西崎憲著 人文書院 2019
500ページを超える大著。
ロックの誕生から現在までを時系列的に論じる。
一人の人間でここまでと感嘆しかない。
詩を大切にする筆者の視点は、パンク等に熱く注がれる。
記述に濃淡はある。歌詞の引用も、筆者の主観になる。それは筆者の特権でもあるのだろう。
歴史って、描く人間の視点で変わってくるというのは非常に感じる。
44章のうち、最後の5章は、ジェンダーとか人種とかいろいろな視点でロックを俯瞰してみている。短いのだが、これがまた面白い。
巻末には、曲名、ミュージシャンの索引が日英で記載、年表、参考文献、歌詞出典とあり、研究書の体を十二分になしている。
本文の記述は、曲とバンドの逸話中心にして、最後の5章を膨らませるような形にして、事典的な構成だったら、もっと売れたかな。
改めて筆者に敬意を表したい。
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