開発協力とは、「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」のことだ。
そのための公的資金をODA(政府または政府の実施機関はODAによって、平和構築やガバナンス、基本的人権の推進、人道支援等を含む開発途上国の「開発」のため、開発途上国または国際機関に対し、資金(贈与・貸付等)・技術提供を行います。
なお、一般に「経済協力」には、その他の公的資金の流れ(OOF)(注:国際協力銀行が行う民間の輸出信用や直接投資に対する金融等)、民間資金及び非営利団体による贈与を含みます。
今年10月で70年を迎えるODAは、1954年から始まった。
日本は、戦争で近隣のアジアをはじめ、諸外国に大きな苦しみを与えた。
その深い反省のもとで、途上国の経済発展や人材育成に大きく寄与してきたんのがODAである。
外務省によれば、2022年の日本のODA実績は約175億ドルで米国、ドイツに次ぐ第3位。
ODAの問題手もあった。
ヒモ付き援助は、より安価で品質の高い資材が他にあったとしても、それらではなく日本製の資材を使うことを求めていたため、日本企業を利する援助として批判を受けたのである。
その批判を覆すために日本の援助機関が努力を重ねた結果、1990年代までにヒモ付き比率はかなり下がった。
それと同時に日本政府は、日本のODAが一定の理念に基づいて行われていることを示すため、1992年に政府開発援助大綱を定め、ODAの理念を「要請主義」と表現した。これは「日本のODAは、日本のために行うのではなく、相手国が要請するニーズに基づいて行う」という姿勢を示したものである。
「国益」という言葉はそれまでのODA大綱にはなく、2015年に定められた開発協力大綱で初めて用いられた。しかしそれは長い文章の中にちりばめられた単語に過ぎず、注意して読まなければ読み飛ばしてしまいそうなほど、存在感は薄かった。
これに対して新案では、「2.開発協力の目的」として、
(1)責任ある主要国としての在り方の体現
(2)国際社会の一員として生きる我が国の繁栄の実現
(3)我が国自身の国益の増進
ーーの3点が挙げられている。
また、それらを集約した「開発協力の目的」としては、
(ア)平和で安定し、繁栄した国際社会の形成 (イ)我が国の国益の実現
ーーの2点が掲げられている。
(1)~(3)にも、(ア)(イ)にも、必須要件として日本の国益が明記されていることに注目したい。このような国益の必須要件化は、2015年開発協力大綱には見られなかった、新案の特徴である。
日本がこの70年で培ってきた現地の人とのネットワークは財産である。
そうした人たちと一緒に、他の国にも協力していく新しい仕組みを作るべきだ。
ODAがあったからこそ、東日本大震災の際には、日本に対する途上国の支援があった。
ODAが果たしてきた役割や意義を日本の国民はしっかり認識し、発信する必要がある。
そのことで、国際協力の現場が国内にも広がるはずだ。
参考
朝鮮戦争が始まると、アメリカは東アジアにおける日本の役割を重視するようになり、日本の独立を急いだ。
1951年9月、アメリカのサンフランシスコで講和会議が行われ、連合国48ヶ国との間に平和条約が結ばれた。
しかし、この会議には中国が招かれず、また、ソ連をはじめとする社会主義陣営の3か国は条約への調印を拒否した。
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