『はじめての文学 山田詠美』文藝春秋、2007年
図書館の児童向き図書の書架にあった一冊です。この人の短編小説集は読んだことがあるので、およその感じは覚えていましたが、私のような年代のものにとっては、これが新しい世代の小説なのかという感慨があるのも確かです。年少の人にセックスについてこれだけ具体的に書いてもいい時代になったのかというのももう一方の感慨です。
『はじめての文学 重松 清』文藝春秋、2007年
この人の小説は初めて読みました。児童文学というのか、登場するのは小学校から中学校にかけての少年です。それぞれ少年らしい悩みを抱えているものの、良い子ばかり。お父さんも暖かく子どもを見守っている様子が伝わってくる短編小説集というのが私の読後感。
著者の重松氏は二人の子どもの父親ということなので、自分の経験もあるのかもしれませんが、少年たちの行動、心理などをここまで詳細に書くにはどのような観察、推察、取材などをするのかと思います。今度、図書館へ行ったら、この人の大人向けの本を借りてこようと思っています。
『はじめての文学 村上 龍』文藝春秋、2006年
この人の芥川受賞作『限りなく透明に近いブルー』は熱狂的なブームを呼び、私も読んだ一人。米軍基地のあった福生に住む青年のドラッグとセックスに明け暮れる生活を描いたものですが、その中に度々現れるジャズの曲名には知っているものが多く、それが嬉しかったのを覚えています。本書も『限りなく・・・・・・』の雰囲気をもつ何編かがありますが、その時代から何十年、今の若者はどのような感想をもつのでしょう。一方、「浦島太郎」や「鶴の恩返し」の結末などは現代の世相を反映したものになっていて、その思いがけない結末には考え込ませるものがあります。
『はじめての文学 宮本 輝』文藝春秋、2007年
大阪へ行くと氏の「泥の河」を、ホタルを見れば「蛍川」の最後の場面を思い出すというように、その感銘は忘れられないものがありますが、本書にも、読み出したら止められない緊迫感に満ちていて、これぞ小説という短編が収められています。「泥の河」と同様、舞台は大阪、いわば底辺に暮らす人の住む町ですが、ここに広げられるドラマには心打つものがあり、著者の暖かい眼差しを感じます。本書は児童向きの本であるためか、少年から若い青年が主人公ですが、ここには人生の本質を垣間見せるものがあります。この本には、かつて文庫本で読んだことがある3編が含まれていましたが、宮本 輝氏のこんな短編に出会えてとても得をしたような気がしました。
図書館の児童向き図書の書架にあった一冊です。この人の短編小説集は読んだことがあるので、およその感じは覚えていましたが、私のような年代のものにとっては、これが新しい世代の小説なのかという感慨があるのも確かです。年少の人にセックスについてこれだけ具体的に書いてもいい時代になったのかというのももう一方の感慨です。
『はじめての文学 重松 清』文藝春秋、2007年
この人の小説は初めて読みました。児童文学というのか、登場するのは小学校から中学校にかけての少年です。それぞれ少年らしい悩みを抱えているものの、良い子ばかり。お父さんも暖かく子どもを見守っている様子が伝わってくる短編小説集というのが私の読後感。
著者の重松氏は二人の子どもの父親ということなので、自分の経験もあるのかもしれませんが、少年たちの行動、心理などをここまで詳細に書くにはどのような観察、推察、取材などをするのかと思います。今度、図書館へ行ったら、この人の大人向けの本を借りてこようと思っています。
『はじめての文学 村上 龍』文藝春秋、2006年
この人の芥川受賞作『限りなく透明に近いブルー』は熱狂的なブームを呼び、私も読んだ一人。米軍基地のあった福生に住む青年のドラッグとセックスに明け暮れる生活を描いたものですが、その中に度々現れるジャズの曲名には知っているものが多く、それが嬉しかったのを覚えています。本書も『限りなく・・・・・・』の雰囲気をもつ何編かがありますが、その時代から何十年、今の若者はどのような感想をもつのでしょう。一方、「浦島太郎」や「鶴の恩返し」の結末などは現代の世相を反映したものになっていて、その思いがけない結末には考え込ませるものがあります。
『はじめての文学 宮本 輝』文藝春秋、2007年
大阪へ行くと氏の「泥の河」を、ホタルを見れば「蛍川」の最後の場面を思い出すというように、その感銘は忘れられないものがありますが、本書にも、読み出したら止められない緊迫感に満ちていて、これぞ小説という短編が収められています。「泥の河」と同様、舞台は大阪、いわば底辺に暮らす人の住む町ですが、ここに広げられるドラマには心打つものがあり、著者の暖かい眼差しを感じます。本書は児童向きの本であるためか、少年から若い青年が主人公ですが、ここには人生の本質を垣間見せるものがあります。この本には、かつて文庫本で読んだことがある3編が含まれていましたが、宮本 輝氏のこんな短編に出会えてとても得をしたような気がしました。