シネマカリテ
もうあの本が出てから5年以上が経っているのか。
来日も、日仏会館のセミナーは、聴くことができた。
資本の収益率は経済成長率よりも高いことが、格差を拡大するというのが歴史のデータから導き出される大きなメッセージだった。
今回の映画、資本の集中と権力の集中が同時に進んでいる資本主義の現状への警鐘であった。歴史を辿り、レーガンやサッチャーの新自由主義の時代を映し出すが、そこが大きな転機になったというメッセージは弱い。中国やGAFAの税忌避、未来の予想等々、テーマは多岐にわたり、ちょっと、盛沢山でわかりにくい面も。
インタビューに登場するのも豪華。スティグリッツ他、ブレマー等。フクヤマが出てきたのは驚いた。そして彼が、現状に厳しい見方をしているのも驚いた。これは、二時間にまとめるよりも、TVシリーズで、数回でやった方が良かったかなあとも思う。結構、無駄なシーンがあるようにも思うし、カット割りとかどうなの、ってところもあった。
格差は、多分、民主主義を脅かすことになる。映画の感想で、思想的に反対の立場にあると思われる堀潤と三浦瑠璃が同じことを言っていたのが印象的だった。サンデルの正義なんかもそういう危機感があると思う。一方で、それがわからずに、社会人大学院とかで教壇に立っている人もいたりするのが、この国の現状だ。
監督:ジャスティン・ペンバートン
監修:トマ・ピケティ
原作:トマ・ピケティ「21世紀の資本」(みすず書房)
出演:トマ・ピケティ,ジョセフ・E・ステイグリッツ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます