ。2時29分に丸山を下り、2時48分に丸山林道に降りた。林道から丸山山頂まで登り30分、下りが20分程度だった。

 丸山林道を引き返していくと、足馴峠線分岐で源氏山の下りですれ違った夫婦連れとまた会う。2時59分に池の茶屋林道分岐に戻ってきた。雲が降りてきて薄暗くなり、小雪が舞ってきた。車に乗り、丸山林道を下って富士川町に降りた。櫛形山が背後に大きかった。下界は良く晴れていた。

 十石温泉手前の鰍沢にある『鰍の湯』に寄っていく。特に特徴もない塩素臭が気になる日帰り温泉だった。汗もかかなかったが、とりあえず身体は温まった。入浴後は富士川町で食事を済ませ、明日登る予定の七面山に向かって七面山表登山口の羽衣にある川に面した大きな駐車場に車を止めた。まだ夜の7時くらいだったが、直ぐにシュラフに潜る。大して疲れていなかったハズだが、そのまま朝まで眠ってしまった。


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
櫛形山も源氏山も山梨100名山なんですね (ノラ)
2012-12-01 17:13:14
あさぎまださん こんばんは。急に寒くなりましたね。写真で見る南アルプスは真っ白ですね。櫛形山に私が行った頃は林道があったかなって考えてましたが,覚えてません。山梨100名山の標柱も立っていた記憶はないですね。こんな簡単に登れる山になったら,キバナアツモリソウも盗掘されて今はあるのかな?ですね。大峠山は静かそうですね。
ところで今日は栃木の里山に行ってきたのですが雪が降ってきて寒かったです。参りました。
返信する
お天気が急変しました (あさぎまだら)
2012-12-01 20:25:14
ノラさんこんばんは。
今日はお天気が急変しましたね。家の方でも急に雨やヒョウが降りました。周囲の山は真っ白になりました。
寒いですね。
櫛形山はかなり昔から(20年以上前もあったようです)丸山林道があったので、林道利用は出来たと思います。でも下から登る道も相変わらず利用者はいるようですよ。その場合は3、4時間かかるみたいです。キバナアツモリソウは分かりませんが、アヤメの方は盗掘ではなくてシカの食害で全滅に近いらしいです。
大峠山は静かです。一等点の山ですが、登る人もほとんどいない様でした。
返信する
奇遇でした? (あさぎまだら)
2013-01-01 00:15:43
この日源氏山に向かう足馴林道ですれ違った二人のハイカーは、その後分かったのですが、ミーハー登山隊の隊長さんと林道の鴉天狗さんだった様です。
この時間に引き返してくるのはずいぶん早いなと思ったのですが、源氏山の後で蛾ヶ岳に行かれたようでした。
奇遇でした。
返信する
RE:奇遇でした (ミーハー登山隊の隊長)
2013-02-13 23:08:23
あさぎまだらさん、こんばんは
ミーハー登山隊の隊長です
源氏山では林道のすれ違いでした
今日、このブログを発見しました
良く我々の正体がわかりましたね
登山隊は山梨百名山に嵌っていますので
また何処か静かな山でお会いできるかも知れません
男鹿岳は塩那道路を延々とあるきましたよ
では、
返信する
はじめまして (あさぎまだら)
2013-02-14 00:43:13
隊長さんはじめまして。
たまたまミーハー登山隊のhpを見ていたら…ぼくのことが書かれていましたので。
隊長さんの愉快な山行記、特に西上州のものが面白くてファンでした。まさかあんな所でスライドとは、
鴉天狗さんともども、お二人共思っていたより(失礼)たいへんお若そうなので、意外でした。
山梨百名山はぼくも結構登っていますが、へそ曲がりなので、何とか名山完登ということには興味がありません。いつもその時の気分で色んな山に登っています。
男鹿岳は林道歩きの最たる山ですね。福島側からいくらか楽に歩けたのも昔の話になってしまったようです。
塩那道路経由は忍耐の山ですね。
今後ともよろしくお願いいたします。
返信する

コメントを投稿