林真理子著 講談社 2022
いろいろと物議を醸し、ベストセラーとなった本。
図書館で、半年以上待って、ようやく回ってきた。
まず、びっくりしたのは、薄い。165ページ。これが渾身の書下ろしか。。。
取材に基づくフィクションとはあるが、恐らく、インタビューと田原博子氏の日記に基づくノンフィクションみたいなものだろう。元夫の片岡孝太郎の家族については、名前を変えてはいるが。梨園関係者以外は実名のようだ。
作者本人が、ママ友として知り合いで、その表現が途中で入ってくる。一人称は作者なのだ。でも一人称が語るわけでもない。小説としてはとても読みにくいと言える。こういうのが直木賞に上がってきたら、選考委員としてどう対処するのだろう。大学の文書にはさすがにこういうのはないだろうが。
私は歌舞伎ファンとして、長らく孝夫さんファンであり、周囲に梨園に近い人も何人かいるが、今回初めて知ることばかりでびっくりした。息子のことに一番驚いた。また、孝太郎に女性問題があったというのも意外な気がした。真面目な家庭人という気がしていたので。父親との複雑な思いというのも、女形になった時点で、きっぱりだと思っていたので意外だった。そして、孝夫さんは良く描かれていたような気がする。フィクションと書いてあるので、何が本当かはある。昨年、仁左衛門が帯状疱疹で休演したのは、この本のストレスだと思う。玉三郎との貴重な共演が吹っ飛んだ。来春チャレンジするらしいが。
図書館で借りてよかった。買わなくて良かったということだ。この本は寄贈であった。手元に置いておく本でないと思った人がいたのか、作者が区民だったからなのか、わからないが。
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