はるかな日、きのう今日

毎月書いているエッセイ、身辺雑記を掲載

小さいラジオ

2012-09-27 08:49:29 | エッセイ・身辺雑記
 ある会合で災害時用に何を備えているかという話が出た時、話題がラジオに及び、だれそれは3台、だれは4台とどの家でもたくさんラジオを持っているのを知って驚いたことがあります。その時、わが家にあるのを数えてみたら、ステレオセットに組み込まれているチューナーが1台、ラジカセが1台の2台でした。非常の時にはステレオセットのものは全く役に立ちませんし、単1の電池が6個も要るラジカセは持ち出すことなど出来ない代物。また、東日本大震災の後、単3の電池ならいくらでも買えるのに、単1の電池はかなりの期間、どこに行ってもなく、単1の電池を何本も使うラジカセは使いたくても電池が手に入らないのを知りましたので、単3で使える小さいラジオを量販店で見つけて買いました。
 この小さいラジオは毎日のように使うことになりました。どなたもご存知のように、年寄りは早く目が覚めるものですが、ヘッドフォーンを使えば、隣で寝ている人にも気兼ねなく聞けます。いろんな局に波長を合わせて聞いているうちに、大阪から関西に住んでいるアジアの人に向けて放送しているFMココロの6時からの30分番組に行き当たりました。
月曜日のスリランカ、火曜日のフィリピン、水曜日のタイから日曜日の中国人による漢詩鑑賞まで続きますが、アナウンサーはその国の人、言葉もその地の言語に日本語の部分が少しという構成になっています。もちろん、どの国の言葉も分かりませんが、オリンピックなどという単語を聞くとニュースなのだろうと思います。何語でもずいぶん早く聞こえるものですが、ニュースだからだと思います。タイの日にはただ一つ知っているタイ語、「サワデーカー(お早うのもさようならにも使える)」を聞くのが楽しみで波長を合わせています。どの国の言葉も同じように聞こえますが、やはり国ごとにイントネーションがちがい、それぞれこの言葉で会話を交わしているのだなあ、とその様子を想像しながら聞いています。
 各国ごとの番組の楽しみは音楽です。どの国の音楽や歌にも民族色が反映されているようですが、現代風のアレンジがされていて、国ごとの違いはあまり感じられません。ただ、ベトナムやスリランカの歌にはラブソングなのかスローテンポのものはしみじみとしたものがあって、テープに録っておきたいようです。東南アジアの音楽は日本の音楽と共通の先祖をもっているのか、どことなく心休まるものがあって、耳に快く響きます。そして、どの国でもその地の言葉を賑やかに喋っているのと同時にラジオや店先のスピーカーからその地の音楽が流れているのだろう、と遠い南の国に住む人々の暮らしを思い浮かべるのです。非常用に買った小型ラジオの効用ですが、この小さいラジオが役に立つ日がないことを願って止みません。
2012年9月

コメントを投稿