11/15(月) 21:18配信 毎日新聞
「昇龍」と揮毫した色紙を手に笑顔を見せる藤井聡太新竜王=山口県宇部市で2021年11月14日、新土居仁昌撮影
藤井聡太竜王(19)が豊島将之九段(31)を降し、史上最年少で4冠を達成した竜王戦七番勝負第4局は、終盤まで形勢不明の難解な一戦となった。勝敗を分けた局面で豊島にもチャンスの一手があったが、抜群の終盤力を誇る藤井の猛攻を耐える手順でもあり、豊島は結果的にこの手を見送った。読みの深さと精度が問われた熱戦に、渡辺明名人(37)=王将、棋王=や名人3期の佐藤天彦九段(33)ら棋士がツイッターで分析するなど、対局後もネット上で盛り上がりを見せた。
【写真で振り返る】藤井聡太王位の歩み
「結果的には109手目▲5五同銀として下駄(げた)を預けるのが正解だったようですが、カド番で相手が詰みの名手である藤井さんという状況でそういう手(相手に委ねる)が指しにくかったんだろな、と想像します」
豊島が99分を費やし、角を取らずに桂馬を打って王手をかける手順を選んだ局面について、渡辺はこうツイートした。この局面で、ネット中継のAI(人工知能)も「5五同銀」を推奨し、豊島の優勢を予想していた。佐藤も渡辺のツイートに呼応する形で、「後手(の藤井)からは意外と攻防手がなくて先手勝ちそうということですか。(中略)しかし追われてる途中の景色が怖いし手順も長いし、1時間半考えてもちゃんと整理できるかというと……」と、豊島が大長考を余儀なくされ、それでも勝ちを読み切れないほど難しい局面だったと解説した。
対局後、藤井が「負けの変化が多い」と語るなど自身の不利を感じていた場面。豊島はこの手を選ばずにAIの評価は逆転し、そのまま藤井が押し切った。
加藤一二三九段(81)はツイッターで「破竹の進撃で将棋史を塗り替える藤井聡太新竜王には心躍り感動するばかりだ。(中略)芸術性溢(あふ)れる棋風で更なる高みを極め、将棋の真髄を伝えてほしい」とエールを送った。【武内亮、丸山進】
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