今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・妙高山

2012年10月03日 | 山登りの記録 2012
平成24年9月26日(水) 
妙高山2,454m

 妙高山は今から30年くらい前に登っていたハズの山だ。前日に笹ヶ峰から火打山に登り、高谷池ヒュッテに泊まった翌日が大雨で諦めた。次のチャンスも、ハシゴ登山で北アの小蓮華山に登り、翌日は移動して麓の赤倉まで来ながら悪天候で渋々帰ってきた。その後も、何度か登ろうと思いながら、やはり天気のせいで流れた。去年も同じ時期に登ろうと思ったが、結局果たせなかったのだから、余程相性の悪い山なのだろう。8月に中央アルプスに行った後、お天気や仕事の都合、家の用事などで、この1ヶ月間は山に行けなかった。残念ながら、北アルプスの予定はもう無理になってしまった様だ…。
  
 今週末は台風が来るという予報がある。こんなんじゃ、また週末の山はお預けでは堪らない。ロクに取っていない休暇をたまには使って、お天気が上々という水曜日に、今度こそ最高のお天気で妙高山の山頂に立ちたいものだと思った。火曜の夕方、仕事を終えたその足で、そのまま出発する。長野県を一般道で延々と走る。トラックが多く、夜の18号は長野市内を抜けるまで、ずっとノロノロ状態だった。長野市を過ぎると車も少なくなり、やっとまともに走れるようになった。新潟県に入り、関山から妙高登山口の燕温泉に向かい、1時近くにやっと燕温泉の無料駐車場に着いた。駐車場には車が数台しか停まっていなかった。直ぐにシュラフに潜って眠った。

 翌朝6時に起きる。下の妙高市方面は晴れているようだが、温泉街の上に見える山には、薄黒い雲がすっぽりと蓋のように載っている。パンを食べて支度を済ませていると、平日なのに次々と車がやって来る。やはり100名山の人気山らしく、平日でも登る人は多いようだった。きれいなトイレと、鳥瞰図風の妙高山登山の案内看板がある駐車場を6時半に登りだす。数軒しか旅館は無い燕温泉の温泉街だが、半分ほどは廃業してしまった様で、ひどく寂れている。坂になった温泉街を抜け、登山口は右手に大倉谷経由のコースを分け、階段を上り神社があるところから、標識に導かれて燕登山道を登っていく。コンクリートの舗装路がずっと続いている。100m程で露天風呂の『黄金の湯』がある。男女別で、ちゃんと囲いがしてあって脱衣所もある。湯は硫黄の臭いがしてやや青みがかっている。山から下りてきてそのままこんな温泉にどぼん、というのは最高だろうな…。今回は、帰りに関温泉に寄っていく予定だった。

 黄金の湯を過ぎてコンクリート舗装路は左にカーブし、尾根を回りこんでから、北地獄谷を見下ろすようにへつっていく。幅は狭くなったが相変わらずのコンクリート舗装路で、脇には源泉を流す水路が通っている。しばらくは水平に歩いて「赤倉温泉源泉」の看板が下がった作業小屋が現れ、そこまではコンクリート舗装路が続いていた。小屋の前には湧き水がパイプから流れ出し、ベンチとテーブルがあった。源泉からやっと登山道になる。直ぐ先に上下2段になった赤茶けた岩を落ちる滝がある。その真ん中に道が通っている。下が光明滝で、上が称明滝という名が付いているらしいが、両方とも落差は20m程で上下で40m程の滝は遠くからは一つの滝に見える。この時期は水量が少ないので、大した滝には見えない。

 滝を過ぎると、「湯道分岐」のプレートを見てから硫黄色の沢を渡り、尾根に取り付いて上りがきつくなってくる。上部は濃いガスで隠れていたが、青空がのぞき始め、頂上部が見上げられるようになった。「胸突き八丁」のプレートからは、どんどん登るようになって息が切れるが、その分高度は増して時折下の集落が俯瞰できるようになってきた。きついといっても、胸を突くようなものではなく、やがて小広い平地に出て、天狗堂という名前の小さな祠があった。8時52分に天狗平の天狗堂に着いた。先行していた男女2名が休んでいた。その脇をすり抜け、そのまま緩く登ると「ここは光善寺池」という標識がある小さな湿原を過ぎる。もうこの辺りからは、のしかかるように妙高の頂上部が近い。抜けるような青空で、頂上からの眺めは約束されたようなもので、気分も良い。

 9時15分に「八合目風穴」の標識を見て小さなその「風穴」を覗き込む、生暖かい空気と硫黄の臭いがしていた。周囲の木々は丈が低くなり、笹の下生えにナナカマド等が茂る向こうには、雲海から頭を出した志賀草津の山並がずらりと並んでいた。横手山は特徴のある山容でそれと分かるが、その左に見える岩菅山の他は一つ一つは同定できなかった。南の眺めも段々良くなると、直ぐそこにシルエットになって黒姫山が大きく、その右に高妻山と乙妻山が雲海から頭を出していた。雲が切れて、野尻湖も見下ろせる。

 9時51分にクサリ場に出る。凹凸がある溶岩の一枚岩にクサリとロープが下がっているが、傾斜も緩く、岩の凹部を登るので難易度は低い。登り口で一休みしてから、一旦その凹部のクサリ場を10m程登ってから左に岩をトラバースし、そこから今度は岩稜を右手に登る。上から降りてきた人とクサリ場の途中ですれ違った。トラバースするクサリ場からは、大変眺めが良かった。クサリ場が終わると、取り付きの丁度20m程真上になる。下から登ってきた人と、今降りていった人がその取り付き辺りでこちらを見上げていた。

 クサリ場を過ぎると眺めも更に素晴らしく、頂上へ向かう黒い溶岩の岩場を上る背後には既に大パノラマが広がっていた。志賀草津の山並は少し左に隠れるが、その代わりに黒姫や高妻の右手には北アルプスの山並がずらりと見えてきた。白馬連峰辺りは手に取るようだ。黒い溶岩の登りは尚もきついが、もうすぐそこに頂上が見えてきたので気は軽い。10時半に妙高山頂上の最高点南峰(妙高大神)を過ぎ、日本岩という大きな岩の前を通過する。一旦薮を下って登り返すと、一等三角点がある妙高山山頂に10時36分に着く。頂上部は溶岩があちこちに岩頭を作り、かなり広い。10人以上の人がいるが、その広い頂上に分散しているのであまり気にならない。百名山「妙高山」の大きな標識が立つ附近に居る人は、大方は黒沢ヒュッテや高谷池ヒュッテ方面(笹ヶ峰方面)から登ってきた様だ。そちらから登る人の方が多いようだった。ここに来て火打山と焼山が大きく、直ぐそこに見える。北には上越市の市街地の向こうに日本海も見えていた。南には遠く八ヶ岳の上に富士山もシルエットで見えた。陽射しは強いが、さすがに暑くは無い。風もなく最高の眺めだった。

 11時24分まで、頂上でのんびりパンやおむすびを食べて眺めを楽しみ、復路は燕新道経由で降りる。北側は岩が苔むして滑りやすい。12時17分に長助池に着く。小さな湿原にほんの小さな池がある。花は余りなく、木道脇にリンドウの青い蕾が見られるくらいだ。花が開いているものはわずかだった。長助池のベンチで休憩。横になって少し眠った。12時40分に長助池から下る。陽射しは強く、とても秋の陽射しではない。そんな風だから、周囲の山肌もほとんど紅葉の気配は無い。

 木道がある大倉池まで降りて、最初の予定では神奈山もついでにと思ったが、帰りも長く遠い道のりを考えたら余り遅くなれないので割愛した。その先の黄金清水で水を汲む。歯にしみるほど冷たい水で美味しい。下りも結構時間がかかる。妙高山の溶岩ドームの山体が、逆光で高く大きくのしかかる程の迫力だ。大倉沢沿いの道から尾根を巻く道は上りや下りで長い。二合目の麻平分岐で湯を沸かし、カップ蕎麦を食べて一休みする。そこからは一下りで、河原の湯の吊橋に降りる。この橋までは観光客も歩いてくる様だ。水量は少ないが、神奈山の急峻な斜面を幾筋かの落差の大きい滝が落ちていた。吊橋からは遊歩道を水平に歩いて、燕温泉に下った。閑散とした温泉街は人も少ない。15時28分に車に戻った。普通に周回しても妙高山は結構登り手のある山だった。

 関温泉の『湯の宿泉山』という旅館で入浴する。露天風呂も無い小さな温泉旅館だが、源泉掛け流しの湯でその上全くの貸し切り状態。独り占めでのんびりゆったり入浴して気分も最高だ。入浴後は、もう陽が傾いた中を帰路に着く。18号に出ると、妙高山が見慣れた翼を広げた様な山容で見事だった。文句無く名山なのでしょう。長野県内は丁度渋滞の時間になって、帰路はノロノロ…途中で食事をして、それでも家には10時頃には着いた。長いこと気になっていた妙高山だったが、最高のお天気に登れて大満足の一日だった。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いい眺めですね (ノラ)
2012-10-03 22:04:15
あさぎまだらさん こんばんは。いい天気で,最高の眺めで30年来の宿題を果たせたようで何よりですね。最近余りいい眺めの山に行ってないので羨ましいです。それにしても山頂ってあんな景色だったのですね。いや,全く私が一度行った山頂には全く見えませんでした。展望があるとないとでは大違いですね。そばにあんな岩山らしい所があったなんて。燕温泉から再度行ってみてもいいですね。いつ行く気になるかは不明ですが。
明日はまた台風みたいです。今週2度目です。この前のは怖くって寝れませんでした。関係ないですが。
返信する
展望の山 (あさぎまだら)
2012-10-04 02:42:40
ノラさんこんばんは。
展望があるのと無いのとでは全く違いますね。確かにお天気のせいで眺めも何も無い山は印象も薄いですね。妙高は独立峰ですから邪魔するものが無いのです。
標高も2,450mあるので下界を俯瞰するという感じがします。人気があるのも当然でしょう。
今回の台風は余り影響無いようですね。3連休はどうでしょうか?
返信する

コメントを投稿