長崎大熱帯医学研、ビル・ゲイツ財団から12億円の研究助成を獲得

2015年11月27日 15時34分26秒 | 医科・歯科・介護
ベトナムで肺炎球菌ワクチンの接種回数減を検討

日経メディカル 2015年11月23日 配信 石垣恒一(日経メディカル編集部)

 長崎大学熱帯医学研究所は2016年1月から、ベトナムの子どもに対する肺炎球菌ワクチンの効果についての臨床研究プロジェクトを始める。同研究所のベトナム拠点を活用し、研究期間は4年。プロジェクトの費用は約1000万ドル(約12億円)で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が提供する。日本の研究機関が同財団からこれだけの規模の研究資金を獲得するのは初めて。

 肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCVs)は世界の小児肺炎および肺炎による死亡を著しく減らしてきた。しかし、低所得国や低中所得国にとって費用の壁は高く、世界保健機関(WHO)が推奨するPCVs3回接種のプロトコルの導入が難しい国も多い。ベトナムにおいても、1回30ドルほどの接種費用は高額で、普及の大きな壁となっている。

 一方で、3回接種スケジュールによって肺炎球菌が減少した地域では、集団免疫の獲得によって、その後はより少ない接種回数で3回接種と同等のレベルの防御を維持できる可能性が指摘されている。

 そこで長崎大学熱帯医学研究所准教授の吉田レイミント氏らは、集団免疫を獲得した地域でPCVs接種回数を少なくした場合の有効性の評価を企画。PCVsが小児の定期予防接種に導入されていないベトナムのニャチャン市で、コミュニティクラスター試験をデザインした。

 ワクチンタイプの肺炎球菌の鼻咽頭保菌に対する効果を評価するため、ニャチャン市の23区域を4つの群、異なるスケジュールのワクチン接種3群とワクチン接種なしの1群(対照群)に割り付け。3つの介入群として割り付けられた区域では接種の前に、その区域の3歳未満の小児全員にPCVを接種し、集団免疫の獲得を試みる。その上で、3つの介入群ではそれぞれ、新たに生まれた全ての児に、接種2回+追加接種1回(2+1)、1+1、0+1のスケジュールでPCV接種を行うこととする。

 横断的肺炎球菌保菌の調査は年に1回、小児と母親を対象に横断的に行う。ワクチンタイプの肺炎球菌保菌量を測定することで、異なった年代におけるワクチンの直接および間接(集団)防御の指標とする。また、ニャチャン市のカンホア総合病院の肺炎調査データも合わせて指標として評価する。

 今回のプロジェクトによって、接種回数を減らしたPCVプログラムの効果が明らかになれば、低所得国でも持続可能な接種プログラムの検討につながると期待される。

 長崎大学熱帯医学研究所はベトナム国立衛生学研究所内に研究拠点を設けており、2006年にはニャチャン市において住民ベースのコホート研究を立ち上げている。ビル&メリンダ・ゲイツ財団からは「ベトナムの肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCV)未導入地域におけるPCVスケジュールの評価」研究として、4年で999万8388ドルの資金供与を受ける。

















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