こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

日本には”真のエリート”がいない。

2006年03月02日 | Weblog
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 ”真のエリート”とは,

 第1に,「文学,歴史,哲学,科学,芸術と言った一見なんの役にも立たないような教養を腹いっぱい身につけて,それを背景にして,圧倒的な総合判断力と大局観を持つ人物。」
 第2に「いざとなれば国家,あるいは国民のために命をささげると言う気概を持った人物。」

 藤原正彦は,「亡国総理と似非エリート、許すまじ」(月間『現代』4月号)でエリートをこのように定義づけ,戦後のGHQによる旧制中学・旧制高校潰しが日本から”真のエリート”を奪い,風見鶏で機敏に勝ち馬に乗る,悪しき”偏差値エリート”のみを残したことを憂いている。

 この偏差値エリートたちのほとんどがアメリカでMBAを取得した,いわばアメリカかぶれの「市場原理主義」者だが,彼らは,成果主義,ビックバン,株主中心主義,心会計基準,郵政民営化など,アメリカンスタンダードの日本移植に余念がない。アメリカ的価値を追従することのみに腐心している。

 国家は,価値観の多様な分厚い中流層に支えられてはじめて安定するのに,一国の価値への偏向や,勝者のみを認める「市場原理主義」への過度な傾斜は,このバランスを崩すものである。

 いざとなれば国家,あるいは国民のために命をささげると言う気概を持ち,一見なんの役にも立たないような教養を腹いっぱい身につけて,それを背景にして,圧倒的な総合判断力と大局観を持つ人物が,今の日本には必要である。

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