はるかな日、きのう今日

毎月書いているエッセイ、身辺雑記を掲載

今月の便り(2020年10月)

2020-10-30 06:30:19 | エッセイ・身辺雑記
今月の便り(2020年10月)
 月の初め、秋雨前線の雨が続きましたが、10日過ぎあたりから青空。秋が到来し半袖では寒くなりました。
 10月6日
 電気量販店の広告でオフィス2010のサポートが終了するということ知り弟と相談したがよく分からずパソコンの修理会社にその対応を依頼しました。ソフトそのものは32,780円でしたが出張サポート基本料5,500円始め種々の技術料など総計85,580円かかりました。それも2025年でサポート終了とか。新しいパソコンを勧められましたが。現状維持でこの金額です。パソコンって本当にお金のかかるものです。
 10月14日
 自分史サークルの例会。画家のNさん(コロナに想う)はコロナウイルス感染の波は押し寄せ各種研究会や美術展が中止になり。作品の搬入が決まり描き始めてところだったので途方にくれ、絵も描かず部屋にこもる日が続いた。しかし、この機会に過去の作品制作を省みることにして改めて知人や友人の存在をありがたく思ったとあります。Mさん(散歩)は久々の登場。毎日の散歩の情景をしっかりと描き、その途上での思い出などから青少年育成委員として活躍していた時代を振り返っていました。Iさん(曾孫の未来)は近くの公園での曾孫達の様子からその親の教育方針の違いを感じたり曾孫4人の未来に想いを馳せていたりしているというエッセイ。その暖かい思いに打たれます。Iさん(抹殺されたひとりの命)は森友学園の値引きについて改ざんを命じられたのを苦にして自殺に追いやられた故赤木さんの奥さんが「私は真実を知りたい」と裁判で訴えているニュースを中心に繰り広げられる論評。Aさん(息子と孫たち)は息子や孫のそれぞれのプロフィールを見事に描き分けた楽しいエッセイ。Nさん(書道とともに)は冒頭で「滋賀県の書道に触れて本当に良かったと思う」と述べていますが。勢い、思い、筆使いを見るという特色のある滋賀県での活躍について書いています。書で文部科学賞を得た孫がそんなことよりも地元の地蔵盆に帰りたがっているというエピソードが彩りを添えていました。Sさん(俳句をつづける理由)は長い年月にわたって続けてきた俳句との経過や思い、そしてご自身や父上の作品などにもふれて展開する整然とした論旨の展開には感じ入りました。Kさん(免許返納)は免許を返納しようかしないでおこうかという迷いを独特の筆致でかいていますが、世間話にひそむ「老い」が見え隠れした文章でした。
 10月15日
 インフルエンザの予防接種を受けました。自己負担500円ですむという日本(自治体)のありがたいこと。早く新型コロナウイルスに対するワクチンができたらいいのに。
 10月20日
快晴のこの日、10時に弟の車で名神高速道路経由彦根へ。少し迷いもありましたが妹たち家に到着。6人の内残った3人の弟、妹に会えて嬉しいこと!弟が用意してくれたツターカーメンのご飯、鮒ずし、色々なデザートで昼食。わが家からは朝から焼いたアップルパイ。お互いの近況や思い出話に花が咲き、2時半過ぎに辞去。帰りには近江八幡のラ・コリーナに立ち寄り帰宅、4時前でした。久しぶりの長旅。運転ご苦労さんでした。
 10月25日
網戸をすべて外し高圧洗浄機で洗い、日向で乾かし収納。これで今年の夏は終了。朝晩は寒くなってきました。
[今月の本]
先月に続き三浦哲郎『短編集モザイクⅡふなうた』新潮文庫。』新潮社平成十一年
たくさんな短編で描かれる世界、情景はすべて異なっていてこれをすべて書き分けられるというのはスゴイなあと感心してしまいます。どの一編も情感溢れていてその結末の鮮やかなこと。このようなエッセイを書いてみたいなあなど思います。

この秋は強い台風に見舞われることなく過ぎて行きましたが何となく不順な思いのする日々でした。しかし、20日過ぎからは秋日和が続き朝晩は寒くなってきました。来月は紅葉のシーズン。老人会のバス旅行もあるなど楽しみにしています。皆さんはどんな秋を迎えられるのでしょうか。では、また。

今月のエッセイ

2020-10-29 06:53:21 | エッセイ・身辺雑記
   木馬のゆめ
 シリーズ『名著復刻日本児童文学館』(ほるぷ出版 昭和四十六年)の一冊、酒井朝彦『きんらんゑはなし叢書第三編 木馬のゆめ』、金蘭社昭和五年より。著者の酒井朝彦は大正昭和時代の児童文学者でこの本は小学校低学年向きの数少ない創作童話集として知られています。このお話は低学年向きなので童心に戻ってお読みください。

すずしい風(かぜ)の吹(ふ)くなつのゆうがた、小(ちい)さな木馬(もくば)はおざしきのすみでごろりとよこになっているうちにうつらうつらとねむってしまいました。そしてゆめを見(み)たのです。ほんとに木馬(もくば)もゆめを見(み)たのでしょうか?ほんとですとも。木馬(もくば)のゆめはこうでした――
 ひろい野原(のはら)がありました。ひつじの毛(け)のような白(しろ)い雲(くも)がぽっかりうかんでいました。小さな木馬(もくば)はその草原(くさはら)であそんでいました。するとお水(みず)がほしくなりました。そこで木馬(もくば)は水(みず)のわきでるいずみをさがしてあるきました。けれどいくら野原(のはら)をあるいても水(みず)のわきでるところはありません。さがしつかれているうちに日(ひ)もくれかかってきました。
 野原(のはら)のあちらにあかりがひとつぼんやりと、ゆらゆら光(ひか)ってみえました。そこで木馬(もくば)はげんきよくあかりを目(め)あてにとんとんとかけて行(い)きました。するとあかりのうつったおまどが見(み)えました。するとおまどのしょうじ
があきました。
 「なーんだ もくばか、ぼく、だれかとおもったのに丨丨」
小(ちい)さな男(おとこ)の子(こ)がおまどのところからかおを出(だ)していいました。
 「はい、はい、わたし もくばです。のどがかわいてなりません。ぼっちゃんどうぞお水(みず)をのまして下(くだ)さいな」
 「よし、よし、やるよ。さあおいで」男(おとこ)の子(こ)はお水(みず)をいっぱいくんできてくれました。おいしい。おいしい水(みず)でした。
 「さあさ、これもやるからおあがりよ」そういってぼっちゃんがポケットから出(だ)してくれたのは、あまくておいしいミルクチョコレートでありました。
「おいしいかい もくばくん」「はいはい こんなおいしいものは生(う)まれてはじめてです」「それでは、もひとつあげよう さあおいで」「ぼっちゃん うれしい うれしい」「わはははは そんなにうれしいかい。それなら、どれどれ ひとつぼくにのらしてね、そしたら ちくおんきをきかしてあげるから」
 やがてやさしいマーチがはじまりました。
  テレント チチチチト チチチチト
  チレッ チレッ チレッ チレットト
 小(ちい)さな木馬(もくば)はぼっちゃんをのせてあちこちをとおんがくにあわして かけめぐるのでした。たのしいゆめでも見(み)ているように丨丨
      *  *  *  *
 「ぼうや おんまにのっかるから見(み)ててごらんよ ねえちゃん!」
五(いつ)つになるはるおさんはそういいながらおざしきのすみにねている小さな木馬(もくば)をおこしました。
 びっくりして木馬(もくば)は目(め)をさましました。
 「ああ、いまのはゆめだったのか丨おいしい おいしい チョコレートをたべたとおもったのは丨丨」
 木馬(もくば)はあたりを見(み)わしながらひとりごとをいいました。そうです、木馬(もくば)はゆめを見(み)たのでした。
 「はいどう、はいどう、はいどう」
 ぼっちゃんは木馬(もくば)にまたがってこえをかけながらえんがの方(ほう)へこいでゆくのでした。
 「わあ、ほんとにゆめだったのだ!」
小(ちい)さな木馬(もくば)はゆうぐれの庭(にわ)をながめながらおどろいてこえをあげました。
 青(あお)ばにはさらさらと風(かぜ)が吹(ふ)いていて空(そら)にはお星(ほし)さまがぴかぴかひかってみえました。
 木馬(もくば)はぼっちゃんをのせたまま空(そら)をあおいでいました。
2020年10月